こんにちは、ファミリーキャンプ歴5年ぐらいになるくにぱぐです。「初心者におすすめのテント」をテーマにした記事や情報をよく見かけますが、実際に「キャンプ初心者が立てやすいテント」という視点の情報はあまりないように思います。今回は、初心者ファミリーを悩ませがちなテント設営、この問題を軽減してくれるテント選びのテクニックを考えてみました!
初心者用ファミリーテントの決め手は「設営のしやすさ」「手軽さ」
今回は「初心者ファミリー」を対象としたテント選び、というテーマになります。
まず私の話をしますと、我が家では設営をほとんど私一人でやっているので、テントはとにかく「設営のしやすさ」で選んでいます。
もちろん奥様やお子さんも協力してテント設営をするというファミリーキャンパーも多いかと思いますが、とはいえテントは立てやすいに越したことはないですよね。
特に初心者キャンパーの場合、設営の手順がわからず何時間もかかってしまったり、それが原因で楽しいはずのキャンプでケンカになってしまう…なんていうこともよくあるそうです(実際見かけたこともありますが、なかなかこちらも気まずいですね)。
そうしたリスクを軽減するためにも特に初心者キャンパーのうちは、「立てやすさ」を重視してテントを選びたいものです。今回はこの視点に絞ったファミリー向けテントの選び方を考えてみました。
世の中の「初心者向けおすすめテント」とはちょっと視点を変えた記事ですが、参考にして頂けると嬉しいです!
そもそも「設営しやすいテント」とは? 条件を整理して初心者ファミリー向けテントを考える
いきなり「このテントがおすすめ」と書いても私の独断感がすごいので、まず、「初心者ファミリーでも立てやすいテント」の条件を整理してみます。
- ペグの本数が少なくてもとりあえず自立すること
- 使うポールの本数が少ないこと
- 単純なダブルウォールを採用していないこと
- タープがなくても屋根下でくつろげる広さがあること
こんなところだと思います。ちょっと誤解を招きそうな内容もあるので、少し詳しく書いていきます。
条件1. ペグの本数が少なくてもとりあえず自立すること
ペグ自体はメーカー指定の本数すべてを打ち込む必要が(安全性の面からも)ありますが、少ない本数でとりあえず自立してくれれば、後は随分と気楽です。
立ってくれないとそこから先のことは何もできないのですが、一応でも立てば、テント内のセッティングとペグ打ちを並行して進められるからです。
そうなれば家族はテントの中で過ごす、その間にお父さんが残りのペグを打つ、といったことができます。
※ あくまでも指定のペグを全部打ち終わるまでは、仮設営という前提で、安全に注意してテント内に入るようにしましょう。
ですので、テントが少ない本数のペグで自立できるかどうかは、かなり重要な条件となります。
条件2. 使うポールの本数が少ないこと
ポールは組み立てが必要となり、またテントのスリーブやグロメットという通し穴に通すことが求められるため、多くなると時間と手間がかかります。
特に複数種類のポールを使い分けるタイプのテントは、「どのポールをどこに差し込むか」ということが、初心者にとっては最大の問題になるでしょう。
ただ、最近はテントメーカーもスリーブではなくフックを使う、ポールを色分けするなど、負担軽減になるような設計をしていますし、構造によって本数以上に負担の差が出てくることから、この項目は絶対というよりは目安だと言えます。
3. 単純なダブルウォールを採用していないこと
ダブルウォールとは、インナーテント+フライシートという二重の布を持つテントのことです。
これはテントにもよりますが、基本的には、インナーテントにポールを差し込んで立ち上げ、その上に追加のポールをつけたフライシートをかぶせる方式が単純かつ一般的です。
このタイプのテントは手間としては「2つテントを立ち上げる」に近く、時間がかかることが多いと言えます。
そういう意味では1枚の布であるシングルウォールタイプのテントは設営が早いですが、一方でシングルウォール式は、隙間風や結露しやすいなどの問題もあるので、シングルウォールの中に後からインナーテントを吊り下げるタイプ、あるいは「シールド」という布をテントの上から被せるタイプなど、手間の軽減できる形状のダブルウォール式がおすすめです。
4. タープがなくても屋根下でくつろげる広さがあること
テントを設営したらお次はオープンタープ。
初心者ファミリーはこれを必ずセットと考えがちですが、結局これだとテント2つ設営するのと負担がほとんど変わりません。
もちろん季節によってはオープンタープ下でくつろぐことがキャンプの醍醐味ではあり、その解放感は特別なので、タープを否定する気はありません。
とはいえ、冬季などはあまり外で過ごす時間も限られますし、それならオープンタープ無しでもくつろげるぐらい広さを持ったテントを立ててしまうほうが、速度は倍近く軽減できます。
タイプ別で考えるおすすめの初心者ファミリー向けテント
初心者ファミリー向けテントの条件を4つ挙げてみましたが、なかなかこれらすべてを満たすテントはありません(おそらくすべて満たすのは無理だと思います)。
とはいえ条件をいくつか含むテントをタイプ別に筆者がピックアップしてみました。
これらを参考にテント選びをしていくと、「思ったより設営が大変だった」ということはないのではないでしょうか。
1. トンネル式テント
トンネル式テントの場合、とりあえず設営するために必要なペグは、テントの前後を固定する数本のみなのが普通です(最終的にはかなりの数のペグでガイロープを固定します)。
ポールの本数は3~4本あり、決して少なくはないですが、複数本あるポールはすべて同じ形なのが普通で、初心者でも間違いにくいと思います。
またトンネル式テントはシングルウォール式なので、インナーテントはあっても設営後、内部に吊るすだけです(インナーテントとは別に、結露対策にシールドと呼ばれる布を上から被せるタイプもあります)。
そして構造上広さはかなりあり、入口をはね上げれば、リビング部分はタープ代わりにもなります。
こう見ていくとトンネル式テントはかなり初心者ファミリーキャンパーにも立てやすいテントだと言えますね。
▼おすすめのトンネル式テント
2. ワンポール(ティピー)式テント
ワンポール(ティピー)式テントはその名の通り、ポールは1本のみ。スリーブもなく、ペグダウンしてから1本だけのポールを立てれば完成と、そのスピード感は圧倒的です。
しかも、とりあえず立てるだけならペグは4~6本程度で良く、残りは設営後に打つでも問題はありません。
構造は完全なるシングルウォール式で、インナーテントは中で吊るすタイプが多いです。
ワンポール(ティピー)式テントはかなり多くの条件を満たしてはいるのですが、インナーテントをつけてしまうと前室がなくなる場合が多く、結果的にインナーテントを使わないで使用するほうが使い勝手の点からいうと上です。
ただ、こうなると下方からの隙間風に悩まされる場面が出てきがちです。
こういう場合、「カンガルースタイル」と言って、テントの中に小型のテントを就寝用に置いたりするのですが、個別にテントを購入するわけですから、これは費用がかなりかかります。
また、ワンポール(ティピー)式テントは、大きなサイズのものはあまりありません。
形状的にも上に向かってすぼむ形になるため、底面の広さはあっても実際はかなり狭く感じるケースが多く、解放感が得られにくいため、オープンタープが必要になるケースもあります。
とはいえ、設営はずば抜けて簡単なので、そのあたりの折り合いがつけば十分に初心者向けのテントだといえるでしょう。
▼おすすめのワンポール(ティピー)式テント
テンマクデザイン サーカスTCのレビュー記事はこちら↓↓
3. ツーポール式テント
ツーポール式とは、ワンポール式テントに考え方が近いのですが、その名の通りポールは1本から2本になります。
頂点が2か所になるためワンポール式テントよりも広い室内を確保できるのが最大のメリットです。
ただし広いと言っても、頂点に向かってすぼむ形状もあり、トンネル式や2ルーム式ほどではありません。インナーテントは端のスペースに小型のものを吊るすのが一般的です。
構造上、正面や背面を大きく開け放して使うケースが多く、タープも兼ねたような形状が特徴的です。
ワンポール式に比較すると、ペグの本数は増えますが、構造はシンプルですし、そこまで設営が大変なテントではありません。手間の小ささは初心者向きです。
ただし、ツーポール式テントは広さや手間など、あらゆる面で優れていると言えば言えるのですが、半面、使い勝手が独特で、すべてにおいてやや中途半端な印象もあります。
初心者であっても格好よく使えますし、他人とあまり被るテントではありませんから、好みに合えばオススメできる、といったところでしょうか。
4. ワンタッチ式テント
ワンタッチ式テントは形状としてはドーム型になるものがほとんどですが、折りたたまれたポールとテントの布が一体化しており、頂点にあるロープを引っ張るだけでテントが立ち上がるというものです。
また、ポップアップ式というのも同様で、こちらはフレームの反発力で展開、広げただけでトンネルテント形状に戻るというものになります。
従って設営はどんなテントよりも簡単で、ほぼ迷うところがありません。
一瞬で立ち上がり、ペグがなくても一応は自立するのも強みです。
テントの布は、インナーテントとフライシートが一体化したダブルウォール式がほとんどで、この点も広げるだけで張れるわけですから、考慮する必要はありません。
以上の点を見ていくとワンタッチ式テントは文字通り最高の選択肢なのですが、しかし、ワンタッチ式テントはあまり大きさや高さがないものがほとんどなので、オープンタープをつけたほうが快適になると思います。
▼DOD「わがやのテント」リリース記事はこちら
▼ayamayaのポップアップテントレビュー記事はこちら
5. エアフレーム式テント
本来金属のポールを、エアチューブに置き換えたタイプのテント「エアフレーム式テント」も最近は少しずつ増えてきています。
これは数本位置固定のためのペグを打ち、電動ポンプなどで空気をエアチューブに送り込むだけでテントの設営が終わるという画期的なもので、構造的に考えればミスなどの可能性はほぼありません。
テント、ポールが一体化しているという意味ではワンタッチ式テントに近しいですが、ワンタッチ式テントとは異なり、かなり大型のタイプがあるのが強みです。
このため、タープもいらず、広大な空間が簡単に得られます。
強度については、エアフレーム部分にTPU(熱可塑性ポリウレタン)などの頑丈な素材が用いられており、ちょっと何かが当たった結果、切れて空気が抜けてしまう、ようなことはまずありません。
▼エアフレーム式テントのおすすめはこちら
▼QUECHUA (ケシュア) エアーテント AIR SECONDS 4.1のレビュー記事はこちら
初心者ファミリーには設営難易度が高いテントについて
「初心者向け」として思い起こされがちなのはドーム型テント、あるいは2ルームテントがあります。また、見た目のかわいらしさからロッジ型テントも人気があります。
手間から考えると、これらは初心者向けとは言い難い部分があります。
ただ、幾つかのポイントを見極めれば、初心者といえどもそこまで使いにくいわけでもないので、以下の点に気を付けて見てみましょう。
1. ドーム型テント&2ルーム型テント
ドーム型テントと、それに巨大なフライシートをかぶせた2ルームテントは、「テントらしい形をしたテント」なので、初心者が真っ先に選びがちな傾向にあります。
クラシックな形状は実際立ててしまえば確かに使いやすいのですが、ドーム型テントで最低2本、2ルームになるとプラス1~2本はポールが必要となり、違う種類のポールを組み合わせながら、まずインナー、次にフライシートと組み立てていくのは、初心者にとってはなかなかのハードルです(しかも1人ではかなり難しい)。
一方でインナーテントはペグなしで自立するものも多く、2ルームなら前室もあり、広さも上々だと言えるでしょう。
ですので、最大の問題はポールなのです。
スノーピーク製品のように、ポールが明確に色分けされていたり、スリーブをなるべく通さないタイプのものを選ぶと、かなり手間は軽減できると思いますし、使い勝手の良い相棒になるでしょう。
▼ドーム型のおすすめテント
2. ロッジ型テント
ロッジ型テントはガッチリとしたフレームを組み上げ、そこにシートを被せることで、文字通り家のようになるテントです。
基本的に高価格帯のテントなのですが、何しろ見た目がスタイリッシュなので、つい初心者が手を出しがちな存在でもあります。
最大の問題はフレームを組み上げるポールの種類と本数の多さ。
ほとんどの場合「屋根」「柱」「ひさし」で別の種類のポールを使い、それぞれが複数本あるため、トータル10~20本程度になります。
これをポール同士連結させて骨格を作ってやるのです。
しかもポールをいきなり組み上げてしまうとシートがかけられない(手が届かない)ので、完成形が想像できないと、非常に手こずる可能性もあります。
とはいえ、いったんやり方がわかってしまうと、驚くほど簡単なのもロッジ型テントの特徴です。
他のテントと異なり、まず骨格を作ってしまうので、布を地面に広げずに被せることができるのも大きなメリット。
ただ、あまり広さはないので、結局オープンタープは欲しい気がします。
ロッジ型テントの場合「これなら簡単」と言えるものはないのですが、一方で練習さえきちんとすれば、どんなロッジ型テントも同じような考え方で簡単に立てることができます。
キャンプの時間は有限 慣れないうちはとにかく不安のないテントを選ぼう!
キャンプを始めるにあたり、「まずはテント選びから」と考えるのは普通のことですし、非常に種類の多いテントの中でいきなりベストの選択ができる人はあまりいません。
私も最初に購入したテントはご多分に漏れず2ルームタイプでしたし、結局そのテントは家族で2回程度使っただけで使用をやめてしまった経験があります。
そういう意味では最初はレンタルテントなりでゆっくり検討する時間を設けるのが正しいのでしょうね。
皆さんに改めて考えて欲しいのは、キャンプで使える時間は一泊ではおよそ24時間しかないということです。
この限られた中で、設営撤収にかける時間は少しでも削っておきたいものです。
不慣れなテントで設営に2時間や3時間もかけてしまうと、後の夕飯や焚火、そして入浴などの予定がどんどん後ろにずれていき、せわしない一泊を過ごすことになります。場合によっては汗まみれのまま入浴できないなんてこともあります。
もちろんラグジュアリーな時間を過ごしたい、気に入ったテントでのんびり過ごしたい、というキャンプの楽しみ方もあるので最終的には人それぞれではありますが、しかし初心者のうちはそこまでしなくても十分でしょう。
初心者のうちは、とにかくキャンプそのものを楽しむべきですし、実際最初のうちはすべての体験が楽しく感じられるはずです。
そのためになおのこと余計な時間は削るようにしたいですし、削るための不安要素に「テント設営」がなるべく入ってこないような選択をするといいのかなと思います。
どうぞ参考になさってみてください。
キャンプ初心者ファミリーに向けた要チェック記事はこちらにも
【初心者向け】ファミキャンに最低限必要なキャンプアイテムの揃え方!コスパ良&代用品も! - ハピキャン|キャンプ・アウトドア情報メディア