
災害時に備え、防災グッズを入れた持ち出し袋やリュックを準備している人は多いだろう。「避難所に行く」という想定で防災グッズについて考えてみる。本当に必要なものは何か、重要なのものは何か。避難所では持ち物をコンパクトにする必要がある。ポイントは“引き算”だ。
避難所に持って行く防災グッズを選ぶ
秋田市の日本赤十字東北看護大学介護福祉短期大学部の及川真一さんの研究室を訪ねた。
一般的に販売されている防災グッズのセットを全てテーブルに広げて待ち構えていた及川さん。「避難所に行くことを考えた上で、バッグの中に必要だと思うものを選んで入れてもらいたい」と課題を提示した。
万が一の際は、全てを持っていくことはできない。「何が必要か」優先順位をつけて考えてみた。
選んだグッズは、懐中電灯とティッシュペーパーに加え、ボディタオル、手回し充電式のラジオ、携帯トイレ、アルミブランケットなどだ。
選んだものを点検 使い勝手は?
「防災グッズはどれを選んでも正解だが、僕ならばということで話す」と前置きして、及川さんが1点ずつ確認してくれた。
まずは、ティッシュペーパー。
及川さんは「多くの人はあったほうがいいと考えると思う。僕も同じ。ただ、実際に災害が起きて避難所でティッシュは使って“捨てることができないもの”になる」と話す。
ティッシュよりは「トイレットペーパー」を準備する方がいいという。トイレットペーパーは“水に流せる”という点で、ティッシュより便利だ。
続いては、ボディタオル。及川さんも車にたくさん積んでいるという。
便利ではあるが、実は防災グッズの中に「水につけると膨らむタオル」があると紹介してくれた。
実際に使い勝手を試してみた。
水につけて3秒ほど待ち、広げてみると小さいタオルになった。サイズは小さいものだけでなく、S・M・L・特大といろいろあるという。
及川さんは「タオルを何枚も持ち歩くのは大変だと思うが、これなら8個入っている。8枚分持ち歩くことができる」と、コンパクトさを強調する。
そして、トイレ。
「トイレは絶対に必要。避難に必要なものとして水や食料をイメージする人が多いと思うが、優先度合でいうと、トイレは1番に選ぶアイテムの一つになる」と、及川さんはその重要性を強調する。
最後にもう一つ選んだグッズ、手回し充電式のラジオ。
ハンドルを回すとライトが付いたり、ラジオが聞けたり、ソーラーパネルもついている。このグッズを使ってスマートフォンの充電にチャレンジした。
日赤東北看護大短大・及川真一さん:
音が結構聞こえる。実際に避難所で充電すると、周りから「うるさい」という声が聞こえたりすることもある。騒音の問題も出てくると思う。
約5分ハンドルを回し続けたが、バッテリーの残量は変わらなかった。
日赤東北看護大短大・及川真一さん:
災害時にこれを使って充電をするという、選択肢が一つしかないと大変だということは分かったと思う。
防災グッズは“引き算”でコンパクトに
防災グッズをそろえる際は、避難先でどのように使うのかを考えること。加えて、持ち運びやすいように持ち物をコンパクトにすることが重要だ。
及川さんは「防災グッズは買って安心で、そのままにしている人が非常に多いと思うが、実際に中を開けてみて試してみることがすごく大切だと思う」と話す。
そして「足し算はしやすい。あれもこれもほしいとなるが、“引き算”は結構難しい。『本当にそのリュックを持てるか』という問いかけもしてみてほしい」と、引き算を意識した防災グッズ選びを呼びかけている。
(秋田テレビ)