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10日~11日は西日本を中心に雨量が多く 秋の台風・大雨シーズン 日頃から備えを

2025年09月08日16:13

日本気象協会 本社青山 亜紀子

10日(水)から11日(木)は西日本を中心に雨の量が多くなるおそれ。9月も中旬になり、本格的な秋の台風・大雨シーズンを迎えます。いざという時に慌てないために、平時からハザードマップや持ち出し袋などの確認を。

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秋雨前線が停滞 雨の範囲が広がる

この先1週間は本州付近を中心に秋雨前線の影響を受けやすく、2日~3日の周期で天気が変わりそうです。

明日9日(火)は日本海側から雨の範囲が広がり、10日(水)は九州から東北の広い範囲で雨が降るでしょう。10日(水)から11日(木)にかけては、東シナ海の低気圧や暖かく湿った空気の流れ込みが強まり、西日本で雨量が多くなるおそれがあります。また、13日(土)から14日(日)は日本海にのびる前線上の低気圧が北日本を通過するでしょう。日本海側を中心に雨が降りやすく、風も強まりそうです。

前線は、暖かい空気の塊と冷たい空気の塊がぶつかる境界線で、夏から秋へ季節が移る時期に日本付近に発生するのが秋雨前線。前線の南側は夏の空気・北側は秋の空気です。今週半ばの雨を境に、最高気温が35℃を超えるような猛烈な暑さは収まるでしょう。

台風の進路はどう変わる?

秋雨前線と並び、秋に大雨をもたらす原因の1つが台風です。9月の台風発生数の平年値は5.0個と、8月に次いで多くなっています。また、台風の進路は、太平洋高気圧の勢力範囲や偏西風の位置によって決まります。秋になると太平洋高気圧は徐々に南へ後退し、南の海上から放物線を描くように日本付近で東寄りに進路をとるように変わってきます。

上の図のように、一般的な9月の台風の進路は、南の海上を西よりに進んだあと東よりに向きを変え、四国から東北付近を進むことが多くなります。ただ、今後ラニーニャ現象に近い状態になる可能性があり、太平洋高気圧の南への後退は遅い見込みです。南の海上で台風が発生、対流が活発になると、周囲の高気圧は強まります。台風は高気圧の縁に沿って進みやすいため、平均的な9月の進路よりも北を進みやすくなる可能性があります。

台風と海の温度の関係

台風の発生場所や発達に関わるのが、海面水温です。上の図は、昨日7日(日)の海面水温の分布を図で表したものです。日本周辺の海面水温は平年より高く、沖縄や九州から関東の南、山陰沖や北陸に近い所でも30℃の海域が広がっていることがわかります。

大気の状態も重要な要因ですが、一般的に台風は海面水温が26~27℃の海域で発生すると言われ、27℃以上の海域で発達します。8月21日(木)に九州の西で発生した台風12号や、9月4日(木)に奄美大島の東の海上で発生した台風15号のように、今後も陸地に近い場所で台風が発生する可能性があります。南の海上で台風が発生した場合、例年の9月より発達しながら北上し、災害が発生するほどの暴風雨に見舞われることも考えられます。

秋の台風や大雨に備えて、日頃からの備えが大事です。市町村が作成しているハザードマップや地域防災計画を見て「自分の住む地域は、どのような災害のリスクがあるのか」「災害が発生した時の避難場所はどこか」「安全な避難経路はどこか」を確認しておきましょう。学校や職場など、よく立ち入る場所はどのような危険があるかも、家族で一緒に確認しておきましょう。非常用の持ち出し袋の点検などもすると良いです。

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青山 亜紀子

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