冬限定!天からの贈り物、「雪景色」をイメージ通りに撮影するコツ
レジャー
一面が真っ白い雪で覆われた白銀の世界。四季の豊かな日本ならではの冬の風物詩としてCMや広告でも多く取り扱われる「雪景色」。そんな景色に憧れて雪山に出かけたものの、いざ自分のカメラで撮影しようと思ったら「なんだか薄暗くてイメージと違う?」なんて経験はありませんか? そんなあなたのために、今回は、イメージ通りに真っ白な雪を写すコツを紹介します。
雪景色の撮影は朝一番が狙い目!
さて、皆さんは雪が降った朝、どんな気分でお過ごしでしょうか?「寒くてお布団から出られない」「やったー!雪が降ったぞ。滑りに行こう!」「うわ。結構積もってる。道路渋滞するかな」などなど、お住いの地域や立場によっても気分は様々だと思いますが、スキーなどで訪れた際に見る雪山の撮影は明け方が狙い目です。
冬の晴れた朝は放射冷却の影響で気温が低く、湿度も低いため空気が澄んでいることが多く、そのため山の稜線がくっきりと表れています。午後になると、日中太陽に照らされた雪面からどんどんと水蒸気が上がるため、山には雲がかかってしまうことも。
また、明け方は太陽の位置が低いため、光が雪面に斜めに当たる(斜光)ことで、降りたての雪の結晶が光に反射してキラキラと輝き、とても幻想的な雰囲気を演出してくれます。
雪上での撮影はプラス補正で!
最近のカメラにはピントや露出(写真を撮るときに取り込まれる光の量のこと)をカメラが自動的に決定してくれる機能が付いているものが多く、つい目で見た場面をそのままカメラ任せで撮影している人は少なくないと思います。でも、状況によっては、「思っていたより暗く写ってしまった」など、イメージしていた明るさとカメラが適切だと判断した明るさが異なる場合があります。
特に雪の上での撮影で人物などの被写体を小さく、雪景色を背景に大きく取り入れるような構図の場合、「思っていたよりも暗く写ってしまう」という結果が多く見られるかもしれません。
そんな時は、露出補正をしてみましょう。露出補正とは、カメラが判断した適正露出を、自分のイメージした明るさに近づけるために調整することです。自動に検出された露出よりも明るくしたい場合には+(プラス)方向に、より暗くしたい場合にはー(マイナス)方向に設定しましょう。プラス補正する場合は、背景が露出オーバー(白トビ)にならないようにモニターで確認しながら、何枚か撮影して好みのイメージに近づけていくと良いでしょう。
なお、自動露出は、測光ポイント、つまり光の明るさを測る場所によっても変わります。オート機能がついたカメラ(スマートフォンなども含む)は、だいたいピントを合わせる位置に測光ポイントがくる場合が多いので、写真全体のイメージでどこを明るく、どこを強調したいのかを明確にして撮影に挑みましょう。
スマートフォンの機種によっては、モニターで画像を確認し、露出を測りたい箇所にタッチすると、その場所に合わせた適正露出をカメラが検索してくれる便利な機能がついたものもあります。露出が大きく変わる逆光などのシーンではとても役に立つ機能ですので、ぜひ活用してみてください。
雪上で人物写真を撮るときは逆光で撮影するのがオススメ!
女性や子供、ペットの写真を撮るときには逆光で撮影をして、髪の毛などの輪郭に光のエッジを立たせると、まるで光に包まれているように雰囲気が柔らかくなりオススメです。
雪がない通常の場面ではレフ板といって、太陽の光を反射させて影を薄くさせる役割をする反射板を使用しますが、もともと白い雪は太陽の光を存分に反射するため(紫外線も含みますが(汗))レフ板を使用した時と同じ効果が得られるため顔に影がかからず、また、角度によってはキャッチライト(目の中に光の反射を入れることができる)を入れられるため、より生き生きとした表情を写し出す効果を発揮します。
日差しの強い日中の撮影の場合は被写体が逆光になる撮影ポジションを選びましょう。
動きのある被写体を撮るときはシャッタースピードに注意!
雪遊びをしている子供やスキー、スノーボードなど、速い動きがある被写体を撮影する場合は、シャッタースピード優先モード(T、Tv、Sなど)に切り替えて速いシャッタースピードで撮影しましょう。
シャッタースピードが遅いと被写体がブレてしまいます。意図的にブレさせてスピード感を出す場合もありますが、被写体を止めて写したい場合はシャッタースピードは速めに設定します。
シャッタースピードは絞り優先モードで絞りの数値(F値)を変えることでも調節することができます。F値を小さくするとシャッタースピードは速くなり、被写界深度(ピントが合っている範囲)が浅くなってピントの前後にボケが生じます。また、F値を大きくすればシャッタースピードは遅くなります。この方法で手ブレしない程度にシャッタースピードを変えることもできます。
では、手ブレを抑えるのにはどの程度のシャッタースピードが必要なのでしょうか。一般的には手ブレを防ぐためのシャッタースピードはレンズの焦点距離分の1以上の速さが必要だと言われています。しかし、スキーなど動きの早い被写体を撮影する場合は、さらにスピードを上げて1/1000 秒くらいに設定しておくと安心です。もちろん、こちらも状況によって撮影をしながら調節することが必要です。
夕方などに撮影する場合、シャッタースピードをあげると写真が暗くなりすぎてしまうときは、ISO感度を上げてシャッタースピードを稼ぎましょう。ただし、ISO感度を上げすぎると画質が荒くなってしまうことに注意してください。
カメラの設定を覚えれば、撮影の視野が広がり、行動範囲もどんどん広がる!
目の前に広がる白銀の世界は期間限定の風物詩です。空から舞い降りる雪も刻一刻と変化をしています。カメラを相棒に視野を広げて、一歩ずつ行動範囲を広げてみませんか?
写真は、今、撮影をする楽しみはもちろん、時間が経つにつれて薄れていく記憶を思い出すとともに呼び覚ましてくれる貴重な人生の記録です。ぜひ、この冬はあなたの相棒を連れて「一期一会の瞬間」を探しに出かけてください。
プロフィール
古瀬美穂
MIHO Furuse Photography
Image Create AH-UM代表
愛媛県出身 長野県白馬村在住
約20年に渡りスキー、スノーボードを中心に雪上の撮影を中心とした写真家活動を継続中。2014年にプロスキーヤーの夫と当時4歳のミックスツインズとの家族4人でニュージーランドを周遊した旅の記録を写真集「SWEET as…」として昨年発表。また今年は新たな作品集「STAGE」を1月末にリリース予定。