日本気象協会 tenki.jp

<2019年お天気総決算②>日本気象協会が選ぶ2019年お天気10大ニュース・ランキング

[PR]2019年12月05日

tenki.jpラボでは、今年も毎年恒例の「日本気象協会が選ぶ2019年のお天気10大ニュース・ランキング」を発表します。
日本気象協会所属の100名の気象予報士が、今年印象に残ったお天気ニュースを選び、結果をランキングにしました。
2019年最も印象に残ったお天気ニュースは「台風19号の猛威 関東甲信・東北で豪雨による甚大な被害」となりました。
ポイント解説へ

1位 台風19号の猛威 関東甲信・東北で豪雨による甚大な被害(10月)

10月6日に発生した台風19号は急速に発達して猛烈な台風となり、その後も勢力をあまり弱めることなく、日本列島に接近しました。

12日午後7時前に大型で強い勢力のまま伊豆半島に上陸した後、関東から東北地方を通過しました。台風本体の発達した雨雲や台風周辺の湿った空気の影響で、静岡県や新潟県、関東甲信・東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、史上最多の13都県に大雨特別警報が発表されました。神奈川県箱根町では、12日の日降水量が全国の観測史上1位となる922.5ミリを観測し、10日からの総降水量1000ミリを超えました。

台風による大雨の影響で、千曲川や阿武隈川の堤防が決壊するなど、多くの河川で氾濫し、土砂災害や浸水害も発生するなど、列島に深い傷跡を残しました。また、新幹線車両基地の水没したり、橋梁が崩壊したりするなど、甚大な災害となりました。

■2019年台風19号関連情報(日直予報士)
https://tenki.jp/forecaster/tag/12/
■2019年10月12日 雨雲の動き
https://tenki.jp/past/2019/10/12/radar/

2位 台風15号 千葉市に上陸 暴風で大規模な停電(9月)

9月5日に発生した台風15号は、9日午前3時前に三浦半島付近を通過して東京湾を進み、午前5時前に千葉市付近に強い勢力で上陸しました。

千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを観測するなど、千葉県内のアメダス観測点の約7割の地点で観測史上1位の値を更新し、各地で記録的な暴風となりました。また、羽田空港でも観測史上1位となる最大瞬間風速43.7メートルを観測しました。

この台風の影響で千葉県を中心に大規模な停電が発生し、93万戸以上が被害を受けました。さらに、停電により通信設備が使えない地域も多く発生し、被害状況の把握にも時間がかかりました。建物被害も相次ぎ、約4万2000棟の建物が損壊し、ビニールハウスなどの農業用施設も大きな被害を受けました。大規模な停電は長期化し、夏の暑さが残る被災地は大きく混乱しました。

■2019年台風15号関連情報(日直予報士)
https://tenki.jp/forecaster/tag/10/
■2019年9月9日 千葉県のアメダス実況(風向・風速)
https://tenki.jp/past/2019/09/09/amedas/3/15/wind.html

3位 千葉・福島で記録的大雨 土砂災害や浸水害相次ぐ(10月)

本州の太平洋側沿岸を進んだ低気圧と台風21号周辺からの暖かく湿った空気の影響で大気が不安定となり、10月25日は関東地方を中心に長い時間雨が降りました。

千葉県では局地的な前線が発生し、福島県でも夜を中心に非常に活発な雨雲がかかるなど、各地で記録的な大雨となりました。12時間降水量は、千葉県市原市の牛久で283.5ミリ(平年10月の月降水量比130%)、千葉県佐倉市で248.0ミリ(同比133%)、福島県浪江町で245.5ミリ(同比127%)を観測するなど、わずか半日で平年の10月ひと月分の降水量を上回りました。

この大雨で、台風15号や19号の爪痕が残る千葉県や福島県を中心に土砂災害、河川の氾濫が発生し、床上・床下浸水2500棟を超える住家被害が相次いだほか、鉄道の運休や航空機・船舶の欠航などの交通障害や、停電などライフラインにも大きな影響が出ました。

■2019年10月26日 雨雲の動き
https://tenki.jp/past/2019/10/25/radar/

4位 お盆に台風10号直撃 山陽新幹線で計画運休など帰省の足に影響(8月)

8月6日に発生した台風10号は、15日午前11時過ぎに愛媛県佐田岬半島を通過、午後3時頃広島県呉市付近に上陸し、お盆の日本列島を直撃しました。

12日から17日までの総降水量は、高知県馬路村魚梁瀬で872.5ミリに達するなど西日本の太平洋側を中心に500ミリを超える大雨となりました。お盆休みの交通機関も大きな影響を受け、15日に山陽新幹線が新大阪から小倉間で終日運休するなど、九州から北陸地方、北海道の各地の鉄道で運転見合わせが発生し、飛行機も895便が欠航となりました。さらに、夏の甲子園の順延や徳島市の阿波踊り大会が中止となるなど、夏のイベントにも影響しました。

また、台風が上陸した15日は北陸や東北地方の日本海側を中心にフェーン現象で猛暑になり、新潟県胎内市で40.7℃を観測しました。この日は朝から気温が高く、新潟県糸魚川市では最低気温が31.3℃までしか下がりませんでした。

■2019年8月15日 実況天気図
https://tenki.jp/past/2019/08/15/chart/

5位  5月に北海道で最高気温40℃に迫る記録的な高温(5月)

5月26日は、強い日射と5月としては異例の暖気が流れ込んだ影響で、北・東日本を中心に記録的な高温となりました。

北海道佐呂間町では日最高気温39.5℃を観測し、5月としては観測史上全国で最も高い気温を記録しました。この日は、全国のアメダス観測点926地点の中で、半数以上の492地点で5月下旬の日最高気温1位を記録し、そのうち36地点では年間を通しての日最高気温1位の値を更新しました。

また、5月は晴れた日が多く、強い日射の影響を受けたため、月平均気温もかなり高くなりました。特に暖かい空気が流れ込みやすかった北日本の月平均気温は平年差が+2.7℃となり、1946年の統計開始以来、5月としては1位の高温となりました。さらに、5月に日最高気温30℃以上の真夏日が連続した日数は、札幌市で3日、東京都心と名古屋市で4日、京都市で5日と、いずれも5月の真夏日連続日数としては最長記録となりました。

■2019年5月26日 北海道地方のアメダス実況(気温)
https://tenki.jp/past/2019/05/26/amedas/1/

※記事を一部修正いたしました。(2019/12/27)

6位 九州北部で前線にともなう大雨 佐賀・福岡・長崎に特別警報(8月)

8月26日から29日にかけて九州北部付近に停滞した秋雨前線の活動が活発になりました。前線に向かって暖かく非常に湿った空気が流れ込んだため、発達した雨雲が次々と発生し、東シナ海から九州北部にかけて線状降水帯が形成されました。佐賀県・福岡県・長崎県を中心に猛烈な雨が降り、26日から29日までの総降水量は、長崎県平戸市で626.5ミリ、佐賀県唐津市で533.0ミリを観測するなど、8月の月降水量平年値の2倍を超える大雨となった所もありました。特に28日は、佐賀県を中心に記録的な大雨となり、午前5時50分に、佐賀県・長崎県・福岡県に大雨特別警報が発表されました。

この大雨の影響で、河川氾濫・浸水害・土砂災害などが発生し、福岡県と佐賀県で合わせて4人が亡くなったほか、九州北部を中心に多くの住家被害が発生しました。また、停電や断水などライフラインに加え、鉄道の運休など交通機関にも影響が出ました。

■201年8月28日 九州地方の雨雲の動き
https://tenki.jp/past/2019/08/28/radar/9/

7位 西日本で遅すぎる梅雨入り 東京は異例の連続降水の梅雨(6月~7月)

2019年の梅雨入りは九州北部・四国・中国・近畿地方で、1951年の統計開始以来、最も遅くなりました。一方、九州南部と東海地方から東北北部にかけては平年並みか早くなりました。6月から7月にかけて、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱く、梅雨前線は日本の南に長く停滞しました。オホーツク海高気圧からの冷たく湿った空気が流入した影響で、関東や東北地方の太平洋側は、曇りや雨の日が多くなりました。

特に、東京都心では6月27日から7月16日まで日照時間が3時間未満の日が20日連続しました。これは、1988年7月に観測された連続日数17日を31年ぶりに更新する記録でした。また、6月27日から7月29日までの33日間連続で降水が観測され、1886年の統計開始以来最長となりました。

■2019年6月 東京都心(東京都)の過去の天気
https://tenki.jp/past/2019/06/weather/3/16/47662/
■2019年7月 東京都心(東京都)の過去の天気
https://tenki.jp/past/2019/07/weather/3/16/47662/

8位 今年も梅雨に九州で大雨 線状降水帯再び(6月~7月)

2019年の梅雨も、九州地方では大雨が相次ぎました。6月下旬から7月上旬にかけて梅雨前線が西日本から東日本付近に停滞し、九州南部を中心に局地的な大雨となりました。6月28日から7月5日までの総降水量は、宮崎県えびの市で1089.5ミリを観測し、鹿児島県内でも900ミリを超えた所がありました。

また、7月中旬から下旬には、東シナ海を北上した台風5号や高気圧周辺の暖かく湿った空気の影響で、九州地方を中心に大雨になりました。17日から22日までの総降水量は、九州地方や高知県で400ミリを超えた所がありました。20日は、長崎県の五島と対馬に線状降水帯が形成され、長崎県に大雨特別警報が発表されました。

これらの大雨の影響で、各地で河川の氾濫、浸水害、土砂災害などが発生し、住家被害、停電、断水などライフラインに被害が生じました。

■2019年7月3日 実況天気図
https://tenki.jp/past/2019/07/03/chart/
■2019年7月3日 九州地方の雨雲の動き
https://tenki.jp/past/2019/07/03/radar/9/
■2019年7月20日 実況天気図
https://tenki.jp/past/2019/07/20/chart/
■2019年7月20日 九州地方の雨雲の動き
https://tenki.jp/past/2019/07/20/radar/9/

9位 梅雨寒から一気に猛暑へ 熱中症搬送者数急増(7月~8月)

7月は、梅雨前線やオホーツク海高気圧からの冷たく湿った空気の影響で、曇りや雨の日が多くなりました。東日本と西日本では7月の月平均気温が平年を下回り、東日本で12年ぶり、西日本では4年ぶりの低温となりました。

一方、7月下旬に九州から東北地方で梅雨明けした後は、一転して各地で厳しい暑さとなりました。全国のアメダス観測点926地点のうち日最高気温35℃以上の猛暑日の地点数が100地点以上となった日は、7月31日から8月13日にかけて2週間も続きました。また、8月の東京都心の猛暑日日数は10日と、1875年の統計開始以来、1995年と並ぶ最多記録となりました。
この暑さで、8月の全国の熱中症による救急搬送者数は7月の約2.2倍となり、梅雨明け直後の7月29日から8月4日までの1週間の救急搬送者数は前週と比べて約3.2倍に増加しました。

■2019年7月 アメダス実況(気温)
https://tenki.jp/past/2019/07/amedas/
■2019年8月 アメダス実況(気温)
https://tenki.jp/past/2019/08/amedas/

10位 北半球に大寒波襲来 猛烈な寒さ(2月)

北極域上空にある非常に強い寒気を伴った低気圧の渦、いわゆる「極渦」が南下して大寒波が襲来した影響で、北半球では1月から2月にかけて猛烈な寒さとなりました。北米では1月下旬に記録的な低温となり、カナダのブランドンで-42.9℃を観測したほか、アメリカでも五大湖周辺で厳しい冷え込みとなり、イリノイ州シカゴでは1月30日の日最低気温が-30.6℃を観測しました。

2月は日本でも北日本を中心に非常に強い寒気が流れ込み、2月8日午前9時の札幌市上空1500メートル付近の気温は1957年の統計開始以来最も低い-24.4℃を記録しました。この影響で、8日の北海道内の全アメダス観測点で最低気温が35年ぶりに-10℃以下となったほか、札幌市では最高気温が40年ぶりに-10℃に届きませんでした。

■2019年2月 アメダス実況(気温)
https://tenki.jp/past/2019/02/amedas/

関連リンク

tenki.jpチーム

このライターの記事一覧
ライター一覧