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<2017年お天気総決算②>日本気象協会が選ぶ2017年お天気10大ニュース・ランキング 1~5位

[PR]2017年12月08日

tenki.jpラボでは、今年も毎年恒例の「日本気象協会が選ぶ2017年のお天気10大ニュース・ランキング」を発表します!日本気象協会所属の100名の気象予報士が、今年印象に残ったお天気ニュースを選び、結果をランキングにしました。2017年最も印象に残ったお天気ニュースは「九州北部で大雨による被害(平成29年7月九州北部豪雨)」となりました。
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1位 九州北部で大雨による被害(平成29年7月九州北部豪雨)

7月5日から6日にかけて、活発化した梅雨前線の影響で、九州北部を中心に局地的に非常に激しい雨が降りました。2日間の総降水量が、福岡県朝倉市朝倉で586.0ミリ、大分県日田市日田で402.5ミリを観測するなど、福岡県や大分県で記録的な大雨となりました。梅雨前線に向かう下層の暖湿気流と上空の寒気の流れ込みによって大気の状態が非常に不安定になり、積乱雲が発達して線状降水帯を形成し、継続して同じ場所に強い雨を降らせたことが原因でした。この大雨により、5日17時51分に福岡県、19時55分に大分県に大雨特別警報が発表されました。また、土砂災害や堤防の決壊などによる浸水害が発生し、死者37名、行方不明者4名の人的被害や家屋の倒壊など、多数の甚大な被害が発生しました。
この豪雨は、気象庁により「平成29年7月九州北部豪雨」と名付けられました。なお、同じ梅雨前線の影響で、5日朝には島根県の一部にも大雨特別警報が発表されました。

■2017年7月5日 九州地方の雨雲の動き
http://www.tenki.jp/past/2017/07/05/radar/9/

2位 雨の10月、秋雨前線と2週連続の週末台風

10月21日から23日にかけて台風21号が日本列島に接近・上陸し、西・東日本を中心に大雨や暴風・高潮による被害が発生しました。さらに翌週10月27日から29日にかけては、台風22号の接近によって沖縄・奄美から西・東日本で大雨や暴風になり、過去にほとんど例のない、2週連続の本州付近への週末の台風襲来となりました。
さらに秋雨前線が停滞した影響もあり、10月の月降水量は全国的に平年より多く、関東地方から九州地方では平年の3倍から5倍の所が多くなりました。大阪430.0ミリ、名古屋530.0ミリ、広島387.5ミリといずれも10月として1位の月降水量を記録、さらに過去3位の月降水量(531.5ミリ)を記録した東京では、11日から25日まで15日連続で降水を観測し、10月としては(※)127年ぶりの連続記録となりました。
沖縄・奄美を除き日照時間もかなり少なく、秋晴れは続かず、曇りや雨の日が多い10月でした。
(※10月1日から10月31日の期間における降水観測日が対象。)

■2017年10月の過去の天気
http://www.tenki.jp/past/2017/10/?selected_type=chart

3位 北・東日本で8月は連日の雨、夏空はどこへ

8月は、平年と比べて太平洋高気圧の本州付近への張り出しが弱く、オホーツク海高気圧が出現したため、北・東日本の太平洋側には北東からの冷たく湿った空気の流入が続き、日照不足や低温が顕著となりました。
その影響で、東京都心では天気がぐずつき、8月1日から21日にかけて21日連続で降水を観測しました。8月としては(※) 1977年の22日連続降水に次ぐ統計開始以来2位となり、月間日照時間は83.7時間と1891年の統計開始以来最も少なくなりました。
また、仙台でも7月22日から8月26日まで36日連続で降水を観測し、仙台の夏(6月から9月)の連続降水日数としては、1927年の統計開始以来最も長くなりました。さらに、8月の月間日照時間も57.1時間と統計開始以来最も少なくなりました。
( ※8月1日から8月31日の期間における降水観測日が対象。)

■2017年8月のアメダス(降水量)の記録
http://www.tenki.jp/past/2017/08/?selected_type=amedas&amedas_type=precip

4位 のろのろ台風5号、歴代2位の長寿記録

台風5号は、7月20日21時に南鳥島近海で発生し、太平洋高気圧や他の台風の影響を受けて、日本の南海上で動きが遅くなりました。その後、8月6日に鹿児島県屋久島、種子島を通過し、7日15時すぎには和歌山県北部に上陸、8日には日本海に到達して、21時に温帯低気圧になりました。19日間台風であったこの台風5号は、1951年の統計開始以来2位タイとなる長寿台風となりましたが、1位の台風(1986年の台風14号)は期間中の一時期熱帯低気圧に変わっているため、台風として存在した連続期間としては1位タイの記録でした。この台風の影響で、8月7日から8日にかけて西日本から東日本の広い範囲で大雨になり、各地で交通機関が乱れました。さらに奄美地方や近畿地方、北陸地方で記録的な大雨になり、滋賀県では姉川が氾濫して、浸水や農作物への被害が発生しました。

■2017年7月の衛星画像
http://www.tenki.jp/past/2017/07/?selected_type=satellite
■2017年8月の衛星画像
http://www.tenki.jp/past/2017/08/?selected_type=satellite
■2017年8月7日の近畿地方付近の雨雲の動き
http://www.tenki.jp/past/2017/08/07/radar/6/

5位 台風18号、記録的大雨や暴風で各地に爪痕

台風18号は、9月15日に東シナ海で進路を東よりに変え、17日11時半ごろに薩摩半島を通過した後、鹿児島県垂水市付近に上陸、16時半ごろに高知県西部、22時ごろに兵庫県明石市付近に再上陸しました。18日未明には日本海に到達して温帯低気圧となり、北海道地方を通過しました。当初の気象庁の速報値では、台風のまま北海道に達し、1951年の統計開始以来、初めて九州・四国・本州・北海道の4島に上陸した台風と報じられましたが、その後の解析で、北海道に上陸する前に温帯低気圧になっていたことが判明し、4島に上陸した台風ではなくなりました。この台風と前線の影響で、南西諸島や西日本、北海道を中心に記録的な大雨や暴風となり、大分県内では17日に4度の記録的短時間大雨情報が発表されるなど、西日本を中心に土砂災害や浸水害、河川の氾濫が発生しました。また、日本列島の広い範囲で鉄道の運休や航空機・船舶の欠航が相次ぎ、3連休の外出に影響しました。

■2017年9月17日の西日本付近の雨雲の動き
http://www.tenki.jp/past/2017/09/17/radar/8/
③日本気象協会が選ぶ2017年お天気10大ニュース・ランキング(6~10位)へ>>


「2017年のお天気10大ニュースランキング」は、気象を中心に、地象や水象などの日本気象協会が取り扱う情報の中から、日本気象協会に所属する気象予報士が、2017年(2017年11月上旬まで)に特に印象に残ったニュースとして選んだものです。(気象予報士100名が印象に残った順に1位から5位を選び、その投票結果を順位によって重み付けを行い、ポイント化したものをランキングにしております。)

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