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コアラは大変な美食家だった…柔らかい新芽が好み 餌のユーカリ、9割は廃棄

 「いい匂い」。さわやかな香りに歓声が上がる。鹿児島市の平川動物公園で7月下旬、コアラ館のバックヤード見学会があった。多くのコアラファンが餌となるユーカリの保存用冷蔵庫をのぞいたり、葉を観察したり。初めて見るユーカリに興味津々だった。

 ユーカリはオーストラリア原産の常緑高木。約600種類ある。

 落合晋作さん(42)らコアラ担当の飼育員は朝、餌の交換や掃除などをひと通り終えると、のこぎりを手に園周辺に広がる畑に出向く。1日平均90キロのユーカリを切る。

 餌は朝夕2回、栽培する14種のユーカリから数種類組み合わせるビュッフェ形式だ。コアラは匂いで好みの葉を探し、柔らかい新芽を選んで食べる美食家。残った葉の9割以上は捨てられる。「効率は悪いが、長く健康でいられるよう新芽をふんだんに与えている」

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 コアラを日本に送るオーストラリア政府は、ユーカリ確保を輸出条件の一つとする。平川は1978年度に敷地内外での栽培を開始。2021年度末現在、園内や周辺地域に約40のユーカリ畑があり、計14万平方メートルで約1万4000本近くを管理する。コアラ1匹につき千〜1200本が必要とされ、天候不良などで不足する場合は購入して補う。

 飼育員自らがユーカリを採るのは、平川ならではのスタイル。栽培に適した温暖な気候と、周辺の土地が豊富という地の利がそれを支える。

 県外の園ではユーカリを購入したり、飼育を担当しない職員が収穫を担ったりする。一方、平川スタイルだと、コアラの体調をよく知る飼育員が、食欲がない時も好んで食べてくれそうな種類をすぐ採りに行ける。必要な量だけ採るので作業や時間に無駄がないのも利点だ。

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 課題もある。台風や冷害の被害を受けると、十分な量を確保できなくなる恐れがあることだ。台風が直撃しそうな時は、枝が折れたり葉が飛んだりして無駄にならないよう、職員総出で取りに行った。リスク分散のため指宿や種子島でも栽培する。しかし、最近の異常気象もあり、「常に足りるか気にしている。余裕はない」。落合さんは不安をのぞかせる。

 名古屋市の東山動植物園は寒さに弱いユーカリを安定して供給するため、温室栽培を活用。さらに栽培を鹿児島や沖縄に委託しているが、燃料費の高騰による輸送費の増大に頭を悩ませる。

 落合さんは「より効率のいい栽培方法の確立が必要」と強調する。畑の中には急斜面や周辺の道が細く、収穫や運搬作業がしにくい場所もある。理想は足場の良い畑などへの転換や面積の拡大だが、予算と人手には限りがある。福守朗園長は「単純に比較はできないが、平川は職員の努力に支えられ、輸送費などは他園より費用を抑えられている。より作業がしやすくなるように畑の取捨選択も視野に、検討を続けたい」。



(連載「コアラがやってきた 平川動物公園開園50年」より)


ユーカリの新芽を食べるコアラ=鹿児島市平川町の平川動物公園




収穫したユーカリを車に積み込む飼育員の落合晋作さん=鹿児島市平川町の平川動物公園




朝の餌に気付き、目を覚ましたコアラ=5月27日、鹿児島市平川町の平川動物公園



南日本新聞 373news.com

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