「上空約400km」と聞くと、途方もなく遠いイメージがありますよね。しかし実は「きぼう」のあるISSは、いくつかの条件がそろえば地上から肉眼で確認することが可能です。
ISSが日本上空を通過する際は、西から東に移動します。主に南西から北東、または北西から南東へ、飛行機よりも少し早いスピードで空を流れていくように見えます。
ISSを地上から見るための条件は、主に次の3つです。
①空が晴れているとき
②ISSが観測地点の上空付近を通過するとき
③地上は夜・ISSは昼のとき
それぞれの条件について、詳しく見ていきましょう。
①空が晴れているとき
ISSは、雲よりも高い宇宙空間を飛行しています。そのため、曇っていると地上から見ることはできません。ISSを観測するときは、
天気予報や
雲の様子(気象衛星)をチェックしましょう。
②ISSが観測地点の上空付近を通過するとき
ISSは秒速7.7km、1周約90分というスピードで地球を周回しています。地球は自転によって回転しているため、同じ軌道で飛行を続けるISSの通過コースは変化していきます。そのため、観測地の上空付近をISSが通過するタイミングにあわせて空を観察する必要があります。
KIBO宇宙放送局が運営するISS可視情報サービス「
#きぼうを見よう」では、NASAが定期的に更新し公開しているISS軌道情報をもとに、ISSの目視予想情報を公開しています。観測に適したタイミングを確認してみましょう。
③地上は夜・ISSは昼のとき
ISSを見るためには、「観測地の地上が暗く、ISSに太陽の光が当たっている」という条件も満たす必要があります。
地上から見たISSは、光り輝いています。しかし、ISSが自ら発光しているわけではありません。月や金星などと同様、太陽の光を反射することによって明るく輝いて見えるのです。
そのため、ISSに太陽の光が当たっている時間でなければ、地上からは観測できません。一方、明るい昼間に星が見えないことと同じように、地上からISSの輝きを確認できるのは辺りが暗い時間帯のみです。
条件としては相反しているように見えますが、日の出前や日の入り後の約2時間(季節による)のあいだに観測地の上空をISSが通過した場合、その輝きを目にできます。400km上空を飛行するISSは、地上の日が落ちてからしばらくの間は太陽に照らされているためです。
天気・通過コース・通過時間の条件をクリアしなければ見られないとなると、ISSの観測を難しく感じてしまうかもしれません。ただし、ISSは1周約90分のスピードで常に地球を周回しているので、観測チャンスは何度も訪れます。「夜空に輝くISSを見てみたい」という方は、ぜひチャレンジしてみてください。