さて、ここまで台風の進路予報の形についてみてきましたが、扇形、予報円、コーンはあくまで「台風の中心位置」の予報にすぎません。
台風の影響範囲を表す方法として、日本では暴風警戒域を追加して表示するようにしたことは先ほど説明しましたが、海外でもいろいろな方法がとられています。
例えば、オーストラリアや韓国では、”コーンの中心を通った場合”に予想される暴風域と強風域をあわせて表示しています。日本の場合は”予報円のどこかを通った場合”に予想される暴風域を表示しています。日本のように、誤差も含めて予想される暴風域を表示させている国は珍しいと言えそうです。
またアメリカやオーストラリアでは、進路予報と一緒に警報・注意報を合わせて表示しています。
上記のアメリカのハリケーン予想図の例では、警報・注意報について海岸線のみ塗られていますが、今後は陸域も含めて表示することが検討されています。
その際、台風の進路予報のコーンと重なる場合は警報・注意報を優先して塗りつぶすとしています。これは、真に重要なのは「台風の中心位置がどこにあるか」ではなく、「台風によって警戒が必要な地域がどこか」であるためです。
◆アメリカ国立ハリケーンセンター:熱帯低気圧情報
https://www.nhc.noaa.gov/◆オーストラリア気象局:熱帯低気圧の経路予測図の見方
http://www.bom.gov.au/cyclone/tropical-cyclone-knowledge-centre/warnings/#track-maps今、日本の台風情報も再び検討が必要なタイミングを迎えています。
予報円をよりわかりやすく、精度よくすることはもちろんですが、諸外国の例をみても、より台風全体の影響範囲がわかる情報発信が求められていると言えそうです。