立山・白山で初冠雪 立山は過去4番目に遅く 初冠雪と北陸の冬の降雪の関係は
本日29日(水)、富山地方気象台より立山の初冠雪の発表がありました。平年より17日遅く、昨年より10日早い観測となりました。また、金沢地方気象台より、白山の初冠雪の発表がありました。平年より8日遅く、昨年より10日早い観測となりました。写真は午前10時頃の富山市からの立山の様子です。雲の隙間から、雪をかぶった立山が見えました。
立山と白山で初冠雪 高い山では本格的な降雪に
きょう29日(水)午前9時過ぎ、富山地方気象台より、立山の初冠雪の発表がありました。平年より17日遅く、昨年より10日早い観測となりました。
その後、金沢地方気象台より、白山の初冠雪の発表がありました。平年より8日遅く、昨年より10日早い観測となりました。
27日(月)~28日(火)は、冬型の気圧配置となり、この秋一番の寒気が流れ込みました。立山の稜線付近では27日(月)から雪に変わり始め、28日(火)朝には標高2450メートルの立山室堂で積雪10センチ、28日(火)午後には標高2316メートルの大観峰で20㎝の積雪が観測されるなど、まとまった積雪となりました。また、白山(標高2702メートル)でも積雪となりました。立山・白山ともに、28日(火)までは寒気の影響で雲が多く、平地から山を望むことは出来ませんでしたが、本日29日(水)朝には雲が取れて平地からも雪をかぶった山頂の姿が確認でき、初冠雪の発表となりました。
立山では2年連続で記録的に遅い初冠雪に
立山では、昨年2024年は11月8日に初冠雪が観測され、1977年の11月9日に次いで統計開始以来2番目に遅い観測となりました。今年は1960年と並び、統計開始以来4番目に遅い初冠雪となり、2年連続で記録的に遅い初冠雪となりました。
この要因として、今年は夏の太平洋高気圧が南の海上で遅い時期まで勢力が強く、北からの寒気が南下しにくい状態が続いていたことが挙げられます。
初冠雪=初雪ではない 初冠雪の定義は
初冠雪とは、8月1日から翌年の7月31日までに山麓の気象官署から見て、山頂付近が初めて積雪などで白く見えることを言います。
ここでポイントは、あくまで気象官署から見えて初めて初冠雪となる点です。山の山頂や稜線で雪が降り、積雪となっても、麓から見ると雲に覆われて観測できず、天気が回復した時には既に雪が解けている場合は初冠雪とはなりません。このため、初雪の日と初冠雪の日が同じタイミングになるとは限りません。
なお、立山は山脈上の峰ですが、富山地方気象台では「立山(雄山・大汝山・富士ノ折立)」を対象に初冠雪を観測しています。
立山初冠雪は年々遅くなっている
立山の初冠雪が初雪や初積雪と同じ時期になるとは限らない点に注意しつつも、データのある1939年から立山初冠雪の観測日の傾向を見ると、年による変動は大きいものの、全体として遅くなっている傾向が見られます。およそ90年弱で10日ほど遅くなっている傾向があります。
立山初冠雪とその年の平地の降雪量に相関は無し 山の雪の多さとは多少関係ありか
立山初冠雪とその年の冬の富山の降雪量の相関を見ると、相関係数で‐0.005と、ほぼ相関は見られません。(図省略)
昨年2024年は初冠雪は過去2番目の遅さでしたが、その年の冬の富山の総降雪量は275㎝で、平年並みとなりました。
一方、過去最早の初冠雪を記録した1981年も、その年の冬の降雪量は今年と同じ275㎝となっており、初雪が早いほどその年の冬の降雪量が多くなるとは言えません。
立山初冠雪とその冬の平地の降雪量に相関はありませんが、標高の高い山の雪の多さとは少し関係がありそうです。
1999年~昨年2024年までの初冠雪の日と翌春の雪の大谷の壁の高さとの相関係数は0.31となり、弱いながらも初冠雪が遅れるとその年の冬の山の雪の量が多く、翌春の雪の大谷の壁の高さが高くなる傾向があります。
昨年2024年はこの期間中では初冠雪は最も遅くなりましたが、翌春の雪の大谷の壁の高さは16メートルとほぼ平年並み、2016年は初冠雪は11月2日と統計開始以来3番目の遅さでしたが、翌春の雪の大谷の壁の高さは19メートルと、平年より大幅に高くなりました。
今年は昨年に引き続き、2年連続で記録的に遅い初冠雪でした。さらに、今年は冬の前半を中心に冬型の気圧配置が多くなる予想がありますので、今冬は標高の高い山岳地帯は雪の量が多くなるかもしれません。
※「雪の大谷」とは、立山黒部アルペンルートの最高地点、室堂付近にあり、毎年冬の後に道路の除雪が行われる際にできる高い雪の壁です。
北アルプスは冬山の世界へ 1日(土)~2日(日)も立山はふぶきに
立山など北アルプスでは、30日(木)はだいたい晴れそうですが、31日(金)には次の低気圧が近づき、11月1日(土)~2日(日)にかけては再び冬型となり、北アルプスで雪となる目安の上空3000メートル付近で0度以下の寒気が南下する見込みです。この週末も立山では雪となり、ふぶいて見通しが悪いおそれがあります。
北アルプスの稜線ではいつ雪が降ってもおかしくない時期となっています。登山を計画されている方は、本格的な冬山装備が必要です。最新の気象情報や山小屋などから発信される登山情報をよく確認し、無理の無い計画をたてて行動して下さい。
また、立山黒部アルペンルートでは黒部ダムなど紅葉が見頃となっている所があり、紅葉シーズンが続いていますが、弥陀ヶ原より上部では積雪となっています。平地はまだ秋でも山は冬。しっかりとした防寒対策を取ってお出かけください。