8月19日からの大雨から1カ月余り。大きな被害が出ている秋田県仙北市西木町上桧木内では復旧と生活再建に向けた活動が続いています。
28日開催された100キロチャレンジマラソンは地区がルートの一つ。
住民はボランティアなどの応援に恩返しがしたいとランナーやスタッフに温かい食事を振る舞いました。被害に遭った旅館はエールを受け再開に向けた一歩を踏み出しました。
8月19日からの大雨では106棟の住宅が浸水などの被害に見舞われたほか農林水産関係の被害額は47億円余りに上っています。
仙北市西木町では桧木内川が氾濫し上桧木内地区を中心に大きな被害が出ています。
28日午前4時。夜が明ける前のこの地区である建物に明りが灯っています。
創業約100年「なか志ま旅館」です。
中を覗くと「1升合、4升、、、35合。4升5合炊いた」と料理を準備する声が聞こえてきます。
3代目女将中島勝子さん・83歳が調理場で手際よく調理を進めています。
なか志ま旅館は大雨の際床上70センチまで浸水しました。
旅館に併設する食事どころは厨房の床の下に泥がたまったほか調理道具や家電などが水に漬かり営業を停止。
全国からのボランティアの支援を受け再開を目指しています。先日は業務用の調理器具を譲り受け再開に向け明るい光が差し込みました。
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「みんなからお見舞いをいっぱいもらった。ボランティアも来て手伝ってくれた。それがなかったら、こんなに早く復活できなかったから、何かでお返しをと考えた。いつも紙風船館にお店があったが、ことしはない。いつも応援に来る人の休むところがないと思ってやろうかなと」
「助けてもらった恩返しを」と考えた中島さん。
仙北市角館町から北秋田市鷹巣を目指す100キロチャレンジマラソンの応援に来た人たちに感謝の食事をふるまうことを決めました。
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「厨房を使ったのはきょうが初めて。ようやく1歩だな。まだ全部はできないが」
大会当日の28日は未明に作業を開始。
地元の農家から譲り受けた新米「あきたこまち」のおにぎりと地元で採れたマイタケと山菜が入った味噌汁を作りました。
そして、午前6時半すぎ地区の紙風船館前にランナーが見え始めました。
中島さんはテントをたて仲間たちとそれぞれ持ち寄った料理を応援に来た人やスタッフにふるまいます。
なか志ま旅館・中島さん:
「おつゆも食べて」
岩手から応援に来た人:
「おふくろの味。みなさんの心のこもった味がする。おいしい」
においに誘われたのかランナーも次々とテント前に集まります。
中には中島さんたちを応援するランナーの姿も。
「頑張って下さい!桧木内!応援してます!」「ありがとう。水害あったのにありがとうございました」
たくさんのエールは旅館の再開に向け大きな力となったようです。
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「1か月前は想像できなかった。やる気もなかったしやるつもりもなかった。段々片付いてきて、周りも応援してくれるからだまってられない。旅館をやらないとダメだなと気持ちになった。応援する人を応援して、自分も応援されてやって良かったと思う。」
なか志ま旅館は11月に併設する食事どころの再開を目指しています。