大晦日の夜の大イベントと言えば何と言っても除夜の鐘。
鐘は108鳴らすといいますが、一般市民の鐘つき行事では、108ではなく、もっとたくさん鳴らしますよね。
108という数にはご存知「煩悩の数」というものや、ヨーガの太陽礼拝のマントラ数などの説もあれば、当コラムではおなじみの二十四節気と七十二候、これに十二の月をあわせた一年を象徴する数、という説もありますが、基本的には108という数が「数多い」ことを意味することから来ているものと思われます。
情緒深く、感動的な行事だと筆者は思うのですが、ところが最近では、鐘の音がうるさいというクレームで、除夜の鐘つきを中止する寺もあるとか。
戦争時、寺の梵鐘は金属供出で持ち出され、全国鐘なし寺だらけになりました。戦争が終わり平和な世の中になると、人々が集い、一つずつ鐘を鳴らす現代の除夜の鐘行事を行う寺も増えていったのです。紅白で歌を聴きながら、除夜の鐘で暮れていく一年を振り返る。これは戦後の人々には、平和な一年をかみしめる意味あいもあって続いてきたものなのです。そのように考えると、大晦日のたった一晩、おのおののスマホを閉じて、重みのある鐘の音に一家で耳をすましてみるのもいいことなのではないでしょうか。
この一年、小難しいコラムに付き合ってくださった皆様も、どうか良いお年をお迎えください。
昼間に響く「除夜の鐘」 参拝者減や「騒音」苦情で