日本気象協会 tenki.jp

「◯◯mmの雨」とはどれくらい?雨の強さの目安と影響

2025年08月12日

「1時間に30mmの雨」と聞いて、どれくらいの雨かピンときますか?また、「激しい雨」と言われて、どれくらいの雨をイメージするでしょうか?
この記事では、雨の強さとその目安について、具体的な数値やイメージを交えて解説します。また、雨の強さによって、私たちの暮らしにどのような影響があり、どのような点に注意したらよいかについてもお伝えします。
ポイント解説へ

そもそも「雨の強さ」とは=1時間あたりの雨量

雨の測り方 「30mmの雨」をイメージしてみよう

「雨の強さ」は、1時間あたりの雨量で表します。また、この雨量は「mm(ミリ)」で表現されますが、これは「水の深さ」を意味しているからです。実際には、降った雨は地面に染み込んだり周りに流れていってしまいますが、そのままたまった場合にはどれくらいの深さになるかで測ります。

例えば、幅・奥行が1m四方の水槽に1時間で30mm(3cm)の深さの雨がたまったとすると、30リットル分の雨が降ったということになります。なお、その場に降った雨がそのままたまるので、水をためる水槽の大きさに関係なく、水の深さは同じになります。
傘を広げた時の面積がだいたい1平方mになるため、傘をさして1時間外にいたら、30リットル=牛乳パック30本分の雨が傘にあたるイメージです。さらに10分あたりで考えると、牛乳パック5本分の雨ということになり、「結構多いな」と感じられるかと思います。

雨の強さの目安の一覧

雨の強さの表現と目安

雨の強さと1時間雨量の目安をまとめました。
【 】の中は、1時間雨量を基準として気象庁が定めている雨の強さの呼び方です。

・1時間雨量3mm未満【弱い雨】
シトシトと降り、地面が湿るくらいの雨です。
なお、数時間続いても雨量が1mmに達しないくらいの雨は、「小雨」とも呼ばれます。

・1時間雨量3mm以上10mm未満
本降りの雨で、地面に所々水たまりができます。

・1時間雨量10mm以上20mm未満【やや強い雨】
ザーザーと降る雨で、地面一面に水たまりができます。家の中でも雨音で話し声が聞き取りづらいような雨です。

・1時間雨量20mm以上30mm未満【強い雨】
どしゃ降りの雨で、家の中でも寝ている人の半数くらいが雨に気づきます。

・1時間雨量30mm以上50mm未満【激しい雨】
バケツをひっくり返したように降る雨で、道路が川のようになります。

・1時間雨量50mm以上80mm未満【非常に激しい雨】
滝のようにゴーゴーと降り続く雨です。水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなります。

・1時間雨量80mm以上【猛烈な雨】
息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じるほどの雨です。

雨の強さと人への影響|傘の必要性や危険性はどれくらい?

雨の強さと人への影響

外にいる人にとってどれくらいの影響があるのか、雨の強さごとにみていきましょう。

「弱い雨」の場合、雨量1mmは傘をさす人・ささない人がわかれるくらいの雨です。雨量2mmでは、ほとんどの人が傘が必要と感じるくらいの雨の強さになります。
なお、tenki.jpの天気予報(1時間天気)では、小雨の場合「折りたたみ傘」、それより強い雨の場合「長傘」マークで表示しており、傘が必要な目安に合わせた表示になっています。直感的に傘の種類や必要性がわかりやすくなっていますので、ぜひ活用してみてください。

「やや強い雨(10mm以上20mm未満)」になると、影響が大きくなり始め、歩いている人は地面からの跳ね返りで足元が濡れてしまうほどになります。

「強い雨(20mm以上30mm未満)」以上になると、傘をさしていても濡れてしまうほどです。また「激しい雨(30mm以上50mm未満)」では道路が川のようになって、足をとられたりするなどの危険も出てきます。

「非常に激しい雨(50mm以上80mm未満)」以上になると、傘はまったく役に立たなくなります。視界が見えにくく周りの音が聞こえない状態、そして「猛烈な雨(80mm以上)」では、目を開けていられないほど大変危険です。

さらに雨だけでなく風が強い場合には、これ以上に状況が悪化します。雨が強まったときや、強まると予想されているときは、外出をひかえたり、時間をずらすなどの判断が必要です。

↓雨の強さと人への影響について、以下の記事では動画で詳しく解説しています。ぜひ、実際の雨の降り方のイメージをご覧ください。
◆「【動画解説】雨量体験!雨の強さってピンとくる?時間雨量10mm~100mmを体験」

雨の強さと車の運転への影響|安全な判断のための目安は?

雨の強さと運転への影響

次に、雨の強さによって、車の運転にどれくらい影響がでるのかをみていきましょう。

「強い雨(20mm以上30mm未満)」になると、ワイパーを早くしても見づらくなります。スピードを落とす、十分な車間距離をとる、ライト点灯で自車の存在を知らせるなど、安全運転を心掛けましょう。

「激しい雨(30mm以上50mm未満)」では、高速走行時にブレーキなどが効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」が起こります。ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に水膜が生じてタイヤが浮き上がることが原因で起こります。また、アンダーパスでは排水が追いつかず、冠水の危険性も高まります。
このように、ルート上に高速道路やアンダーパスがある場合には、とくに注意が必要です。迂回する、一時的に安全な場所に停車して雨が弱くなるのを待つといったことも検討しましょう。

さらに「非常に激しい雨(50mm以上80mm未満)」以上になると、車の運転は危険です。

↓雨の日の車の運転については、以下の記事でも詳しく解説しています。
◆「雨の日に高速道路を走行するときの3つの注意点」

注意!「危険な雨」は雨の強さだけでは測れない

静岡県熱海市網代における1時間雨量と累積雨量(2021年7月1日〜3日)

では、「どれくらいの強さの雨になると危険なのか」と言いますと、「雨の強さ」が強いと災害のリスクは高まりますが、必ずしも単純に比例するとは限りません。それほど強い雨でなくても、長時間降り続けば河川や地面の中の水量が増えて、河川の氾濫や土砂災害が起こることもあります。

令和3年7月に発生した熱海市の土石流災害の事例では、最寄りの観測地点において、降り始めから災害発生までの1時間雨量は30mm未満(「強い雨」以下)だったものの、3日間の累積雨量が400mmを超える(平年の7月1カ月分の雨量の約1.7倍)記録的な大雨となりました。土石流の発生には様々な要因が考えられますが、長雨によって地盤が緩みやすくなっていたことも影響していたと考えられます。

このように、雨による危険性は、単に「雨の強さ=1時間あたりの雨量」だけでは判断できないことにも注意してください。防災上の観点では、猛烈な雨や非常に激しい雨はもちろんですが、それほど強い雨ではないからといって、油断をしないようにしましょう。
雨による危険を確認する際は、気象警報・注意報キキクル(危険度分布)気象情報なども参考にしてください。

以下のページでは、大雨への備えについて詳しく解説しています。今一度、日頃からの備えを確認しておきましょう。
◆「知る防災〜大雨に備える〜」

関連リンク

気象予報士/熱中症予防指導員

瀬田 繭美

このライターの記事一覧
ライター一覧