たくさん食べて体重を増やす! 越冬準備の「エゾモモンガ」
2020年10月26日
エゾモモンガは北海道にだけ生息。夜行性。手脚を広げて木から木へ
あっちの枝に飛び移ろうかなあ。
樹上で生活し、食べることも住むことも木に頼っています。モモンガなので、両手両脚を広げて滑空し、木から木へと移動します。その距離は数十m。条件がよければ100m以上も飛ぶことができます。
食に関しては、ほぼ完全な植物食。春はシラカバやハンノキなどの若芽、夏から秋にかけてはシラカバやカエデの実、ミズナラのドングリなど、冬はシラカバ、ハンノキ、カラマツなどの冬芽や花穂を食べます。
冬眠しない。木にあいた穴に住む。一つの巣穴に身を寄せ合って越冬
キツツキが作った巣穴を使わせてもらいます。
巣穴の出入り口は直径が4~5cmほど。エゾモモンガにはちょうどよい大きさです。ここにヤマブドウなどの樹皮を細かく裂いて敷きつめ、寝床にします。巣の深さは30cmほどになることも。
冬眠しないエゾモモンガにとって、この巣穴のよしあしはとても重要です。冬の間はこの巣穴に仲間たちが集い、身を寄せ合って寒さを乗り越えます。そのため、巣穴の保温性が高いことが、エゾモモンガが越冬するためにはとても大切な条件となるのです。
ただ、冬眠しないからといって、冬の間も夏と同じように生活するというわけではなく、動きが必要最小限に抑えられます。そのため、冬は活動時間が極端に短くなります。
越冬するために、秋になるとモリモリ食べて体重を増やす
体重、増えたかなあ…
一方、冬になると活動時間が極端に短くなるエゾモモンガは、越冬のためにドングリなどを大量に食べて皮下脂肪を増やします。そのため、体重は夏に比べると15~20%も重くなります。
体重が2割も増えるということは、人間に換算すると、60kgの人が12kg増えて、72kgになるということになります。秋のエゾモモンガは、さぞやプックリと太っていることでしょうね。
参考
帯広畜産大学:エゾモモンガってどんな動物?
知床博物館研究報告:エゾモモンガが越冬期に利用した営巣木
哺乳類科学:エゾモモンガの生態
冬眠しません