
一時、熊本県内7つの市と町に大雨特別警報が出されるなどした、一連の記録的な大雨から一夜明けた8月12日には、被害の全容が徐々に明らかになってきた。熊本・天草市や上天草市では土砂崩れや浸水被害が発生していた。
「買い物から帰ったら家が崩壊していた」
天草市栖本町では山の斜面が崩れ落ち、住宅2棟が全壊した。1棟はリフォームが終了したばかりで、まだ誰も住んでおらず。もう1棟に住む家族も、買い物に出かけるなどしていてけが人はいなかったという。
全壊した家の住人は「家族5人、テーブルでご飯を食べてたら、外で『バキンバキン、ゴトンゴトン』と音がして、裏山から土砂が少し流れてきた。その後、買い物に行って、帰ってきたら家が崩壊してた」と話す。天草市によると、栖本町では住宅2棟が半壊する被害も確認されている。
天草市亀場町の亀川では、普段は川底が見えそうなぐらいな川だというが、11日午前中は川と陸の境がどこか分からないほどの水位に。一夜明けた12日は、水位はかなり下がったものの、濁った水が流れていた。
また、天草地方、唯一の映画館本渡第一映劇にも床上浸水の被害が。流れこんだ水は深い所で70センチもあったと言う。
本渡第一映劇の柿久和範支配人は「朝来た時、映画館の扉が開かないくらい水が押し寄せていて、カギ開けても開かないんですよ、水圧で。三十数年やってるけど初めてです」と話す。
11日は水をかきだすのに6時間かかり、12日は映画ファンがボランティアで訪れ、イスや床をきれいにする作業をしていた。
上天草市で水圧で窓ガラスが割られ浸水か
大雨で住宅地まで水が侵入し、住民がボートで救出されるなどした上天草市。一夜明けると本来、稲が植わっているはずの田んぼは、一面川のような姿になっていた。
また田んぼからあふれだした水は、大きな流木やゴミまでも押し流した。さらに、すぐ近くにある体育館やホールを備えた施設、上天草市総合センター『アロマ』は大きな浸水被害を受けた。
かつてはプロボクシングの世界タイトルマッチも行われた『アロマ』。避難所としても活用されてきたが、11日は様子が違ったという。
突然、ガラスを破って水が流入したということで、アロマ指定管理者の山下洋介さんは「午前9時過ぎだった。窓が割れて一気に水位が上がった」と、浸水の様子を振り返る。
あっという間にアロマの体育館一階部分は一面プールのように水に覆われ、施設職員の判断で避難者5人を2階に誘導、難を逃れた。
指定管理者によると、重要な書類などは運び出したものの、被害の範囲が広いため復旧のメドは立っていない。今後泥をかき出した後に、どのように復旧するか手順を慎重に検討したいという。
(テレビ熊本)