松の内も今日で終わり。翌日の1月11日には、多くの地域で鏡開きです。
ところで、今の真っ白なお正月の鏡餅は実は明治時代からのもので、江戸時代は真っ黒だったということをご存知ですか?
黒米で作った鏡餅の地肌を宇宙・夜空に、その中にのぞく雑穀の白い粒々を星と見立てて飾っていたのです。明治時代に有色米の根絶運動が執行され、江戸時代に作られていた黒米に雑穀を混ぜて作っていた日本古来の「倭俗の鏡餅」は根絶されてしまったのです。
「倭俗の鏡餅」では餅つきは夜行なわれました。星空のもと、二日間水に浸された臼を土の上に置き、まっ黒な黒米が投げ込まれると、真っ暗な空へ白い湯気が天に昇ってゆきます。杵で搗くたびに、白い湯気が吐息のように吐き出されては天に昇ってゆく。 搗き上がったまっ黒な餅は鏡形に丸く整形され、その上に星(北極星?)に見立てた稷団子(きびだんご)が載るのです。これが私たちの先祖が飾っていた鏡餅。真っ白な鏡餅を「鏡」といわれてもどうもピンとこない人が多いと思いますが、黒い餅ならば、鏡に見立てる意味もよくわかるのではないでしょうか。
春を迎える前の寒中。風邪に気をつけて乗り切りましょう。
※一部記事内容を修正させていただきました
・取材協力:元「倭俗の鏡餅を再現する会」の調査責任者 性氏(※「倭俗の鏡餅を再現する会」は2010年限りで、現在は在りません。)
参考:国際日本文化研究センター 古事類苑 歳時部 餅搗