日本気象協会 tenki.jp

二十四節気「白露」とは 露が発生する理由やこの時季の天候の注意点を解説

2025年09月06日

二十四節気の一つ「白露(はくろ)」。朝露が草に宿り、少しずつ秋の気配が感じられるようになる時季です。
この記事では、「白露」とはいつ頃でどんな意味なのか、露が発生する理由や露に関することわざ、この時季に注意したい天気の特徴についてご紹介します。
ポイント解説へ

二十四節気「白露」とは

二十四節気「白露」とは

「白露(はくろ)」は二十四節気の一つで、2025年は9月7日にあたります。また期間としての「白露」は、9月7日から次の二十四節気の「秋分」の前日、9月22日までを指します。ただし、年によって1日程度ずれることもあります。

白露とは、朝晩の冷え込みによって草花に露が宿り、白く輝いて見える頃を意味します。同じ二十四節気の「処暑」「秋分」の間にあたり、昼間はまだ夏の名残がある一方、夜明けや夕暮れには秋の涼やかさが漂う時季です。昼夜の気温差が大きくなり、露がよく見られるようになります。

ところで露が発生するのはなぜ?

夜間の放射冷却のイメージ

では、露が発生する理由を、もう少し詳しくみてみましょう。
そもそも露とは、空気中の水蒸気が冷やされて凝結し、草や葉、地面などの表面についた水滴のことです。

地球は、太陽から熱を吸収する一方で、宇宙に向かって熱を放出しています。日中に気温が上がるのは、地球が吸収する熱が放出する熱より多いからです。しかし、夜になると太陽からの熱がなくなるため、地球から熱が放出されていくだけになり、地面やその周辺の空気、物体は冷えていきます。これを「放射冷却」といいます。晴れていると冷え込みは強まり、雲や風があると弱まります。
放射冷却によって、草花の葉の表面からも熱が奪われます。葉の温度が露点に達すると、葉に接した空気中の水蒸気が凝結し、水滴、つまり「露」がつくのです。

ことわざ「朝露が降りると晴れ」は本当?

ここで、露と天気に関することわざをご紹介しましょう。「朝露が降りると晴れ」「夜露が多ければ晴れ」「蜘蛛の巣に朝露がつくと晴れ」などがあります。

露が発生したということは、夜間に晴れて雲がなく、放射冷却によって冷え込みが強まった証拠です。高気圧に覆われているときは穏やかな晴天に恵まれやすく、朝晩の放射冷却も強まります。つまり、これらのことわざは、高気圧に覆われてその日の昼間も晴れる可能性が高いという経験則を表したものなのです。

露は秋に限ったものではありませんが、移動性高気圧がよく日本付近を通過する季節であるため、冷え込みが強まって露がみられる機会も多いのです。

白露の頃は寒暖差や大雨に注意

白露の頃は秋雨前線や台風による大雨にも注意(2015年9月8日の天気図)

白露の頃に気をつけたい天気のポイントを2つご紹介します。

①寒暖差に注意
まだ日中は残暑の余韻が残る一方で、朝晩は露が降りて涼しさを感じる「白露」の頃。夏から秋への季節の変わり目でもあるため、寒暖差に注意が必要です。
暑さと涼しさが入り混じる時期であるため、朝晩と日中の1日の中での寒暖差や、日々の寒暖差を強く感じがちです。この気温差が、疲労感や食欲不振などの「秋バテ」につながることも。バランスの良い食事や適度な運動、規則正しい生活などを心がけ、寒暖差に負けない体づくりをしておきましょう。

②台風や前線による大雨に注意
9月は日本に台風が接近・上陸しやすい月です。また、秋雨前線が停滞しやすい時期でもあり、ときには台風の影響で前線の活動が活発になることもあります。このため、白露の頃は大雨や長雨にも注意が必要です。大雨への備えやもしもの時の行動について改めて確認をしておきましょう。

↓大雨など防災への備えはこちらをチェック
◆正しい防災知識と日頃からの備えを伝える「知る防災」

関連リンク

気象予報士/熱中症予防指導員

瀬田 繭美

このライターの記事一覧
ライター一覧