登山をこれから始めようとする方を含め、初心者にとって「事前準備に何をすれば良いのか?」迷うこともあるのではないでしょうか。正しく情報を収集し、本当に必要なモノを揃えることも準備のひとつです。大自然を相手に不安にならなくて済むよう「登山前の大切な準備」について紹介します。
「情報収集」を忘れずに目的地や個人の登山レベルに合わせて事前準備をしよう!
個人の経験によって登る山も低山から高山まで様々だと思います。子供や年配の方でも安心して行ける設備が整った山から事前にしっかりと計画を立てなければ危険が迫る山まで…。
しかし、共通して言えることは「情報収集を忘れずに!」…です。ご自身の登る山によっても持ち物に違いが出てきます。
例えば、ケーブルカーやリフトを使って1時間以内で登頂できる高尾山へ行く場合に、テントを始め寝袋やマットなど荷物を詰め込んで重いリュックを背負って行く事がないように、ご自身のレベルに合った行き先を決めたり、持ち物を選んだりすることはとても重要なことですね。
そこで、一般的な登山として事前準備について紹介したいと思います。
<登山のための事前準備>
①行きたい山の地図を読み解く
②天気に関する知識を身につける
③登山計画書の作成
※登山計画書の書き方はハピキャンでも紹介していますのでこちらを参照
④持ち物を揃える
登山靴・リュック(バックパック)・防寒具・レインウェア・地図・水筒・行動食(非常食)・タオル・帽子・サングラス・グローブ(手袋)・トレッキングポール・ヘッドライト・腕時計・テント・寝袋・マット・クッカー・バーナー・カメラ…
「④持ち物を揃える」に関しては、ズラッと挙げただけでも大荷物ですよね。目的地によっても持参するものが減らせますので後述します。
まずは、最初に「①行きたい山の地図を読み解く」について説明します。
<必要情報を事前に読み取るコツは地図にあり①> 標高・登る距離・高さを把握し所要時間の目安を計算
登山地図を買って計画を立てる
登山に行こうと決めたとき、アクセス方法や難易度等も目指す山を決める基準となりますよね。また、どの山に行くかを決めても、どこから登り始めるか、どのルートを通るか、日帰りで可能か等、考えることはたくさんあります。
経験談等をネット上で見つけることは簡単ですが、ある程度の目星をつけたらぜひ登山用地図を購入してみましょう。
かつて社会科の授業で見たような、等高線の細かく入った地図!…というと、難しそうに聞こえますが、昭文社の「山と高原地図」シリーズでは、登山道がかなりわかりやすく示されていて、初心者でも方向音痴な私でも簡単に要所を押さえられます。
「山と高原地図 富士山 御坂・愛鷹山 」2020/3/16 昭文社
目的地までの所要時間を計算する
まず車で行く場合、駐車場がどこにあるか、電車やバスで行く場合はどの地点から歩き始めるのかを見てみましょう。
目指す山頂の標高を見て、出発地点の標高と比べると、おおよそ何メートル登るのかが見えてきます。
登山で大事なのは歩く総距離に加え、どれくらい登るかを把握しておくことです。2,000mの頂上でも、車やロープウェイで1,500mまで行ける場合、登るのは500mとなりますよね。もちろん、途中でアップダウンがある場合はそれも頭に入れておく必要があります。
地点ごとの標高を細かく追っていくこともできますが、目安となるのが所要時間表記です。
通常、地図上には行き帰りそれぞれにかかる目安の時間が地点ごとに記載されているため、その時間が多い方が登りも多いということがすぐにわかります。
その所要時間を往復分、全て足すと、その登山で歩く合計の時間が見えてきます。
これは標準タイムなので、歩くペースが遅い人はそれ以上の時間がかかると思ってください。さらに、休憩時間が含まれていないため、休憩時間も鑑みて登山計画を立てることが重要です。
※リフトやロープウェイ等を利用する場合は営業時間をしっかり確認し、特に最終運行までに必ず戻ってくるプランを立てましょう。
<必要情報を事前に読み取るコツは地図にあり②> 山中にある水場や山小屋の有無を確認!
地図上で水場や山小屋の位置を見ておく
次に注目したいのが、地図上に書かれた「水」マーク。この印があれば、水場があるということ。つまり、飲める水が汲める可能性が高いです。
場所によっては、煮沸消毒を勧められていることもありますが、水場が豊富にある登山の場合は持って行く水の量を減らせ、リュックの軽量化を図れます。
さらに、山小屋が道中にあれば、飲み物の買い足しが可能な場合も多く、そこで昼食をとることができれば食料や調理器具を持って行く必要もありません。チョコレートや飴玉等の行動食で十分でしょう。
たとえ日帰りであっても、山小屋には有料トイレがあったり、スタッフがいることで緊急時にも安心感があったり、と初心者の山登りには、山小屋がある場所がおすすめ。山小屋を目的地とするのも楽しいものです。
※オフシーズンは営業していない恐れもあるので、事前に営業情報は確認しておいてください。無人の避難小屋の場合もあるので注意しましょう。
地図上で発見した山小屋は飲食や休憩以外でも大いに活用できます。例えば、服装や持ち物に迷ったら、その山の管理事務所や山小屋に電話してアドバイスをもらうのも一案。
山の関係者がまず願うのは、登山者の安全。そして、毎日その山を見ている人たちは、天気の傾向もよく知っているものです。どの程度の装備が必要か最新の情報を教えてもらい、参考にしてみてはいかがでしょうか。
<天気に関する知識を身につけて損は無し> 出発前に天気予報を必ずチェック!山は急変の恐れあり
山の天気は変わりやすいのが基本ですが、予報は必ず見ていきましょう。近年では、山の天気に特化したアプリ等の普及により、山頂付近の天気まで事前に見られるようになってきました。
ただし、出発時に晴れていても途中で雨が降り出すという急変の恐れもあるのが山。
ある程度、空色を自分で読めるようになると引き返しの判断も適切にできるかもしれません。山の天気に関する本も出版されていますので、読んでおけばその知識が役立つことでしょう。
「やさしい山のお天気教室」2016/5/17 エイ出版社 (著)粟澤 徹
登山計画ができたら何を持っていくべきか必需品のチェックを忘れずに!
防寒着と雨対策はセットで必要!
目的地を決め地図でルートを確認したあとは、いよいよ当日を迎えるだけとなりますが、それに合わせて登山靴、リュック、防寒着…その他諸々と装備しなくてはなりませんね。
そこで、必需品のチェックです。真夏でも山頂付近まで登れば汗で冷えたり風が強かったりと、急激な寒さを感じることはあり得ます。ネックゲイター等の防寒具は意識して準備するようにしてください。
また、雨の中の登山はおすすめしませんが、突然の雨に備えてコンパクトに折りたためるレインウェアやリュックの防水カバーも持って行くのは必須です。
そして忘れがちなアイテムとしては、腕時計とヘッドライト、地図を必ず持参しましょう。
多機能ウォッチはコンパスや高度計・気圧計・温度計付きと便利!
普段の生活で時計やライトが必要になったら、携帯電話を利用していませんか? もちろん、利用できるものは利用して構わないですが…
盲点として携帯電話を不意に落としてしまったり、バッテリーが消耗して電源が切れてしまったり…と、途中で使えなくなる事態も起こりえます。
登山の際は時間管理が肝心ですので、必ず腕時計を持って行きましょう。コンパス(方位計)や高度計、気圧計、温度計等を備え、登山データの記録を付けられるような登山向きのウォッチが便利。中でもソーラー充電式や防水機能のしっかりしているものがイチオシです。
SEIKO(セイコー)プロスペツクス アルピニスト RD SBEB003
ヘッドライトで両手の自由を確保&地図も忘れずに!
また、暗くなる前に下山予定でも、足の痛み等の思わぬトラブルで遅くなってしまう可能性もあります。ライトは両手の自由が確保できるヘッドライト型を持って行くようにしてください。
さらに、事前の情報収集に使用した地図も携行しましょう。携帯電話の充実した地図アプリがあっても、画面が日光の反射で見えにくかったり、手袋をしていて操作がしづらかったり、と不便に感じられることもよくあります。
なによりも、山では電波が通じないことも多いため、携帯電話に全てを託すことなくアナログに戻って自然体験をより豊かに楽しみたいものです。
PETZL(ペツル)ティキナ E91AB 150ルーメン
安全第一! 自分のレベルに合わせて無理のない登山計画と万全の装備で臨もう!
山登りの際には、安全確保が第一。そのためには、自分のレベルに合った山へ、必要な物を揃えて、無理のない計画で臨むことが重要です。事前の情報収集を怠らないようにしましょう。
また、荷造りの際に「あったら便利かも」と何でもかんでも詰め込むと、かなり重たくなって機敏に動けなくなるだけでなく、使いたいものがリュックの中で迷子になって、すぐに見つからない恐れもあります。季節や天候に気をつけながら目指す山の特徴をつかみ、万全を期して準備を進めてくださいね。