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スギ花粉症の方へ、どうしても伝えたい~今年の花粉飛散予測と対策まとめ~

[PR]2018年01月16日

今年もスギ花粉飛散シーズンがやってくる!あなたの花粉症対策、万全ですか?今年の花粉飛散予測を参考に、「シーズン前・シーズン中・シーズン後」に出来る花粉症対策をまとめました。
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最新!今年の花粉飛散予測発表

まもなくスギ花粉飛散シーズンに突入!日本気象協会は、1月16日に2018年春の花粉飛散予測(第3報)を発表しました。今年の花粉の飛散数は、前年の夏の気象条件が大きく影響します。前年夏の気象条件より、東北から近畿、四国地方までの広い範囲で、前シーズンの飛散量を上回る見込みです。東北は前シーズンの約2倍、関東甲信、四国では約1.5倍となる予想で、特に注意が必要です。また、スギ花粉の飛散開始時期は例年並みで、来月2月上旬には九州や中国、四国、東海、関東地方の一部で花粉シーズンが始まるでしょう。
花粉の飛散開始日は、「1平方センチメートルあたり、1個以上のスギ花粉が2日続けて観測された最初の日」と定義されています。つまり、「スギ花粉の飛散開始」とニュースで報じられる前から、スギ花粉は微量ながら飛んでいるのです!飛散開始が発表される前でも、毎年症状が出はじめている方もいらっしゃるでしょう。そのため、飛散開始のニュースを待たずして、花粉症対策をはじめるのが得策です!

さらに、花粉が飛散開始して1~2週間経ったくらいから、花粉の飛散量が多くなってきます。特に、以下のような気象条件の日は「花粉の大量飛散」になる可能性が高いため、注意が必要です。

① 晴れて、気温がグッと上がる日
② 空気が乾燥していて風が強い日
③ 雨上がりの翌日や、気温の高い日が数日続いたあと

どれくらい花粉が飛ぶと症状が出るか、個人差はありますが、①~③のような日は万全の花粉症対策が必要といえるでしょう。

花粉症治療のスペシャリストに聞いた!シーズン直前・シーズン中・シーズン後の花粉症対策

2月から3月にかけての本格的なスギ花粉飛散シーズンを乗り越えるために!気象予報士・河島未怜が、シーズン直前・シーズン中・シーズン後に実践したい花粉症対策について、アレルギー疾患のエキスパートである、日本医科大学の大久保先生に聞きました。

【シーズン直前の対策について】
河島予報士:スギ花粉症の方が憂鬱になる季節になりましたが、スギ花粉飛散シーズンに入る直前に、はじめておいた方が良い対策はありますか?

大久保先生:毎年スギ花粉症の症状が辛くて憂鬱になる方は、スギ花粉が飛びはじめる前から薬物治療を開始すると良いですね。

河島:スギ花粉が本格的に広範囲で飛びはじめるのが、毎年2月下旬から3月上旬と考えると、それより早めに対策をスタートさせるのが良いということですね!

大久保先生:そうですね。症状の辛さは人によって様々ですが、毎年飛散開始時には症状が強く出る方は、1月下旬から2月上旬には抗ヒスタミン剤などの薬物治療をはじめると良いですね。もちろんシーズン前にはじめられなかった方も、症状が出てきたら出来るだけ早く薬物治療を開始することで、症状の深刻化を軽減することが可能です。

【シーズン中の対策について】
河島:続いて、シーズン真っ最中の対策について教えてください。

大久保先生:薬物療法で症状を緩和させることも必要ですが、シーズン中に一番大事なことは「花粉を取り込まない」ことです。具体的な対策としては、「屋外ではマスク・メガネを着用する」、「長い髪の毛は束ねる」、「花粉のつきやすい素材の服を避ける」などですね。

河島:この時季は花粉がつかない生活をするのは、なかなか難しいですよね。花粉は皮膚にも付くと聞いて、私はお化粧を早めに落とすようにしています。

大久保先生:いいですね!衣服や髪の毛、皮膚などについた花粉は、手ではらうだけでは100%は取り除けないですから、一番は「水に漬ける・水で洗う」ことです。

河島:体調管理の面では、どんなことに気をつけたら良いですか?

大久保先生:きっと聞き飽きた・・と思われるかもしれませんが、「規則正しい生活」が花粉症の症状を軽減します。十分な睡眠時間、バランスのとれた食事、ストレスのない生活が理想です。

河島:働き盛りの世代には実現が難しそうですね・・・

大久保先生:そうですね、生活習慣を変えるのはハードルが高いですが、毎年2月から4月の約3ヶ月間をスギ花粉症の症状に悩まされて、生活の質や仕事の効率が落ちるのは大変勿体無いことです。症状の辛さに応じて、医療的な対策もありますから、ぜひかかりつけのお医者さんに相談してもらいたいですね。
【シーズン後の対策について】
河島:シーズンが終わったら一安心!と言いたいところですが・・・

大久保先生:花粉症の辛さを忘れる前に、「花粉に対する自分の症状はどうだったか」を思い起こすことが、来シーズンの花粉症対策のはじまりです。

河島:今年の自分は、薬物治療によって症状が軽く済んだか、もしくは薬を飲んでも症状が辛かったか、といった自己分析をすれば良いのでしょうか?

大久保先生:はい、もし症状が辛くて日常生活に支障をきたしたと思ったら、薬物療法などの対症療法だけでなく、舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)などの根治療法という選択肢もあります。この舌下免疫療法は「花粉シーズンが終わった後」から「次の花粉シーズンが始まる前」までしか治療を開始できません。花粉症の症状を覚えているうちに、お医者さんに相談することが、来シーズンの花粉症対策になります。

花粉症治療は進化中!舌下免疫療法とは?

河島:私もスギ花粉症が毎年ひどくて・・・根本から治したいと思い、一昨年とうとう『舌下免疫療法』の治療を開始しました(昨年の河島の症状は、前回の記事にて語っています)。 私自身は1年目から体質の変化を実感していますが、私の周りでは未だこの治療法を知らない人もたくさんいます。

大久保先生:舌下免疫療法はここ数年で普及した新しい治療法で、完治を目指す『根治療法(対処療法とは異なり、完治を目指した治療法)』のひとつです。1日1回、舌の下にアレルゲンが含まれた薬剤を置いて、定められた時間保持したあと、飲み込むのです。少量ずつアレルゲンを摂取することで、花粉症体質を根本から改善することを目指す、画期的な治療法なんですよ。

河島:1回目の服用時は、お医者さんの監督のもとで行いましたが、2回目以降はお家で出来るんですよね。通院が少なくて済むので、どんなライフスタイルの方にも取り組みやすい治療法だと思いました。でも、スギ花粉症の人がスギ花粉を摂取するという治療法を初めて聞いた人は・・・びっくりしますよね。

大久保先生: そうですね、考え方としては「体の細胞に花粉を見せる」という感覚で、細胞にたくさんスギ花粉を見せることで、「異物ではない」ということを細胞に教えてあげるんです。そうすることで、アレルギー症状を起こさない体質へと改善を図ります。

河島:スギ花粉を異物だと思ってしまうから、体の免疫反応でクシャミや鼻水が出てしまうわけですが、スギ花粉を異物ではないと体に教えるのが舌下免疫療法なんですね。

大久保先生:厚生労働省研究班が舌下免疫療法を行った患者さんに対して実施したアンケート調査結果では、ほぼ8割の患者さんが「症状が改善している」と回答しています。人によって効果の出方は異なりますが、次第にスギ花粉に対する反応性が変わってくると思います。スギ花粉の飛散が少ない年はあっても、ゼロになる年はありませんから、体質を改善するという方法があることを皆さんに知ってもらいたいですね。

河島:舌下免疫療法には興味があるけど・・最新の治療法ですし、大きな病院でないと出来ないのかも?と思う方もいらっしゃると思います。

大久保先生:舌下免疫療法を行っているお医者さんは街中の病院にも増えてきていますので、近くの医療機関を検索して、相談に行ってみてくださいね。

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