名物さるだんご。冬は「おしくらまんじゅう」であったまるのが長生きの秘訣?!
ライフ
冬の観光地で人気です
「おしくらまんじゅう」って、思えば不思議な遊び? 押し競(くら)べ、といいながら誰かが勝つわけでもなく、これといったルールも見あたりません。なのに すごい高揚感と、ポッポと体があったかくなった記憶が・・・そう、冬の子供たちは一丸(まんじゅう)となって寒さと戦い、絆を強めていたのです! 今ではスポーツとしても見直されている「おしくらまんじゅう」。そして力を合わせてあったまっているのは、人間だけではないようですよ。
「さるだんご」って、美味しいの?
さるだんご(小)
ご存じかもしれませんが、冬の名物『さるだんご』は「きびだんご」「みたらしだんご」のような味覚の一種ではありません。「寒い時期にニホンザルが、おしくらまんじゅうのような状況でお互いに身体を温めあう様子」を表す言葉です。つまり、だんご状態に集まったサルのことですね。日本各地で冬の風物詩となっていて、『淡路島モンキーセンター』など100匹以上の巨大さるだんごが出現する観光スポットも知られています。
さるだんごは 気温が低く風の強い日によく見られ、また寒い明け方や夜間にも形成されやすいといわれます。体を寄せあうことで、外気に触れる表面積を少なくし、お互いの体温で暖をとっているわけですね。
サル社会はシビアなので、ただ近くにいる者同士くっつくわけではなさそうです。仲良し家族が子供を中に入れて守るなど、目的や人間(サル)関係が大きく影響します。大型だんごでは、中心のもっとも暖かい場所は力の強いボスザルとその取り巻きが占め、力の弱いサルたちは外側の寒いところへ・・・。ケンカなどが発生してだんごが崩れると、とたんにサルたちの体温は低下!急いで再結成!!という場面も。
保温効果抜群のさるだんごによって、なんとエネルギーの消耗を約1割も節約できるのだそうです。ただ、オス猿は群れを出てひとりで行動する年頃があるので、その間は さるだんご効果が得られません。オスがメスより長生きしにくいのはそのためではないか?とさえいわれています。
「おしくらまんじゅう」で勝ったのは
温泉効果でホカホカ〜
ヒトが作るのは だんごではなく、まんじゅう(蒸したて?)。昭和の子供にとっては冬の風物詩でした。お互いに背を向けて円になり、隣の人と腕を組みます。「おしくらまんじゅう、押されて泣くな♪」という掛け声とともに、勢いをつけて自分の体を中心に向けて押したり、外側へ引いたり。この動きによって体が温まるのです。
おしくらまんじゅう おされてなくな
あんまりおすと あんこが出るぞ
あんこが出たら つまんでなめろ
掛け声だけでなく、こんな歌に合わせることもありました。「あんこ」は、押し出された子を指しているのでしょうか。地域によっては「押されて泣く・倒れる・押し出される」子を「負け」としつつも、たいていは勝負に関係なく押し合って盛り上がっていたようです。『ウィキペディア』には「参加者それぞれが不規則な動きをするために思いがけない方向に引っ張られたりするのも、おしくらまんじゅうの楽しさのひとつである。」と紹介されています。なるほど、なんだか皆で無性にゲラゲラ笑っていたのは、こういう理由だったのですね。疲労やストレスを発散させるポカポカの「温泉効果」もあったかも?
ところで、聞き集めた思い出話の中には「自分はいつも外側にいたが、強い子は 押し合いながらだんだん中央へ移動していったようだ」という興味深い証言もありました。じつは全体の動きに紛れてさりげなく温かさをゲットできる子が「勝者」だったのでは・・・さるだんごも、より温かな中心部へ行こうとするサルたちの動きが、おしくらまんじゅう効果でさらに熱を生み出しているのかもしれませんね。
じつは冬レクとてオススメなんです!
うさぎだんご
最近では、昔ながらの「おしくらまんじゅう」が進化して冬のスポーツ系レクとしても用いられているそうです。円の中から押し出されたら失格、などのルールを設定した生き残り戦も(興味のある方は、リンク先の動画もごらんください)。
現代の子供たちにとっては、力加減を学びながらお互いの体温を感じる体験に。さらに大人のレクリエーションに取り入れてみると、シンプルさとほどよい接触でビックリするほど盛り上がります。
遭難した際ケガ人を背負って歩いていたためにグループで2人だけ凍死を免れた、という実話があるそうです。体温を保つことは、生きるのに不可欠。発熱するものが何もない地上で暮らすいろんな生きものたちが「おしくらまんじゅう」で力を合わせて暖をとっています。私たち人間も、寒い季節にはギュギュッとくっついて温めあうのが自然なのかもしれませんね。
ひよこだんご