夏と冬 昼と夜 季節や時間の違いによる災害発生時の注意点とは? #知り続ける
季節や時間帯の違いによる災害の注意点は?
大震災によって大きな混乱を招いたのは、大津波の被害にあった東北地方だけではありません。地震が発生したのが昼間の時間帯のため、多くの方が自宅から離れた職場や学校にいたことから、東京などの都市部でも帰宅困難者が大量に発生しました。
もし、この大震災が真冬や真夏に発生していたとしたら、もしくは早朝や夜間に発生していたとしたら、被害の状況はどう変化していたのでしょうか。そして、何に注意すべきだったのでしょうか。
季節や時間帯の違いによる災害発生時の注意点を確認していきましょう。
冬の災害 寒さや火災への対策が必要
地震や津波などの被害からは逃れられても、その後の避難生活が長期化する可能性があります。電気やガスなどが途絶えている中では、低体温症などの寒さによる命の危機に陥る場合があります。普段公民館や体育館などとして使用されている避難所に行ったとしても、人が住むには十分な防寒設備が整っているとは限りません。
体温の低下は思考・判断力の低下につながり、自らの体調変化に気づけなくなる恐れがあります。冬は風邪やインフルエンザなどの感染症が流行する時期でもあるので、より一層注意が必要になります。
対策として、普段冬に使用している温かい格好を用意しておくのはもちろん、カイロなどの電気を使わなくても体を温められるものを準備しておきましょう。寒さをしのげるスペースや環境を確保しておくために、車の中に毛布などを備えておくと良いでしょう。車の燃料も多く確保しておくことも対策のひとつになります。また、体が温まるものを食べるためにも、カセットコンロなどを用意しておくと良いでしょう。
冬の災害時に気を付けるべき点として、火災も挙げられます。空気が乾燥している時期であることや、暖をとるために火を使う場合が多いことから、火災のリスクも大きくなるのです。災害時はいつも以上に火の元の確認をし、消火器を設置するなど、火災から身を守ることも考えるようにしましょう。
夏の災害 熱中症に注意
水や電気などの供給が制限されるような状況では、気温・湿度のコントロールやこまめな水分補給が難しくなるだけでなく、慣れない環境でストレスにより体調が変化する、睡眠不足や生活のリズムが乱れやすくなるなど、熱中症を引き起こす要因となる「環境・からだ・行動」のすべての面で危険性が高くなります。
なるべく水分・塩分をとる、涼しい恰好をする、日差しをよけるなどの基本的な熱中症対策はもちろん、いつも以上に温度や湿度を意識し、家族や周囲の人の体調に気をかけるようにしましょう。
電池で動く携帯型扇風機やうちわ、保冷剤、ネッククーラーなどの冷却グッズも用意しておくと安心です。
被災すると普段行わない災害時の復旧作業という重労働を行うこともあります。気温や湿度が高い環境での慣れない重労働は、熱中症になる危険性を高めます。復旧作業はしっかりと熱中症の対策を行い、適宜休憩を取りながら行いましょう。
熱中症の予防には、体を暑さに慣らす「暑熱順化」も大切です。暑さが本格化する前や、体が冷房に慣れている状態で突然ライフラインが止まって暑い環境になると、体が暑さに慣れておらず、熱中症になる危険性が高まります。日頃から運動や入浴などで適度に汗をかき、体を暑熱順化している状態にしておくことも、対策のひとつになります。
昼の災害 外出先での被災 事前に家族で話し合うことも大切
常に多くの防災対策グッズを持ち歩くことは難しいですが、最低限の備えだけは用意しておきましょう。万が一、自分の身に何かあったときに家族などへの連絡のために身元や緊急連絡先が分かるものや、すぐに帰宅できなくなっても持病の薬を飲めるように常備薬、病名や処方薬のメモを持ち歩くようにしましょう。閉じ込められた時の最低限の飲食の確保のために少量の飲料水・チョコレートなども持っておくと安心です。
いざという時の集合場所や連絡手段について、日ごろから家族と話し合っておくことも大切です。
集合場所については、場所を細かく決めることが大切になります。災害時は、避難所や避難場所に多くの人が集まることが想定されます。「●●小学校の鉄棒の前」のように、ピンポイントで集合場所を決めることがポイントです。また、災害の種類によっては、その場所が使えなくなっていることも考えられます。安全な集合場所を2か所以上、優先順位と共に決めておくと安心です。
災害時には、携帯電話が繋がりにくくなることが想定されます。災害用伝言ダイヤルや、LINE・Twitter・FacebookなどのSNSを活用することも検討し、いざという時にどの連絡手段で家族と連絡をとりあうか、事前に決めておきましょう。
夜の災害 暗い中での行動は危険 家の中での対策を万全に
いざという時のために日頃から、メガネやスマートフォンといった生活必需品、災害避難時の行動に必要となるものは、就寝時に枕元においておくようにしましょう。ガラスの破片や床に散乱したものを踏まないよう、スリッパやスニーカーも置いておくと安心です。
夜間の災害時は、明かりの確保も重要になります。その際、家の各所の取り出しやすい場所に、複数用意しておくことをお勧めします。おすすめは、登山時などに使用する長寿命でコンパクトに収納できるLEDヘッドライトです。両手が空くため、荷物をもったり、とっさの事態でも手が使えたりするので安心です。なお、ろうそくやライターなど火を使うものは、余震やガス漏れ時に火事の危険があります。これらの使用は安全が確認されるまで使用は控えましょう。
停電になると街路灯はもちろん、信号機もつかなくなります。その場所にとどまることによって命の危険にさらされない限り、むやみに避難所などへ移動することは避けましょう。やむを得ず避難や外出の必要がある際は、必ず明かりで足元を照らし、複数人で行動するなど単独での行動は避けるようにしてください。
この記事は日本気象協会とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。東日本大震災から10年が過ぎましたが、その時の教訓を絶対に忘れてはなりません。普段からの備えや災害発生時の行動について、皆さんで「知り続ける」ようにしていきましょう。