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台風の上陸数 沖縄は「0回」の秘密に迫る!

2022年08月12日

「最も台風が上陸する都道府県は?」と問われて、皆さんが思い浮かべるのはどの県ですか?
鹿児島県?沖縄県?宮崎県?高知県?和歌山県?静岡県?
このあたりの地域が浮かんでくる方も多いはず。しかしこの中に1つだけ、上陸回数「0」の都道府県が紛れ込んでいます。

※最終更新:2024年8月27日
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台風が最も上陸する都道府県は?沖縄はまさかの0回

上陸数No.1「鹿児島県」

「台風といえば南国」のイメージ通り、台風の上陸回数は特定の地域に偏っており、上陸数が2桁となっている上位7県で全体の約3/4を占めています。
上位5県の顔ぶれはこのようになっています。
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1位 鹿児島県 43回
2位 高知県 26回
3位 和歌山県 25回
4位 静岡県 22回
5位 長崎県 18回
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(1951年~2024年台風9号まで)

一般的に台風は、日本の南~南西からやって来ることが多いので、海岸線が南西に面している都道府県に上陸しやすい傾向があるようですが、あの「沖縄県」がランクインしていないようです。なぜなのでしょうか?

沖縄にはなぜ上陸しない?その秘密は上陸の「定義」に

沖縄県の上陸回数が「0回」といっても、台風が沖縄に近づかない訳ではありませんし、沖縄に直撃するような進路を辿る台風もよく見ますよね。ではなぜ「0回」なのでしょうか?

その秘密は台風上陸の定義にあり、気象庁によると

「台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達した場合を言う。」

が定義とされています。つまり、沖縄県は定義の中に含まれていないのです。
そのため、台風がどんな進路を取ろうとも、上陸とは言えません。台風が沖縄県のど真ん中を突っ切ったり、沖縄県の直下で3日くらい停滞したとしても、「上陸」とはならないのです。

沖縄県の台風「接近」数を他の地域と比較

しかし、沖縄の上陸回数が記録上「0回」となってしまうと、沖縄にどれだけ台風が来ているのか、他の地域と比較できないじゃないか?と思った方もいるかもしれません。

そんなときは、台風の「接近」数※で比較するのがおすすめです。

気象庁「台風の接近数」のページでは、
・全国への接近数
・本土への接近数
・沖縄、奄美への接近数
という形で比較することができます。

このページによると、沖縄・奄美の台風接近数は、それ以外のすべて地域(本土)の概ね1.3~4倍のようです。「沖縄vs沖縄以外の全て」で比べても沖縄のほうが多いわけですから、やはり沖縄には台風がよく襲来していることが分かりますね。

※気象庁 | 台風の接近数
https://www.data.jma.go.jp/yoho/typhoon/statistics/accession/index.html

台風が発生した場合は台風情報を確認しましょう

台風は非常に広い範囲に大きな影響を及ぼすエネルギーを持っています。そのため、上陸や通過の有無に関わらず日本付近に接近するだけでも、大きな被害が発生する可能性があります。
台風が発生したときは、最新の台風情報をチェックし、早め早めの備えや避難策を心掛けましょう。

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