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<気象予報士が振り返る「平成の災害」⑧>地震・火山災害編(平成元年-10年)

[PR]2019年04月22日

日本気象協会に所属する勤続30年以上の気象予報士20人が「地震・火山に関する平成の災害」を振り返り、被害の大きさや、社会的影響の大きさ、防災意識の変化や気象・防災情報の改善のきっかけをもたらした、などの観点から、10の地震・火山災害をまとめました。

このうち平成元年~平成10年に発生した3つの地震・火山災害について解説します。
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【平成3年6月】平成3年雲仙岳噴火

平成2年11月から長崎県の雲仙普賢岳で噴火が開始し、平成3年6月3日に、噴火開始後、最大規模の火砕流が発生しました。

火砕流は市街地方向へ流下し、避難勧告地域で取材を行っていた報道関係者や警察・消防関係者などがこの火砕流に巻き込まれ、死者・行方不明者43人の被害をもたらす大惨事となりました。

これを受けて、島原市で同月7日、当時の深江町で同月8日に、災害対策基本法に基づく警戒区域が設定されました。
噴火活動は長期化し、度重なる土石流や火砕流等により家屋や道路、農地等に甚大な被害をもたらしました。

【平成5年7月】平成5年北海道南西沖地震

左:地震後の奥尻町稲穂地区(写真提供:奥尻町)、右:地震前と地震後の奥尻町青苗地区(出典:青森地方気象台あおぞら彩時記)

平成5年7月12日午後10時17分頃、北海道南西沖を震源とするマグニチュード7.8の地震が発生し、最大震度5を観測しました。
なお、被害が最も大きかった奥尻では、地震計が設置されていなかったため、最大震度6と推定されました。

北海道、東北地方の日本海側では大きな津波が襲来し、奥尻島では最大21m(気象庁発表)の津波が到達して多くの方が犠牲になりました。
また、奥尻町青苗地区などでは、津波と地震後に発生した火災により壊滅的な被害を受けました。

大津波警報の発表より早く津波が到達したことを受けて、気象庁では翌年「津波地震早期検知網」などを整備し、地震発生から3分程度で津波情報が発表されるようになりました。

【平成7年1月】平成7年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)

建物が倒壊しているようす(写真提供:神戸市)

平成7年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3、国内初となる最大震度7の地震が発生しました(震度7は現地調査の判定による)。

死者は6434人(平成17年12月現在)にのぼり、多くの方が、建物の倒壊や火災の犠牲になりました。
また、ストレスや環境悪化などによる犠牲者も多く、「災害関連死」が初めて認められるようになりました。

この地震を受けて、地震防災対策特別措置法や耐震改修促進法が制定されたほか、気象庁は、震度観測点を大幅に増設し、震度階級を8段階から10段階への変更しました。
一方で、約138万人のボランティアが活動し、平成7年は「ボランティア元年」と言われるようになり、1月17日は「防災とボランティアの日」と定められました。
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