野菜や果物、茶葉、花きなど、生育中の農作物が、霜が降りるほどの低温にさらされて凍ってしまうと、枯れたり、品質の低下といったダメージを受けるおそれがあります。こうした被害は「凍霜害」と呼ばれ、農家にとっては大きな問題の一つです。時には凍霜害によって、数十億円かそれ以上の被害が及ぶこともあります。
最近では、2021年の春に、遅霜によって大規模な凍霜害が発生しました。山形・福島・長野県を中心に桃・さくらんぼ・りんごなどが大きな被害を受け、被害面積は1万2600ha、被害額はおよそ195 億円にものぼりました。被害額のうち6割以上を占める山形県では、過去最大の被害額となりました。
凍霜害の防止・軽減のためには、霜注意報の確認をしましょう。気象庁が発表する霜注意報は、まさに「遅霜・早霜による農作物の凍霜害発生に注意を呼びかけるため」の情報です。
というのも、霜注意報は「霜が降りるかどうか」ではなく、「予想外の時期に霜が降りることで農作物へ影響を与えうるかどうか」を基準として発表しています。「予想外の時期の降霜」とは遅霜・早霜のことで、沖縄・奄美などの一部の温暖な地域を除き、この期間(※)に限定して発表します。
ですから、霜が降る条件が予想されたとしても、そもそも作物が育たない冬に霜注意報は発表されないのです。まさに農家のための情報というわけです。
(※遅霜のみを対象とする地域もあります。)
各地域の霜注意報の発表期間と基準は、気象庁HPで確認することができます。
→気象庁「警報・注意報発表基準一覧表」(外部リンク)霜注意報が発表されたら、できる限りの対策を行いましょう。事前にできる対策としては、防霜ファンを使って上空の空気を送り込んだり(送風法)、灯油などを燃焼する(燃焼法)、湿度を高めるために水をまく(散水法)、下草を刈り込むといった方法があります。
家庭菜園の場合は、簡単にできる方法として、不織布やビニールなどの被覆材で作物を覆っておくとよいでしょう。