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中秋の名月とは 2030年までの日時や十五夜との違い、満月との関係について解説

2024年09月15日

「中秋の名月」では、古くからお月見を楽しむ風習があります。季節の移ろいを感じながら、ゆっくりとお月見をして過ごしてみてはいかがでしょうか。今回は、中秋の名月とは何か?の解説のほか、直近の中秋の名月の日付を2030年まで一挙公開するとともに、その歴史や過ごし方、お月見にお供えするものなどについてご紹介します。
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中秋の名月とは?

■中秋の名月とは?
中秋の名月とは、旧歴の8月15日の夜に見られる月のことを指します。
さらに言葉を分解していくと、「中秋(ちゅうしゅう)」が、旧暦の8月15日を指しています。旧暦では7月から9月が秋になるため、旧暦の8月15日とはつまり、ちょうど秋のど真ん中、「中秋」ということですね。

■旧暦ってなに?
月の満ち欠けをもとに日付を決めていく暦です。現代では、太陽の動きをもとに日付が決められていますが、旧暦では、月が新月になる日を月の始まりと考え、各月の1日とします。月が新月から満月へ、そしてまた満月から新月へ変化する間隔はおおよそ30日程度ですので、旧暦の15日前後は毎月満月になります。「十五夜」の由来もこの「旧暦」から来ているわけですが、現代ではその中でも、中秋の名月にあたる旧暦8月15日の夜を「十五夜」と指すことが多くなっています。

■中秋の名月と十五夜の違いは
このように、現代では「中秋の名月」と「十五夜」は同じ意味として使われることが多くなりましたが、もともとの意味としては
・中秋の名月…旧暦8月15日の月
・十五夜…旧暦の毎月15日の夜
という違いがあるわけですね。

中秋の名月と満月について

■中秋の名月がいつも満月”っぽく”見えるのはなぜ?
「中秋の名月」というと、まんまるの月をイメージしませんか?
正確には、必ずしも満月とはなっていない年も多いのですが、毎年満月”っぽく”見えますよね。少なくとも、中秋の名月で三日月のような形の月を見たことはないでしょう。それは、中秋の名月が旧暦の8月「15日」だからです。そしてそれは、中秋の名月が必ずしも満月とはなり得ない理由にもなります。

■中秋の名月が常に満月とは限らないのはなぜ?
というのも、「中秋の名月」は旧暦、つまり新月からの日数で決まりますが、天文学上の満月とは、太陽と地球と月の位置関係で決まります。中秋の名月では、新月から満月までを「15日」と常に固定して考えていますが、天文学上では、実際には新月から「15日」だったり、「14日」だったりするときもあるのです。そのため、ずれが生じてしまい、中秋の名月≠満月となってしまうのです。

■次、中秋の名月が満月と重なるのは?
この先しばらく満月と一致することがなく、次回一致するのは2030年9月12日です。

中秋の名月の振れ幅について

■中秋の名月の振れ幅
今年の中秋の名月は10月6日ですが、昨年は9月17日でした。次回の満月と中秋の名月が重なる時も2030年9月12日ということで、結構振れ幅が大きいな…と感じませんか?

このように年変動があるのは、旧暦の数え方と新暦の数え方が異なるため、1年の日数が異なるからですが、最も早くなる日を計算してみると、2052年は9月7日が中秋の名月となるようです。一方、最も遅いのは1938年の10月8日のようです。
こう見ると、振れ幅は1か月にも達するわけですが、その中でも今年は「かなり遅い」中秋の名月と言えそうです。

中秋の名月の過ごし方やお供え物、「芋名月」の呼称について

■古来の中秋の名月の過ごし方
「中秋の名月」には団子やススキなどをお供えして、お月見を楽しむ風習がありますが、もともとは中国の風習でした。日本へ伝わったのは平安時代のことです。

平安時代には、空を見上げて月を眺めるだけでなくさまざまな方法でお月見を楽しんだようです。貴族たちは、月を眺めながら和歌を詠む「観月の宴」を開いたり、池に月を映して、風景とともに楽しんだりしたようです。

月は年中見ることができますが、とりわけ秋が1年で最も月がきれいと言われます。それは、春や夏に比べると、秋の空気は、水分量が少なくて乾燥しているため、空気が澄んでいて、月をくっきりと夜空に映し出してくれるのです。
お月見と言えば、まんまるの月とお団子、そしてススキをイメージする方も多いかもしれません。お月見にお供え物をするというのも同じく平安時代に中国から伝わったといわれています。中国では日本でいう「中秋の名月」は「中秋節」といって国民の祝日にもなっています。

■日本では里芋をお供えするから「芋名月」?
お供え物には、中国の伝統菓子でまんまるの形の月餅(げっぺい)を供える風習がありますが、日本ではそれに代わり、形を変えて、今の月見団子になったようです。また秋は作物の収穫の時期でもあり、この頃に収穫される里芋をお供えすることから、「芋名月(いもめいげつ)」と呼ぶ地域もあります。
お供え物は、月が良く見える場所に台を置いてお供えすると良いでしょう。十五夜ということで、15個の団子を山のように高く盛り、身近でも手に入るススキをお供えします。ススキには邪気を払う力があると考えられており、中秋の名月のススキには、災いなどから収穫物を守り、次の年の豊作を願うという意味も込められています。

ぜひ、「中秋の名月」には、家族や親しい友人、恋人などと月を愛でながら、夏の疲れや日ごろの疲れを癒してみるのもいいかもしれません。

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[日本気象協会]/気象予報士/熱中症予防指導員/京都検定2級/着付け講師

小野聡子

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