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伊吹おろしが育む銘菓 「柿羊羹」家康にも献上

 岐阜県大垣市の銘菓といえばまずは「水まんじゅう」が挙げられる。しかし、地元の人から「これも忘れてはいけない」とお薦めされる銘菓といえば「柿羊羹(ようかん)」。一般的なようかんとは違い、口に入れると果物の風味が甘みの奥から引き立つ味が特長のようかん。県外でも製造・販売されており、ネット上では作り方のレシピも紹介されているほどの人気の品。そんな柿羊羹だが、発祥は大垣市だと伝えられている。話を聞くと、人気商品として多くの甘党に重宝されている味は、岐阜の歴史と気候によって育まれた風土の味だった。


 大垣市で柿羊羹を製造販売する老舗和菓子店「つちや」によると、柿羊羹の発祥は1838(天保9)年。干し柿として地元で生産が盛んだった「堂上蜂屋柿」を甘味として混ぜたようかん作りがその発祥という。「御菓子つちや」を運営する「槌谷」(同市俵町)の販売二部課長の五十川正則さん(58)によると「お菓子の原点は果物と木の実。砂糖がほとんど手に入らない時代、年間を通して入手できた干し柿を使ったと伝えられている」と話す。


 堂上蜂屋柿は美濃加茂市で生産が盛んで、平安時代には朝廷に献上され、江戸時代には年貢として上納されたといった記録も残る。大ぶりながらも甘みが詰まった干し柿で、同市の堂上蜂屋柿振興会の三輪宣彦会長(78)は「乾燥させると大きさが4分の1になる。それだけ甘みが凝縮される」と特長を語る。また、「乾燥は機械ではできない作業で、非常に手間がかかる。後世に伝えるべき伝統の技と考えている」と話す。


 大垣市内でも生産されており、関ケ原合戦の時には地元農民から徳川家康に献上されたのを受け、家康が「われ戦わずして大柿(大垣)を得たり」と全軍を鼓舞したとのエピソードも伝えられている。


 たわわに実った柿の実は例年11月ごろから収穫され、皮をむいた実は40~50日の間、つるして乾燥させる。不破郡垂井町にある槌谷の工場では毎日、風と秋の日光にさらす作業が期間中は毎日手作業で行われており、甘みを少しずつ凝縮させているという。ちょうど"伊吹おろし"の風が吹き下ろす時期にあたり、冷たい風と日光の温かみが味を引き締めるには最適といい、五十川さんは「この西濃の環境が人工的に出せない味を生み出している。まさに自然の恵みといえる」と解説する。


 乾燥を経てジャム状にされた干し柿は寒天などと混ぜ合わせ、ようかんへと仕上げられる。かつては柿のみで味付けしていたが、現在は砂糖を使うなど、味を調えているという。五十川さんは「時代のニーズに合わせて、味も変わってきている」とする一方、「ずっと長年伝えられている柿の味は、これからも守っていきたい」と力を込める。


 今シーズンの柿は例年並みの生育という。台風などの心配もあるが、秋の穏やかな日差しが実を大きくさせている最中で、出来も期待ができそう。堂上蜂屋柿という平安期から伝わる地元の甘味を生かし、西濃の風土に育まれた老舗のようかんは、次世代へと伝統を引き継ぎ、これからも"西濃の味"として多くの人を喜ばせていくだろう。

岐阜新聞社

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