約400年前の江戸初期以来、氾濫を繰り返してきた印旛沼をそのほとりの小高い丘から眺め続けてきた樹齢400年とも伝えられる一本の桜の木があります。「吉高の大桜」です。
かつてはその丘の麓まで印旛沼がせまり、あの「印旛沼怪獣」が現れたとされる水域はまさにそこであったといわれます。のどかな村里の風景が続く田園地帯の中に、高さ約11メートル、幹回り約7メートル、25メートル四方に枝を大きく枝を広げて、小山のような姿でたたずんでいます。ヤマザクラの古木なのでソメイヨシノよりも開花期は一週間から十日ほど遅く、まさに開花はこれから。第二次大戦末期、物資不足から切り倒されることになりましたが、あまりに幹が太く、切り倒す道具がないことから伐採を免れた、というエピソードがあります。
大桜のほど近くには、開花期には桜を管理所有する農家の軒先に茶店が設けられ、里で取れた野菜や山菜をふんだんに使った食事や飲み物がふるまわれ、村の人々とのつかの間の交流も楽しめます。最寄の北総線印旛日本医大(印旛松虫)駅からは約3.2km。少し距離はありますが、ここが首都圏?と思うほどの豊かな里山と緑濃い森の風景の中、ヒバリやキジのさえずりを聞きながら「日本一のヤマザクラ」の声もあるほどの吉高の大桜を目指してはいかがでしょうか。満開期は約三日と短いので、印西市の開花情報を参照しつつ、時期を逃さないようお気をつけください。
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あばれ沼と蛇の食 源右衛門の夢結ぶ (小林千代美 文芸社)