桜餅、関東は巻くタイプの長命寺、関西はモチモチの道明寺。あなたの地域はどっち?
2018年03月09日

桜餅といったらどっち?
一般的に、関東ではピンクの皮を巻いた長命寺、関西ではツブツブの生地であんこをくるむ道明寺を桜餅と呼んでいて、不思議なことに、どちらにも寺の名前が使われています。ただ、なぜか北海道では、桜餅というと関西の道明寺を指します。なぜ、関東を飛び越えて北の大地が関西風なのでしょうか?
関東風の長命寺桜もちは、水溶きの小麦粉を焼いて巻く。江戸時代からの味

東京都墨田区の向島には天台宗の長命寺があり、1717年(享保2年)、山本新六という男が長命寺の門前で、桜の葉の塩漬けを使った和菓子を売り出したのが長命寺桜もちの始まりです。今でも向島には山本新六が創業した「長命寺桜もち」という店があり、江戸の味を今に伝えています。
〈参考サイト:長命寺桜もち〉
関西風は、もち米から作られた道明寺粉でくるむ

現在では道明寺粉は、桜餅以外ではおはぎや肉団子の皮などにも利用されますが、やはりメインは桜餅です。薄ピンクのツブツブ、ツヤツヤの皮は、餅のような粘りはありませんが、モチモチしていて美味。桜の葉の塩漬けと相性がよく、春らしい和菓子です。
北海道ではなぜか関西風が一般的。その理由は北前船

北海道の桜の開花はGW以降。
ところが、北海道で桜餅といえば、なぜか関西風の道明寺桜餅が一般的です。地理的に考えると、関東風の桜餅が江戸→東北→北海道へと伝わりそうですが、どういうわけか関東と東北を飛び越えて、関西の道明寺が伝わりました。理由は、江戸時代の北前船による流通です。北前船は日本海を通って瀬戸内海と北海道を結ぶ交易手段です。事実、東北でも日本海側の地域では、関西風の道明寺を桜餅と呼んでいるところもあります。
桜餅を指す和菓子が関東と関西で違うとは、日本の歴史の奥深さを感じますね。あなたの住む地域では、関東風と関西風、どちらを桜餅と呼びますか?
桜前線が気になる季節になりました。この冬、大雪に見舞われた北海道では今もなお、道路の脇にうず高い雪山があり、まだまだ春が遠い感じですが、日差しの強さが増してきました。着実に春が近づいています。
桜の葉を使う桜餅は春にぴったりの和菓子。お花見に持って行きたくなりますね。ただ、関東の長命寺桜もちが、もち米も餅も使われていないのに、なぜか「餅」と呼ばれるのかは謎のままです。