日本国内で観測されるのは、2009年9月24日以来14年振りとなる「アンタレス食」。月齢6の月がさそり座の1等星アンタレスを隠す「星食」が起こります。
月は地球から見ると西から東へと進み、約1か月で空を一周しています。月が背後に広がる星空を横切って移動する時、恒星を隠す現象を月による「星食」、または「掩蔽(えんぺい)」といいます。1等星などの明るい恒星の星食は肉眼でも観察しやすく、隠す天体の名をとって「○○食」と呼ばれています。
アンタレスが月に隠される「潜入」は、21日の日没前の17時過ぎに起こります。アンタレスは月の暗い部分(暗縁)から隠されますが、まだ空が明るいため、潜入の様子を観察することは難しいでしょう。ぜひ観測したいのは、アンタレスが月の背後から現れる「出現」の様子です。日没後の18時30分過ぎに起こり、アンタレスは月の明るい部分(明縁)から姿を現します。恒星は点像にしか見えないため、出現は一瞬の出来事。出現の瞬間を捉えるには、予報時刻の少し前から観察を始めることがポイントです。肉眼でも観測可能ですが、双眼鏡や望遠鏡を使用するとより見やすくなります。
潜入・出現の時刻や月の高度、月とアンタレスの位置関係は、観察場所によって異なります。事前に確認してから観測に臨みましょう。
★おもな都市の潜入と出現の時刻
国立天文台「アンタレス食」