花粉シーズンをスマートにすごそう!これはやっておきたい「花粉症対策」
どうなる!?今年の花粉飛散傾向~注意すべき3K~
花粉の飛散量予測をみてみますと、今年は前シーズン(2016年春)に比べて、九州・四国・近畿・東海地方で「非常に多く」、中国地方で「多く」花粉が飛散する予測になっています。関東甲信・東北地方は飛散量は少なめの予想ですが、天気によっては大量飛散する日も・・・・油断は禁物です。
毎日心がけたい花粉症対策
大久保先生:そうですね、花粉シーズン中に大事な対策としては『花粉を体に取り込まないこと』、そして『ルーティーンな生活でストレスを減らすこと』が大事です。
河島:なるほど、まず『花粉を体に取り込まない』秘訣を教えていただけますか?
大久保先生:マスクやメガネをするのはもちろんのこと、家に入る前に服に付いた花粉を払ったり、花粉がつきにくい服を選んだり、外干しを控えるなど、できることはたくさんあります。スギ花粉症の人が家族にいる場合は、家族の協力が必要になりますね。
河島:確かに、家族の中に一人でも花粉症の人がいれば、花粉症じゃない人にも、家の中に花粉を持ち込まないように配慮して欲しいですよね。女性の場合は髪の毛も長い方が多いですし・・・そういえば私は髪についた花粉も払うようにしています。
大久保先生:いいですね!花粉シーズンは髪の毛を結わえておくと花粉が付く表面積を減らせるのでオススメですよ。それと、しっかり化粧をすること、帰宅後はすぐ化粧を落とすことも重要ですね。肌にも花粉が付きますから。
大久保先生:人間は慣れないことをするとストレスがたまりやすいです。逆を言えば、日常生活の一部をルーティーン化(習慣化)してしまえば、ストレスを感じづらくなります。花粉症の時のルーティーンなら、例えば「決まった時間に薬を飲む」「毎日同じルートで帰る」「上着を払ってから家に入る」「夜は軽くストレッチしてから寝る」など、色々あります。
河島:私は花粉シーズン中に寝不足になると、翌日症状が強く出やすい気がします。良質な睡眠を得るためにも、寝る前のルーティーンはとても大切ですね。
大久保先生:良質な睡眠のためのルーティーンなら、「寝る前に◯◯をしてから眠る」ことや「毎朝起きたらすぐカーテンを開ける」などの行動を習慣化してみるのがオススメです。夜に眠れないというのは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れているということですから、寝る前の半身浴や軽いストレッチをすることで、副交感神経を優位にさせることが大切です。慣れない最初のうちは、少しやりづらさを感じるかもしれませんが、「コレをやれば眠れる、起きられる」という感覚が掴めると、気持ちが楽になり、睡眠の質も上がります。ぜひ自分のルーティーンを見つけて欲しいですね。
河島:自分にあったルーティーンを見つけるために、自分の体のことをもっとよく知っておくことが必要ですね。
花粉症になりやすい人とは?まだ花粉症を発症していない人も注意!
大久保先生:花粉症は色々な要因が重なって起こります。遺伝という要素もありますし、どんな生活習慣をしているかということも関係します。
河島:最近は小さい子どもでも花粉症になると聞きますし、逆に加齢とともに症状が軽くなったという話も聞きます。年齢によって、なりやすさの違いはありますか?
大久保先生:年齢による違いは、少なからずあります。まず花粉症の低年齢化についてですが、『花粉の飛散量が多くなっていること』と『子どもの免疫が弱くなってきていること』が原因として考えられます。戦後植林されたスギが活発に花粉を産生する樹齢に達しているため、花粉の飛散量は増加傾向にあります。そして、医療や食生活の変化は、子どもの免疫に影響を与えていると考えられます。3歳ごろまでは食事も加工品の割合をできるだけ少なくして、素材から調理する機会を増やすのが良いですね。
河島:なるほど、長い目でみて「食事が体に与える影響」も考えていかないとダメですね。一方で、加齢とともに症状が軽くなる、という点はどうでしょう?
大久保先生:加齢とともに症状が軽くなるというのは一概には言えないですね。働く世代(主に20~50代)では、仕事などのストレスにより、症状が強く出る傾向があります。そういう人はリタイア後、仕事のストレスから解放されることで症状が軽くなる場合もあります。逆に、リタイア後、セカンドライフの充実で外出する時間が長くなることで、症状が重くなる人や、新たに花粉症を発症する人もいます。
河島:生活スタイルによって、年齢にかかわらず症状の出方は様々ですね。やはり花粉シーズン中には『花粉を体にとりこまないこと』に加えて、『ストレスを減らす生活を心がけること』も大事だということがよく分かりました。
来シーズンに向けて準備を!根本的な体質改善を目指すという新たな選択肢「舌下免疫療法」
大久保先生:そのとおりです。新たにこの治療を始める場合、花粉の飛散が終息してから開始します。この「舌下免疫療法」はスギ花粉シーズン終了後に始めることで、来年の花粉飛散期に向けて根本的な体質改善を目指していくものです。継続的な治療にはなりますが、今年より来年、さらに再来年と、年々症状が軽減されることが期待される新しい治療法になります。WHO(世界保健機関)が示した見解書(※)の中でも症状を抑えたり軽減する薬物療法とは異なり、根治が期待出来る治療法として位置づけられています。
※WHO Position Paper Allergen immunotherapy:therapeutic vaccines for allergic disease. Geneva:January27-29 1997
大久保先生:スギ花粉シーズン終了後、できるだけ早いうちに治療を開始しておくと、来シーズンの症状が変わってくると思います。地域や年によっても異なりますが、6月頃には開始することが出来ますよ。
河島:ただ、この治療法は通年の治療になるとのお話でしたので、ちゃんと続けられるかちょっと心配です。
大久保先生:実際に治療継続している患者さんでは、治療開始後のスギ花粉シーズンを経験することで効果を実感し、より継続しようという意識が高まっている傾向がありますね。 また、夫婦や親子で一緒に治療を開始すると、お互いに声を掛け合えて薬の飲み忘れを防げますし、励まし合えるので続けやすいようですよ。治療継続をサポートするスマホアプリなどもあるようですし、そういう物を活用してみるのも良いかもしれませんね。
河島:そうですね。実際に花粉症のつらさが軽減されたという効果を実感できれば、やる気も倍増ですね。
大久保先生:残念ながら日本では、これから将来もスギ花粉が飛散しないという年はないと思います。この対談をきっかけに河島さんも根本的な体質改善にトライしてみてはいかがですか? 毎年、春が楽しみで待ち遠しくなるかもしれませんよ。この「舌下免疫療法」は、現在は12歳以上の方が対象の治療法ですが、近いうちに小さなお子さんにも使えるよう開発が進められています。将来の事も考えて一度、最寄りの先生に相談してみてはどうでしょう。
河島:そうですね、まずは今年のスギ花粉シーズンを乗り切って、シーズン終了後には将来に備えた対策を検討していきたいと思います。先生に以前教えていただいた、この「舌下免疫療法」が相談できる医療機関の検索ページで最寄りの相談できる施設を探してみます。大久保先生、ありがとうございました。