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    能登半島地震の液状化対策「住民負担ゼロ」へ 富山県5市が合意 液状化対策の先行事例・新潟県の教訓生かせるか

    2025年11月04日20:02

    能登半島地震で液状化被害が発生した富山県内5市(高岡市、氷見市、射水市、富山市、滑川市)は、対策工事の費用について「住民負担ゼロ」の方針を先月示した。今後、工事に必要な住民合意に向けた議論が各地で進むことになる。液状化対策の先行事例として、過去に同様の被害を経験した新潟県の状況を取材した。

    県内5市で住民負担ゼロが合意

    先月28日に開かれた富山県のワンチームとやま連携推進本部会議で、これまで高岡市の出町譲市長のみが示していた住民負担ゼロの方針が、氷見、射水、富山、滑川の4市でも合意に至ったと報告された。費用面での負担が解消されることで、対策工事に必要な住民合意に向けた協議が各地域で進展することが期待されている。

    一方、能登半島地震による震度5強の揺れで液状化被害を受けた新潟市では、対策工事の費用負担を住民に求める方針を示し、協議が難航している状況だ。

    二度の被害に見舞われた柏崎市の住民

    能登半島地震で住宅6棟に液状化被害が出た新潟県柏崎市では、北川辰雄さん夫婦の家が大きく傾き、この秋に建て替えが完了したばかりだ。

    「こっちから向こうへ下がった」と北川さん。妻の博子さんは「傾き(沈み)は24センチ。解体は公費。(建てる費用の)市からの補助はほんの1割に満たない」と語る。

    北川さん夫婦の家は2007年の新潟県中越沖地震でも被害を受けていた。「たまげた。またかだね」と北川さん。博子さんも「中越沖地震からやっと住みよくなったと思ったところに、こんな短い周期で地震」と肩を落とす。

    中越沖地震当時は地区単位での液状化対策の全国的な例がなく、市からの提案もなかったという。北川さんは「18年前はそういう話(地区単位の液状化対策)は全くなかった。言われていれば検討は当然したと思う」と振り返る。

    住民団結で液状化対策を実現した山本団地

    北川さんの地区に隣接する山本団地も中越沖地震で約50棟が液状化被害を受けた。

    団地住民の上野浩明さんは「このラインに亀裂が入って、液状化とそれに伴う地盤沈下で家が前に傾いた」と当時を振り返る。

    上野さんは団地の住民に呼びかけ「山本団地地域再生を目指す会」を結成。団地一帯で液状化対策工事を進めるため、当時、国土交通省などに直接補助を要望した。「1軒が宅地の修復をやっても全体が同じ工事をしないと全く意味をなさない」と上野さんは説明していた。

    国、県、市の補助を受けて地下水位低下工法と呼ばれる対策工事が行われたが、住民負担は約4000万円。60世帯で被害の大きさに応じて負担した。

    能登半島地震では「地震の規模感で言うと中越沖地震とほぼ同様の揺れだった。幸い自宅も含め近隣も大きな損傷はなかった。地盤改良工事の効果なのかなと」と対策に効果を感じたという。

    上野さんは「我々は費用負担があって、リスクを負いながら何を優先したかというと、みんなで元の生活を取り戻すこと。最終的に対象全戸に協力してもらって、その結果一つの方向にまとまって進んだ」と住民の一致団結が復興への近道だったと話す。

    今後の展望

    液状化被害が出た地区は次の地震でも被害が出るおそれがある。対策工事に伴う住民負担がゼロという状況の中、県内5市の液状化被害地域の住民たちは工事実施の判断を迫られている。射水市港町では対策工事の実証実験が来月から始まる見通しで、高岡市伏木でも実証実験の場所選定に向けた協議が進んでいる。

    (富山テレビ放送)

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