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猛暑日・真夏日・夏日の違いは?定義や日数、期間、注意点をわかりやすく解説

2025年08月04日

猛暑日・真夏日・夏日は、いずれも気象庁が定義した暑さの程度を表す言葉で、気温によって使い分けられています。では、それぞれの基準となる気温が何度かご存じでしょうか?
この記事では、「猛暑日」「真夏日」「夏日」の意味や違いをわかりやすく解説するとともに、「年間で何日くらい猛暑日や真夏日があるの?」「真夏日や夏日はいつまで続くの?」といった、日数や期間に関する疑問にもお答えします。さらに、高温時に気をつけたい熱中症対策についてもご紹介します。
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猛暑日・真夏日・夏日の定義

猛暑日・真夏日・夏日の定義

気象庁では、暑さに関して、日最高気温を基準とした以下のような定義を設けています。

猛暑日(もうしょび):最高気温が35℃以上の日
・真夏日(まなつび):最高気温が30℃以上の日
・夏日(なつび):最高気温が25℃以上の日

また、夜間の最低気温が25℃以上のことを「熱帯夜(ねったいや)」と言います。

これらの暑さに関する言葉は、時代に合わせて少しずつ変化をしています。
昔から使われていた「真夏日」と「夏日」と比べると、「猛暑日」が使われるようになったのはまだ最近で、ここ20年ほどのこと。高温への注意・警戒を呼びかけるため、2007年に気象庁が新たに予報用語として定義しました。その年の新語・流行語大賞トップ10にも選ばれています。

さらに近年は、毎年のように全国各地で40℃以上が観測されるようになりました。40℃ともなると、その暑さや危険性は段違いになります。
増加傾向にある猛烈な暑さに対し、より一層の注意喚起を呼びかけるため、日本気象協会では、最高気温が40℃以上の日を「酷暑日(こくしょび)」として独自に定義しています。

猛暑日・真夏日・夏日の日数(都市別データ)

各都市における猛暑日・真夏日・夏日の年間日数(1995~2024年の平均と最多日数)

全国の代表都市(札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・福岡・那覇)について、過去30年間(※1995~2024年)の猛暑日・真夏日・夏日の年間日数(平均・最多)をまとめました。

亜熱帯海洋性気候である那覇を除くと、とくに大阪と名古屋で、猛暑日・真夏日・夏日ともに多い傾向があります。以下で詳しくみていきましょう。

<猛暑日の日数>
各都市における猛暑日の年間平均日数は、大阪と名古屋で約16日、福岡で10日、東京で7日、新潟で約4日、仙台で約1日となっています。一方、那覇や札幌では、平均でみると猛暑日はほとんどありません。那覇は年間を通して気温が高いものの、意外にも猛暑日になることは少ないのです。
ただし、年によって猛暑日の日数は大きく異なります。多い年には、福岡・大阪・名古屋で40日前後、東京・新潟では20日前後、那覇で8日、札幌で3日と、いずれの都市においても平均の2倍以上の日数になることがあります。

<真夏日の日数>
真夏日の年間平均日数は、猛暑日の傾向とはやや異なり、那覇が最も多く105日です。大阪と名古屋では70日前後、福岡・東京は60日前後、新潟・仙台は30日前後、札幌は約11日です。
こちらも年によって日数の変動が大きく、各都市とも平均日数より20〜40日ほど多く観測されることがあります。多い年には、福岡・大阪・名古屋・東京では年間90日以上、新潟・仙台では年間60日以上の真夏日が観測されています。

<夏日の日数>
温暖な気候の那覇では平均して年間200日以上、福岡・大阪・名古屋・東京では平均して年間3分の1以上が夏日です。
新潟における夏日の年間平均日数は約105日、仙台は約80日ですが、多い年にはやはり年間約3分の1が夏日になることもあります。札幌の夏日の年間平均日数は約59日、多い年で91日です。

猛暑日・真夏日・夏日に注意が必要な期間(都市別データ)

各都市において猛暑日・真夏日・夏日が観測されたことのある月(観測開始~2024年)

次に、猛暑日・真夏日・夏日が観測されるのはそれぞれいつからいつまでなのか、目安となる期間をまとめました。表は、同じく全国の代表都市(札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・福岡・那覇)について、過去(※観測開始〜2024年)に猛暑日・真夏日・夏日を観測したことのある月を示したものです。

よく「◯月なのに真夏日」といったニュースが聞かれますが、それぞれ「夏」や「暑」という言葉が含まれていても、夏に限ったものではありません。春や秋、夏日に限っては冬でも観測されることがあります。

<猛暑日の期間>
猛暑日は、那覇と札幌で7〜8月、それ以外の都市では6月〜9月にかけて観測される傾向があります。盛夏以外にも、梅雨の中休みや、長引く残暑には注意が必要です。

<真夏日の期間>
全国的に4月頃から真夏日になる日が出始めます。過去に真夏日が観測されたことのある月は、那覇は4~11月、福岡・大阪・名古屋・新潟は4~10月です。例えば、新潟では1987年4月21日に30.7℃、名古屋で2004年4月22日に30.3℃を観測しました。このように、ついこの間まで桜が咲いていたかと思っていたら、急に夏のような暑さがやってくることがあります。
東京・仙台は5~10月、札幌は5~9月にかけてと、ゴールデンウィーク頃から真夏日が出始めます。

<夏日の期間>
那覇では、一年を通して夏日になることがあります。福岡では、過去に1度だけ冬(2018年12月4日)に夏日を観測したことがあり、3月〜12月が夏日の出現期間の目安になります。それ以外の東日本・西日本の都市では3月〜11月にかけて、北日本の都市ではそれより少し短い4月〜10月にかけて、夏日が観測される傾向があります。

暑い日は熱中症に注意を!

熱中症予防のポイント

体が感じる暑さには湿度や日射も影響するため、単純に気温だけでは決まりませんが、やはり気温が高い日には熱中症のリスクが高まります。「猛暑日」「真夏日」「夏日」という言葉を見聞きした際には、気温だけでなく、湿度や日射、風の影響を加味した「暑さ指数(WBGT値)」や「熱中症警戒アラート」などもあわせて確認し、熱中症予防に努めましょう。

また、先ほど説明した猛暑日・真夏日・夏日に注意が必要な期間からもわかるように、暑さに気をつけなければならないのは夏だけではありません。まだ体が暑さに慣れていない春から夏の疲れが溜まっている秋にかけて、熱中症には十分ご注意ください。

熱中症を予防するためには、定期的に休憩をとり、こまめな水分や塩分補給を心掛けましょう。我慢をせず、エアコンなども上手に活用してください。また、日頃からバランスのよい食事や十分な睡眠をとったり、暑くなり始めの頃から運動をして暑さに体を慣らす「暑熱順化」をしておくといった体づくりも大切です。

熱中症の予防と対策については、以下でも詳しく解説しています。ぜひ、参考になさってください。
◆「熱中症疑いで救急搬送増 今こそ知っておきたい予防と対策」
◆「熱中症の予防・対策」(熱中症ゼロへ)※外部サイトへリンク

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気象予報士/熱中症予防指導員

瀬田 繭美

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