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【2016年お天気総決算】お天気10大ニュース 6~10位

[PR]2016年12月08日

tenki.jpラボでは、1年の締めくくりにふさわしい「日本気象協会が選ぶ2016年のお天気10大ニュース・ランキング」を発表します。2016年に最も大きく印象に残ったお天気ニュースは「地震・大雨・火山噴火 熊本を中心に相次ぐ災害」でしたが、6位から10位についても発表します。
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6位 秋の長雨と記録的日照不足 野菜高騰も

今秋は日本付近に秋雨前線が停滞しやすく、台風が次々と接近・上陸したため、東・西日本、沖縄・奄美では日照時間がかなり少なくなりました。9月の月間日照時間は、西日本日本海側で平年と比べて64%と、統計を開始した1946年以降で最少記録を更新しました。また9月の降水量は、西日本では平年比の180%以上となったほか、東日本や沖縄・奄美でも多く、全国的に曇りや雨の日が多い秋でした。9月に雨の降らなかった日は、東京都心や福岡ではたったの4日だけで、大阪でも5日だけでした。
こうした台風や長雨、日照不足などの影響で野菜が不作となり、葉物や根菜を中心に各地で野菜価格が高騰し、学校給食の中止が検討される事態にもなりました。

7位 最長エルニーニョ 暖冬や春の高温多雨に影響

2014年夏から始まったエルニーニョ現象は、2016年春まで継続しました。期間は8季節で、1949年の統計開始以来最も長くなりました。また、今回の発生期間中におけるエルニーニョ監視海域の海面水温は、2015年12月に基準値との差が+3.0℃に達し、統計開始以来3番目に高い記録となりました。
このエルニーニョ現象は、冬の東日本以西の高温・多雨と、春の東日本以西の高温や西日本太平洋側から沖縄にかけての多雨に大きく影響しました。特に春の高温傾向は顕著で、3月上旬は東日本の旬平均気温が平年差+2.8℃となり、1961年の統計開始以来最も高くなりました。また、5月は真夏日となる地点が多く、5月23日には全国929地点の観測所のうち213地点で真夏日となり、アメダスの整備が整った1978年以降、真夏日が200地点を超えた最も早い記録となりました。

8位 関東は水不足の夏 各地で取水制限も

暖冬の影響で、河川上流域における冬の少雪と早い雪解けに加え、中上流域における春の少雨により、関東の主要なダムは水不足に悩まされました。関東の6県に水を供給する利根川水系では、尾瀬沼地点において冬季の最大積雪深が平年値(289センチ)の60%(172センチ)で1954年以降の観測史上最低となった上、平年(5月23日)に比べ約1カ月早い4月28日に消雪し、観測史上最も早い雪解けとなりました。
さらに利根川上流域では、5月の月間降雨量は56ミリで、例年の48%にとどまりました。こうした影響を受けて、各地のダムでは異例の6月から取水制限を開始しました。その後も、東日本付近では7月を中心に梅雨前線活動が不活発で降水量が少なく、9月まで取水制限が行われました。
国土交通省関東地方整備局:利根川水系の最新のダム貯水状況

9位 世界の月平均気温 12カ月連続で過去最高を更新

気象庁によると、2015年5月から2016年4月までの間、世界の月平均気温の偏差はすべての月で1891年の統計開始以来最も高い値となり、12カ月連続で過去最高を更新しました。記録更新12カ月目となった4月の世界の月平均気温で見てみると、2016年は平年(1981~2010年の30年間平均)より0.54℃高くなった上、長期的には上昇傾向が続いており、100年あたり約0.76℃の割合で上昇しています。
さらに世界気象機関(WMO)は、今年1年間の世界の平均気温が、2015年を超えて19世紀からの観測史上最高になるという見通しも発表しました。地球温暖化に加え、長期間続いた大規模なエルニーニョ現象の影響を受けて、世界的に高温傾向になったと考えられます。

10位 正月三が日 記録的な暖かさ

2015年12月から2016年1月前半にかけて、日本付近は冬型の気圧配置が長続きせず、寒気の南下が弱く、気温の高い日が続きました。とりわけ、2016年の正月三が日は全国的に季節はずれの暖かさになりました。三が日の最高気温の平均値は、大阪市は13.6℃(1876年の統計開始以来2番目の高さ)、東京都心は13.9℃(1876年統計開始以来3番目の高さ)で、記録的な暖かさになりました。特に1月3日は、全国のアメダス観測地点929地点中51地点で最高気温が20℃を超えて、アメダスの整備が進んだ1978年以降、正月三が日としては最多記録となりました。
なお、この日最も気温が高かったのは沖縄県宮古島市の下地で26.0℃でした。また、この日は新春恒例の駅伝大会が行われておりましたが、小田原・横浜・東京とも最高気温が15.0℃を超え、レースは暑さとの戦いにもなりました。

<特別編>北海道・関東甲信で記録的に早い雪

なお、10大ニュース候補対象期間(2016年1月~11月上旬)以降に発生したため、候補対象外となってしまいましたが、11月には10大ニュースにランクインするような大きなニュースがありました。

11月、北海道では強い寒気が流れ込み、記録的な低温と、度々の大雪に見舞われました。特に11月上旬は記録的で、北日本の気温は平年差-4.1℃と1961年の統計開始以来最も低くなりました。また、札幌では11月6日、この時期としては大雪となる23センチの降雪を観測したほか、旭川では、30日連続で積雪を観測したことから、積雪が始まった10月29日が「根雪の初日」となりました。これは、平年より24日早く、北海道内で観測史上最も早い根雪となりました。
11月24日には、強い寒気と南岸低気圧の影響で、関東甲信地方の広い範囲で季節はずれの雪となり、各地で平年より一カ月近く早い初雪となりました。東京都心では1962年以来の54年ぶりに11月の初雪となり、1875年の統計開始以来はじめて11月に積雪(1センチ未満のため記録0センチ)を観測しました。そのほか宇都宮で4センチ、千葉で2センチなど関東甲信地方の 7 地点で、11 月としての日最深積雪の記録を更新しました。

「2016年のお天気10大ニュースランキング」は、気象を中心に、地象や水象などの日本気象協会が取り扱う情報の中から、 日本気象協会に所属する気象予報士が、2016年(2016年11月上旬まで)に特に印象に残ったニュースとして選んだものです。(気象予報士100名が印象に残った順に1位から5位を選び、その投票結果を順位によって重み付けを行い、ポイント化したものをランキングにしております。)



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tenki.jpチーム

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