なぜ、改めて「津波観測に関する情報」で「欠測」を伝えるようにしたのでしょうか。
実は、これまでも「何らかの理由で津波をうまく観測できなかった」ことはありました。しかし、そのことを速やかに伝える手段がありませんでした。
例えば、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の例では、珠洲市長橋の観測点において、地震発生直後から津波の観測ができなくなり、
「津波観測に関する情報」の中で、この地点についてなにも情報が発表されない状態が続きました。なお、このとき観測ができなかったのは、地盤が隆起して観測ができない状態になってしまっていたことが原因でした。
従来の「津波観測に関する情報」では、津波が観測された地点の情報のみが伝えられ、観測されていない地点の情報は発表されません。ということは、この情報の中で、見かけ上、「津波なし」と「欠測(測定不可)」の違いがわからないということになります。
このため、何も情報が発表されないと、その地点には津波がきていないと誤解されてしまうリスクがありました。
この時は、後から報道発表を通じて「珠洲市長橋は欠測」であることが伝えられましたが、今回の変更によって「津波観測に関する情報」の中でリアルタイムに「欠測」を伝えられるようになると、「津波がきていない(観測なし)」わけではなく「当該観測点において、何らかの理由で津波を観測できない状況になってしまっている」ことを即座に伝えられるようになります。
今回、気象庁が「欠測」を追加した背景には、こうした狙いがあると考えられます。