そもそも都市でハトが多いのは、もちろん餌やりにも起因しますが、新聞社が通信用に伝書鳩を使い、各社に鳩舎があったこと、日清・日露・日米戦争を通じて、軍鳩が大量に導入されたこと、1964年の東京オリンピックでハトの飼育ブームが起き、鳩レースが活性化したこと、そしてこれらの伝書鳩が野生化(ドバト化)し、もともといたドバトと交じり合うことで数が増えたという経緯があります。
ハトが「公害」として迷惑がられるようになったのも、鳩レースブームが衰退し、人がハトを必要としなくなった1980年代ごろから顕著になっています。
優れた帰巣能力で、人間を助け共存してきたハト。かわいがってくれていた人間の近くは、彼らにとっての「帰る場所」です。ハトからすれば、人間が急に冷淡になり、憎しみの目すら向けてくることに、まるで豆鉄砲を食らったような気持ちなのではないでしょうか。
(参考・参照)
ナショナルジオグラフィック 2018年1月号 鳥たちの地球
6月28日 渡り鳥のコンパス分子:地磁気は目で感じる?(6月23日 Nature オンライン掲載論文) | AASJホームページWhy Are There So Many Pigeons?(ライブサイエンス)鳩大量失踪の謎。レースに参加した数千羽の鳩が行方不明に (2021年7月2日エキサイトニュース)