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花粉症の憂鬱からサヨナラ!花粉飛散シーズン前に出来ることは?

[PR]2016年10月06日

来シーズン2017年春の花粉飛散数は、北日本で少なく、西日本で多く飛散する見込みです(前シーズン比)。花粉飛散シーズンなんて、まだまだ先だと思っている方が多いと思いますが・・・実は今から色々なことに気をつけておくと、花粉飛散シーズンが楽に過ごせることも。生活面や医療面での花粉症対策をご紹介します。
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2017年春の花粉飛散予測を発表!

一般財団法人 日本気象協会は、2016年10月6日(木)に来シーズン2017年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測第1報を発表しました。
花粉の飛散数は、前年の夏の気象条件が大きく影響します。前年の夏が「気温が高く」「日照時間が多く」「降水量が少ない」と、スギやヒノキの花芽が多く形成されて、翌年の春の花粉飛散数が多くなると言われています。
今夏(2016年)は、ほとんどの所で気温が高く、日照時間は多い傾向で、降水量は北日本や関東甲信地方では平年並みか多くなりました。

そのため、2017年春の花粉飛散数は、前シーズン(2016年春)と比べると北日本で少なく、西日本で多く飛散するでしょう。特に、近畿・四国・九州地方では、前シーズンに比べて非常に多く飛散することが予想されます。関東甲信地方は前シーズンと比べてやや少ないものの、気象条件が揃うと一日で大量飛散するという日もあります。

それでは来シーズンに向けて、今から出来る花粉症の準備対策をご紹介しましょう。

花粉シーズンに向け、今からやっておくべきことは?

「花粉対策は花粉シーズンがはじまる前に」というのは花粉症の方には常識になりつつあると思います。昨年(2015年)、免疫アレルギー性疾患のエキスパートであり、花粉症治療に詳しい日本医科大学の大久保公裕先生に聞いた、「花粉シーズン前からやっておくべき花粉症対策」をまとめました。(去年の記事はコチラ
食生活において大事なのはバランスです。何をどれだけ食べたら良いというものではなく、タンパク質、脂質、炭水化物そしてビタミン類などをバランス良く摂取するのが理想です。バランスのとれた食生活にプラスして、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの生成を抑える『ポリフェノール』や体内の免疫バランスを整える『乳酸菌』を含む食品などを摂取するのも、花粉症対策としては効果的であると言われています。また、適度な運動や良質な睡眠により、自律神経のはたらきを整えることも大切です。そして、「花粉シーズン前の今しか出来ない」効果的な花粉症対策としては、『レーザー治療』や『舌下免疫療法』といった治療法が挙げられます。

みんなどうしてる?最近の花粉症事情

今年もアレルギー疾患のエキスパートである大久保公裕先生に、最近の花粉症事情についてお話を伺いました!
日本医科大学
耳鼻咽喉科学講座 主任教授
大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学 教授
附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 部長
医学博士 大久保公裕 先生

一般財団法人 日本気象協会
気象予報士 河島未怜
河島:昨年(2015年)にお話を伺って、先生には色々な花粉症対策を教えて頂きました。特に花粉シーズン前に行うことのできる治療にとても興味がわきました。でも今年は結局一歩踏み出せずに、春の花粉シーズンを迎えてしまいました。シーズンのはじめは花粉の量も少なかったのか症状も軽く大丈夫だったのですが、やはり飛散ピーク時になると症状がつらく、結局抗ヒスタミン薬が手放せなくなってしまいました。

大久保先生:薬に頼るのは別に悪いことではないですよ。むしろ早めに頼ったほうが良いくらいです。もし、自分が毎年どのタイミングで症状がひどくなるのかわかっているならば、その前に薬物療法を開始するのが良いですね。例年、2月初旬はまだ寒いのでスギ花粉の飛散量は少ないのですが、2月の後半から3月の初旬にかけてだんだん暖かくなるにつれ、スギ花粉の飛散量は多くなっていきますので、その前に薬物治療をはじめるのが良いでしょう。
河島:ちなみに他の花粉症患者さんはどういった治療をしているのか気になります。最近の花粉症治療にトレンドはありますか?

大久保先生:花粉症治療は人それぞれですね。毎年花粉シーズン前にレーザー治療だけする人もいれば、症状がひどくなる時だけ薬物治療で乗り越えられてしまう人もいます。症状の出方やその人の生活習慣によって、治療法は異なります。「毎シーズンこの方法で十分乗り越えられる!」という治療法が見つかっている方は、それで良いと思います。しかし、毎年症状が重かったり、生活に支障をきたしたりする場合などは、根本的な治療をご紹介するケースが多いですね。

河島:根本的な治療とは、以前先生に教えていただいた、アレルゲン免疫療法のことですね。私はまだチャンレンジ出来ていないのですが、今その治療を行っている患者さんはどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

大久保先生:アレルゲン免疫療法のなかでも舌下免疫療法とよばれる自宅で舌下に薬剤を投与するタイプの治療は、2016年のシーズン前には約4万人、現在では約5万人の方が行っています。

河島:もうそんなに多くの人が行っているんですね。では、実際の効果はどうなのでしょうか。あと舌下免疫療法は毎日続ける治療だったと思いますが、ちゃんと続けられるかが心配で・・・

大久保先生:私のもとで治療した患者さんの例ですと、治療開始1年目で10人中7人は前年より症状が軽くなっていますし、治療開始2年目の方だと10人中9人は花粉症による鼻や目の症状が改善したという結果が出ています。定期的な通院以外は毎日自宅で治療ができますし、薬の服用にもそんなに時間はかからないので、朝の洗顔や歯みがきに追加してなど「生活のルーティーン」とすることで、ほとんどの人が治療を継続できていますよ。

河島:そうなんですね、少しハードルが下がった気がします!来期に向けて治療を開始するとすれば、どうすればよいのでしょうか 。

大久保先生:まずはこの治療を行っている医療機関などで、花粉症の診断を行ってください。相談できる医療機関を検索できるウェブサイトもあるようですから、最寄りのクリニックなどを調べてみてはいかがでしょうか。あと、この治療は花粉が飛びはじめると開始できません。興味のある方はスギ花粉が飛びはじめる前、年内を目安に医師に相談してみるのが良いと思います 。

河島:検索できるウェブサイトもあるのですね。私も最寄りの医療機関を検索してみたいと思います。

生活の質(Quality of life)を向上させるために

河島:毎年春の陽気な季節になると、外でピクニックを!と思い立つのですが、花粉飛散シーズン中のアウトドアは症状がつらくて・・・花粉によって活動範囲が制限されるのが、毎年嫌になってしまいますね。

大久保先生:花粉症の方は花粉飛散シーズンにQOL(Quality of life:生活の質)が下がりがちです。花粉飛散シーズンは、「外に出たくない」「目が痒くて腫れぼったい」「仕事中は鼻がかめない」「鼻がつまってしまい喋りづらい」といった様々な症状が日常生活に悪影響を与えます。花粉がピークの2~4月の3ヶ月間、1年のうち1/4を花粉症のためにQOLを下げてしまっているのは、非常にもったいないなと思います。

河島:確かにその通りですね。私も花粉飛散シーズンはQOLが低下していると思います。QOLの低下を防ぐための対策、どういったものがあるのでしょうか?

大久保先生:極論を言えば、花粉症の方は、花粉さえなければ、症状は全く出ません。みなさん花粉の飛ばない時期は全く症状がないですよね。したがって、花粉の飛んでいる時期は、日常的にマスクやメガネでできるだけ花粉を取り込まないようにすること。
「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」「目のかゆみ」といったつらい症状を抑えるための方法としては、レーザー治療や薬の服用をすることがQOL低下防止につながります。
また、花粉症を根治させることを目標にして、舌下免疫療法を選択することもQOLの向上につながると思います。QOLを向上させて、毎日を心地よく過ごすためには、自分にあった花粉症治療を選択することが重要だと思います。

河島:なるほど。では、大久保先生からみて、花粉症患者さんのなかで特に根本的な治療(舌下免疫療法など)をおすすめするのは、どういった人ですか?

大久保先生:花粉症の症状が重い人はもちろんですが、今の治療に満足していない人や薬の量を減らしたい人、また花粉症を根本的に治したいと思っている人にご紹介しています。他にもライフイベントに合わせてこの治療を紹介することもありますね。例えば、受験を控えるお子さんや、近い将来に妊娠を希望している方などに舌下免疫療法をご紹介することもあります。

河島:なるほど。たしかに女性が妊娠をして春を迎えたときに、花粉症の症状を抑える薬が飲めないとなると、とてもつらいですね。QOLを維持するために、「花粉症とサヨナラする!」という選択肢があることは、私を含め花粉症患者さんにはとても魅力的な話だと思います。私も勇気を持って、病院で相談してみようと思います。大久保先生ありがとうございました。

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