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七夕ってそもそもなに? 意味や由来、関連行事を解説します

2024年07月05日

7月7日は七夕です。織姫と彦星の伝説や笹飾り、七夕まつりなど、日本の伝統的な行事の一つとして昔から親しまれています。今回は七夕の意味や由来、そして七夕の楽しみ方などについてお伝えします。
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七夕とは?意味や由来は?

7月7日は「七夕(たなばた)」です。七夕というと、織姫と彦星の伝説や、笹飾り、七夕まつりなどがあり、昔から1月7日の人日(じんじつ)の節句、3月3日の上巳(じょうみ)の節句(桃の節句)、5月5日の端午の節句、9月9日の重陽(ちょうよう)の節句とともに五節句と呼ばれています。それぞれ意味や由来、習慣があり、日本の伝統行事のひとつです。
「七夕」は元々は、乞巧奠(きこうでん)という中国の行事で、機織りや裁縫の上達を祈る風習から始まりました。日本では奈良時代に伝わり、平安時代には宮中行事として七夕の行事が行われるようになりました。

そして七夕といえば、織姫と彦星が1年に1度だけ出会える日という伝説も知られています。機織りの仕事をして働き者の織姫と、牛の世話をしてしっかり者の彦星は、恋に落ち、結婚します。しかし、遊んで暮らすようになり、働かなくなってしまいます。それに怒った神様は、織姫と彦星を天の川を隔てて引き離してしまい、年に一度だけ7月7日の夜に会わせることを約束された、というお話です。
夏の夜に東の空を見上げると、ひときわ明るく輝くのが「こと座のベガ」です。そしてその周辺に帯状にぼんやりと星が集まって見えるのが「天の川」。その天の川を挟んで向かい側には「わし座のアルタイル」があり、さらにもう一つ、天の川に輝く「はくちょう座のデネブ」のこれら3つの星をつなげると「夏の大三角」になります。

織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)は一年に一度会えると言っても、その距離はなんとおよそ14光年。実際には一年に一度出会えるどころか、光が届くスピードでさえ14年もの年月がかかってしまう距離ですが、そんなことはさておき、どんなに離れていても織姫と彦星が1年に1度出会えると信じて、思いを馳せながら夜空を見上げたいものです。

七夕行事の準備は?七夕飾りの意味や食べ物は?

七夕行事というと、保育園や幼稚園でも定番の七夕の笹飾り。子供たちが短冊に願い事を書いて、笹飾りに飾る姿は可愛らしいですよね。
なぜ笹に飾るのかというと、笹の葉は生命力が強く、丈夫な植物であるため、神事に使われることが多いことや、魔よけの意味などもあるようです。短冊には色とりどりありますが、元々は古代中国の陰陽五行説に基づき、青、赤、黄、白、黒の5色だったそうです。それぞれ色にも意味があり、青(緑)は木、赤は火、黄は土、白は金、黒(紫)は水を表しています。鯉のぼりの吹き流しやお寺でも五色幕(ごしきまく)としてこの5色が使われています。

笹飾りには、願い事を書いた短冊の他にも、折り紙で吹き流し、提灯、網飾り、輪飾り、鶴などがありますが 、こちらもそれぞれ意味があるようです。

・吹き流し
織姫の機織りの糸に見立ててあり、「織物が上手になりますように」「裁縫が上達しますように」といった意味が込められているそうです。
・提灯
周りを明るく照らしてくれることから、「みんなの心を明るく照らす」といった意味や、「魔よけ」の意味があるようです。
・鶴
長寿を表し、「長生きできますように」という意味があります。
・網飾り
魚を捕る漁網を表し、「豊作や大漁」、「食べるものに困りませんように」といった意味があるようです。
・輪飾り
星が連なっている様子、つまり天の川を表しています。輪っかがつながっている様子は「人とのつながり」や、「夢が続いていく」といった素敵な意味もあります。

こういった笹飾りの意味を知って、ご家族やお仲間同士で色とりどりの折り紙で作って飾るのも楽しいですね。
また、七夕の日には、無病息災を願って、そうめんを食べる風習があります。仙台など東北地方や北海道では古くから食べられているようですが、今では全国的に広まっています。 なぜそうめんを食べるのかというと、平安時代の書物に書かれていたとか、天の川に見立てたとか、織物が得意な織姫にあやかって、裁縫や芸事がうまくなるように願いを込めたとか、古代・中国の「索餅(さくべい)」という料理に由来しているとか、諸説あるようです。

食欲も減退してしまうような夏の暑い時期、つるっと食べられるそうめんは、時期的にもピッタリです。七夕のメニューにする際は、にんじんやきゅうりなど夏野菜を星形にくりぬいたり、切り口が星形に見える夏の食材オクラを使ったりして、そうめんに彩りを添えても良いでしょう。

各地の七夕まつりについて

毎年7月7日頃や、旧暦で七夕の頃にあたる8月上旬※になると、全国各地で七夕まつりが開催されます。中でも、神奈川県の「湘南ひらつか七夕まつり」や、宮城県の「仙台七夕まつり」などが有名です。

「湘南ひらつか七夕まつり」は、湘南の夏の風物詩として2025年は7月4日~6日に開催されます。そして、青森ねぶた祭、秋田竿燈まつりとともに東北三大祭りのひとつとして知られる「仙台七夕まつり」は、新暦の7月7日から1か月後の毎年8月6日~8日に開催されます。七夕まつりでおなじみの、大きなくす玉がついた吹き流しは、仙台が発祥なんだそうです。

華やかな七夕まつりのでお出かけには、華やかな浴衣姿がお似合いです。ぜひ浴衣を着てお出かけするのもいいですね。

※「伝統的七夕」と呼びます

まとめ

例年、梅雨真っ只中となる7月7日も、旧暦で七夕の頃にあたる8月上旬も、どちらの時期も空模様が気になる所ですが、ぜひtenki.jpでお天気をチェックして七夕まつりを楽しんだり、織姫と彦星の伝説に思いを馳せながら、夏の夜空を見上げてみるのも素敵ですね。ぜひ皆さん思い思いの七夕を楽しんでくださいね。

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[日本気象協会]/気象予報士/熱中症予防指導員/京都検定2級/着付け講師

小野聡子

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