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海外旅行中の体調不良はどう防ぐ? 日本より暑い・寒い・紫外線量が多い国へ行くときの注意点を解説

[PR]2024年08月02日

海外旅行中に避けたい体調不良。旅行中は普段の生活とは違うスケジュールになりやすく、さらに日本との気候の違いで体調不良になってしまうこともあります。
今回は、海外旅行で想定される気象リスクについて解説について解説します。いざというときのために、海外保険の加入の検討についてもおすすめします。
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海外旅行で気を付けるべきことは?

せっかくの海外旅行、全力で楽しみたいですよね。
ただ、海外旅行の道中や旅行先では、慣れない環境のために思わぬことが原因で体調不良につながることも。特に、日本との気候の違いで、体調を崩してしまうことがあります。
今回は、そんな海外旅行中に気を付けたい気象リスクについて、詳しく解説していきます。

日本の気候と海外の気候

世界の気候は大まかに、 熱帯気候、 乾燥帯気候、 温帯気候、 冷帯気候、 寒帯気候に分かれます。

■熱帯
1年を通して気温が高く、降水量が多い。
■乾燥帯気候
降水量が少なく、砂漠や荒れ地が広がる。
■温帯
四季の変化がはっきりしている。
■冷帯気候
冬の寒さが厳しく、夏は過ごしやすいが短い。
■寒帯気候
気温が低く、1年中雪や氷におおわれている。

日本は、温帯気候に属していて、比較的過ごしやすい気候と言われています。日本よりも気候が厳しい地域が世界には存在することに留意することが必要です。
旅行をするうえでもう一つ覚えておきたい気候として「高山気候」が挙げられます。標高が高い地域の気候のことを指し、一年を通して涼しいが、気圧が低かったり、紫外線量が多かったりする特徴があります。
ヨーロッパのアルプス山脈や、アジアのチベット高原、北アメリカのロッキー山脈、南アメリカのアンデス山脈などが挙げられます。最近、写真映えで日本からも人気の観光地となっているアンデス山脈に囲まれたウユニ塩湖は、標高約3700m地点にあり、旅行者に向けて高山病リスクの注意喚起が行われています。

日本が夏の時に寒い地域に行くときの注意点

日本が夏の時に、寒い地域へ行く場合は、気温差による風邪に注意が必要です。日本が暑い時期だからと、防寒着を控えめに持って行く人もいるかもしれませんが、日本の真冬か、それ以上の寒さになっている可能性を考えて防寒着を用意すると良いでしょう。もちろん、現地の天気予報の確認も忘れないようにしておきましょう。
気温が低い地域では、相対的に湿度が低くなるため、乾燥にも注意が必要です。
そして、冬の地域で注意すべき点として、インフルエンザが挙げられます。
日本でのインフルエンザの流行時期は12月~2月頃であるのに対し、日本とは逆の季節となる南半球の温帯地域では4〜9月にかけて最も流行します。インフルエンザが流行している地域に行く場合は、旅行前にインフルエンザのワクチンの接種も検討しておきましょう。

日本が冬の時に暑い地域に行くときの注意点

日本が冬の時に暑い地域に行くときの注意点は、何よりも熱中症です。体が暑さに慣れず、暑さへの体温調節がうまくできない状況で暑い地域に行くと、熱中症になりやすい危険があります。暑い地域に行く人は、いつも以上に熱中症対策を行うようにしましょう。
体を暑さに慣らすために、旅行前から暑熱順化を行っておくことも大切です。
個人差もありますが、暑熱順化には数日から2週間程度かかります。余裕をもって暑熱順化のための動きや活動を始めましょう。
暑熱順化のための動きや活動には、次のようなものがあります。

・ウォーキングやジョギング
帰宅時にひと駅分歩く、外出時にできるだけ階段を使用するなど、少し汗をかくような動きをしましょう。目安としては、ウォーキングの場合の時間は1回30分、ジョギングの場合の時間は1回15分、頻度は週5日程度です。

・サイクリング
通勤や買い物など、日常の中で取り入れやすいのがサイクリングです。目安とし
ては、時間は1回30分、頻度は週3回程度です。

・筋トレやストレッチ
室内では、筋トレやストレッチなどで軽く汗をかくことができます。ただ、室内
の温度や湿度には十分注意して、暑くなりすぎたり、水分や塩分が不足したりし
ないようにしましょう。目安としては、時間は1回30分、頻度は週5回~毎日
程度です。

・入浴
シャワーのみで済ませず、湯舟にお湯をはって入浴しましょう。入浴の前後に
は十分な水分と適度な塩分を補給し、入浴して適度に汗をかくとよさそうです。
目安としては、入浴の頻度は2日に1回程度です。

日本よりも紫外線量が多い地域に行くときの注意点

日本との気候の違いでは、気温差だけでなく、紫外線量にも注意が必要です。
一般的にはアフリカ、インド、東南アジア、アラブ、中南米、オーストラリアなど、赤道に近いエリアが強いとされています。特に、日本からの旅行先としても人気であるオーストラリアでは、オゾン層の破壊などから夏季の紫外線量に厳重な注意が必要です。

標高が高い地域でも紫外線に注意が必要です。
山では紫外線が強くなると聞いたことがあるかもしれませんが、本当にその通りで、気象庁によると、一般的に、標高が1000m高くなると、紫外線の強さは約10%増加します。
紫外線は、上空から地上に到達する間に、空気分子や空地中のチリなどにより散乱され、紫外線の強度は弱くなります。標高が高い所は、上空の大気の量は少ないので、紫外線は散乱を受けにくくなるため、受ける紫外線は強くなります。
紫外線の多い地域に行くときには、万全の紫外線対策が必要です。
日焼け止めクリームに加え、帽子やサングラス、グローブ、フェイスガードがあると安心です。日焼け止めクリームには、SPFやPAという表記があるため、紫外線の強い場所で使用する場合は、SPFやPAの数値が高いものを使用しましょう。
一度塗った日焼け止めも、汗をかくことで落ちてしまうため、落ちたと思ったタイミング、もしくは2~3時間おきに塗り直すよう心がけると良いでしょう。

行先が決まったら…旅行先の天候を確認!

行先が決まったら、旅行先の天候の特徴について事前に確認しましょう。
今は、旅行専門サイトや天気予報サイトなどで、簡単に各国の気候の特徴を確認することができます。tenki.jp「世界天気」のように、各国の都市の天気予報を配信しているサービスもありますので、ぜひご活用ください。

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[日本気象協会] 気象予報士/防災士/熱中症予防指導員/全米ヨガアライアンス(RYT200)

安齊理沙

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