ビオディナミは、シュタイナー教育で有名なオーストリアの人智学者ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner 1861年2月27日 ~1925年3月30日)が提唱した理論に基づいて生まれた農法。月や星座など、宇宙の法則を反映した特別な栽培方法で知られています。
ビオディナミ農法の根底には、「全ての生命は、地球上で完結しているのではなく、地球を含む宇宙の営みからも影響を受け、調和しながら生きている」という思想があります。植物は天体の動きに影響を受けているという考えから、「播種(はしゅ)カレンダー」という星の位置などを記した種まきカレンダーを使用します。そこには、月の満ち欠けに基づいたぶどうの種蒔きや収穫、瓶詰の時期、さらにワインの熟成用に使う樽のオーク材の伐採日などが事細かに記されています。
もうひとつの特徴は、「プレパラシオン(preparation 調合材)」と呼ばれる肥料の使用方法です。牛の角や糞、水晶の粉、たんぽぽの花や樹皮など、数種の素材を独自の方法で調合・加工し、土地に散布することで土壌を活性化させます。その土地が持つ力に働きかけ、本来のエネルギーを最大限に引き出すよう環境を調えるのです。
こうして栽培されたぶどうから造られるワインは、総じてなめらかで穏やかな味わい。みずみずしい果実味があり、淡い色合いが特徴です。生命力にあふれるスピリチュアルなワインを、秋の夜空に輝く月を眺めながら味わってみてはいかがでしょうか。
参考文献
アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ/星埜聡美 訳『ビオディナミ・ワイン 35のQ&A』白水社 2015
参考サイト
神の雫