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    「台風最接近の前に竜巻がくるかも」竜巻多発のメカニズム解明と、被災後「相互扶助できない」深刻な現状

    2025年09月08日11:34

    2024年8月に最悪のコースで九州に接近し、甚大な被害をもたらした台風10号。宮崎県内各地を竜巻が襲った。1年後、復興とともにみえてきた課題について考える。

    甚大な被害をもたらした竜巻

    県内に甚大な被害をもたらした2024年の竜巻から1年が経った。

    2024年、県内では宮崎市や西都市など6つの市と町、合わせて10カ所で竜巻や突風の被害が確認された。被災地では再建が進む一方で、地域のあり方を考える1年となった。

    竜巻が発生した日、宮崎市の現場では、道路に電線が垂れ下がったり、住宅の壁が大きく剥がれ落ちてしまったり、一瞬にして大きな被害が出ていた。

    一夜明けると、街の景色は一変していた。乗用車は倒れ、建物の屋根が剥がれて飛んでいた。

    竜巻の被害があった宮崎市赤江。2024年9月に取材した時は、屋根にブルーシートが掛けられている家がたくさん見られた。

    あれから1年。現在は多くの家で修繕が終わったようだ。

    特に被害が大きかった宮崎市では、住宅被害の件数が約1600棟にのぼった。

    宮崎市佐土原町の福島地区では、約3分の1にあたる25棟の住宅で、瓦が剥がれ窓ガラスが割れるなどの被害があった。

    1年がたち、住宅の修理はほとんど終わり、瓦は新しいものに張り替えられ、外壁がきれいな家が立ち並ぶ住宅街となった。

    竜巻被害を受けた宮城国衛さん:
    つい最近ですね。だいたいみんな修理が終わったというのは。薄い茶色は昔の壁、濃い茶色は新しく張り替えたところ。リフォームだから全部やりかえると莫大な金になる。使えるところは一部残して、全部やりかえた。

    宮城さんの自宅も竜巻の被害を受け、3月まで市営住宅に入居していた。着工していた家のリフォームが無事終わり、4月から再びこの家で暮らしている。

    竜巻被害を受けた宮城国衛さん:
    (竜巻で)瓦が飛んで、雨が全部落ちてきたものだから、電化製品もタンスや衣類も全部ダメでしょ、家にあったものを全て出してね。

    宮城さんはこの家を自宅兼店舗として父の代から70年近く続く釣り具店を営んでいたが、竜巻の被害を受け、店を閉める決断をした。

    竜巻被害を受けた宮城国衛さん:
    こうなった以上は仕方ないから、元の状態に回復しようと夢中でやっていた。特にどこが辛いとか考えないでやっていた。周りの人が手伝いに来てくれて、本当に大助かりで、ずいぶん力になった。

    復興の兆し「盆踊り」

    8月、福島地区ではようやく復興の兆しとなる催しが。

    福島地区で昔から続く盆踊り。地区では年に3回、神社の祭りや敬老会など恒例の催しがあるが、竜巻の被害以降は開かれていなかった。

    竜巻被害を受けた宮城国衛さん:
    よそから人がいっぱい集まって、盛大に催しができた。そういうのがあると、こういうところでも残さんといかんかなと思う。

    難しい自主努力での再建

    一方、宮崎市城ケ崎では…

    この地区では住宅約30棟が竜巻の被害にあった。下城ヶ崎自治会の河野一平会長に案内してもらうと、ある特徴が見えてきた。

    下城ヶ崎自治会 河野一平会長:
    修理ができないから全部解体した。

    特に被害が大きかった通りから付近を見渡すと、家が取り壊され、更地や売り地が集中しているのが分かる。この地区では7棟の住宅が解体され、再建したのは1棟のみ。ほとんどの人が再建を諦め、住み慣れた地区を去っていった。

    下城ヶ崎自治会 河野一平会長:
    一番大きいのは資金面ではなかったかなと思う。公的に多額のお金が出るものではなかった。自主努力でやらないといけなかったのが大きかった。

    地区では高齢世帯や一人暮らし世帯が年々増え続けているという。

    下城ヶ崎自治会 河野一平会長:
    70歳以上の世帯ばかり。いざ何かあったときに相互扶助ができない。それが一番心配。自治会でもいろんなことをやろうと思うけどなかなか難しい。

    下城ヶ崎自治会では今後の災害に備えて市の職員を呼んで講演会を開催するなど、住民にとってより効果的な取り組みを模索する日々が続いている。

    佐々木紅音アナウンサー:
    改めて日常の中で地域での交流が大切だなと思った。イベントなどがあれば、どんなところにどんな方が住んでいて、いざという時に協力し合えるかを知るきっかけになると思うので、こういった盆踊りなどのイベントも一つの防災につながっているんだなと感じる。

    竜巻被害の調査からわかったこと

    2024年の被害を今後にどうつなげていくのか、竜巻被害の調査・分析を行った研究者に調査で分かったことを聞いた。

    宮崎大学・防災環境研究センターの竹下伸一准教授は「宮崎で発生する竜巻の中で台風に起因する竜巻が約7割。それはもう世界的にも多いと言われるぐらい多い」と話す。

    2024年台風10号の経路図を見ると、太平洋の南側で発生した台風が少しずつ西に進みながら九州の西側を北上する形となったことがわかる。

    宮崎大学・防災環境研究センター 竹下伸一准教授:
    北上を始めたところで、この辺でちょっと停滞するというか進みがすごく遅くなって、ここで留まっているときにちょうど宮崎で竜巻が発生した。

    宮崎で台風に伴い発生する竜巻には台風の位置にある傾向がある。

    宮崎大学・防災環境研究センター 竹下伸一准教授:
    種子島、屋久島付近に台風の中心があるときに、宮崎では特に竜巻が起こっている。去年はまさしく同じ状況だったというのが分かっている。

    この傾向は従来の研究からも言われていたとのことですが竹下准教授は改めて知ってほしいと話す。

    宮崎大学・防災環境研究センター 竹下伸一准教授:
    台風の進路を見て、もちろん雨、風に対する備えも重要だが、そこにもう一つプラスして、台風が最接近する前の段階で竜巻が起こるかもしれないことをぜひ気をつけてほしいなと思う。

    これまで宮崎に直撃するかどうかだけを考えて進路図を見ていたが、最接近する前にも注意が必要だ。

    実際に被災した住宅を見た竹下准教授に、台風の接近、そして竜巻に事前に備える行動を聞いた。

    ・庭やベランダにあるものを家の中にしまう
    ・雨戸を閉めて窓ガラスを守る

    この1年という節目に、改めて事前の備えについて見直すきっかけにしてもらえればと思う。

    (テレビ宮崎)

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