最新のエルニーニョ監視速報によると、
現在は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態になっています。今後は、夏にかけて平常の状態が続く可能性もある(40%)が、エルニーニョ現象が発生する可能性の方がより高い(60%)と予測されています。
この、エルニーニョ現象が発生した場合、南の太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、梅雨前線を北へ押し上げる力が弱いため、梅雨の期間が長くなる可能性があります。
北陸地方の梅雨の統計がある1951年から2022年に関して、実際の梅雨の日数の平均をカテゴリー別に計算すると、夏の期間にエルニーニョ年だった年は44.9日、平常年は38.6日、ラニーニャ年は39.7日で、平均的にはエルニーニョ年が一番長くなっています。
降水量に関してはどうでしょうか?
万一、前線が北上しきらずに同じような地域に長期間停滞することになると、局地的な大雨の可能性もあり、注意が必要です。北陸地方の梅雨入りの平年日は6月11日ごろとなっています。本格的な雨の季節到来となる前に大雨への備えを進めておきましょう。
台風についてはどうでしょうか?
エルニーニョ現象発生時は、海面水温分布にほぼ対応して、台風の発生域は南東方向へずれる傾向があります。この場合、台風が西進する距離が長くなるため、発達して大型化した状態で本州付近に近づく可能性が大きくなることもありそうです。
その他について、夏の3か月の傾向を調べると、新潟・富山・金沢・福井の4地点ともに、エルニーニョ年で平均気温は最も低く、最高気温が35度以上の猛暑日も少ないことが確認されました。日照時間についても同様の傾向となっています。
2022年度の梅雨は、9月の確定値で大幅に修正され、「北陸地方の統計史上初の6月の梅雨明けと過去2番目に短い梅雨」は幻に終わりました。冬の気温や降雪量に関しても、当初予想でシーズン前に広く報道されていた「ラニーニャで寒冬・大雪傾向」となった地域は北陸地方ではあまりなかったように見受けられます。
地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高い傾向が続く中、今後、エルニーニョ現象が発生、クールダウン効果が奏功して平年並みの気温に落ち着くのか、はたまた、1993年のように、平常年でありながらも、ピナツボ火山の噴火に起因するような大冷夏がおこるのか、複数の要因を事前に察知して数か月も前に発表する季節予報に反映させるのは至難の業というのが正直なところです。今後も、毎週木曜日の午後に発表される
1か月予報等も参考に、暖候期への備えを進めて下さい。