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    「甲子園で再会を」支援きっかけに被災地の野球部と交流 いまもグラウンドは使用制限…石川・七尾高校と長野・上田高校が試合

    2024年05月22日16:22

    特集は球児たちの交流です。5月4日・5日、長野県上田市の上田高校野球班が、石川県の姉妹校・七尾高校の野球部と、試合をするなどして交流しました。地震で大きな被害を受けた七尾高校の部員を励まし、甲子園での再会を呼びかけました。

    球音響く上田高校のグラウンド。野球部の交流試合です。

    相手は石川県七尾市の七尾高校野球部。

    試合は上田高校野球班の支援がきっかけで実現しました。


    上田高校野球班 主将・依田大和さん:
    「自分たちは、自分たちなりにできることをしようと、募金したり、練習試合をしたりすることに」

    地震の被害で練習が制限されている七尾高校野球部への激励も込めて企画されたものです。

    元日に発生した能登半島地震。

    震度6強を観測した七尾市でも建物の損壊や断水など大きな被害があり影響は今も続いています。


    七尾高校でもー。

    七尾高校野球部 主将・渡邊晴仁さん:
    「グラウンドは(亀裂が入って)マウンドが使えないと言われて、自分たちの代は練習試合ができないみたいなことを聞いたので、正直つらい思いでした。早くみんなと試合だったり、練習したいという気持ちでいっぱいでした」


    グラウンドでは、他に出入り口の門が倒れ、照明の支柱は傾く被害もありました。

    自宅の被災もあり部員全員で練習を再開できたのは2月半ばから。キャッチボールやノック練習はできますが、グラウンド全体を使うバッティング練習は今もできず、野球部は他の高校やお隣・富山県まで出かけて練習や試合をしています。


    実は上田高校と七尾高校は姉妹校。ニホンオオカミの頭骨の標本を両校が所有していることが縁となり、1999年に提携を結びました。

    地震を受けて上田高校では、生徒会が募金活動を開始。オンライン交流もしてきました。

    3月、野球班も独自に動き出します。

    上田高校野球班・花岡淳一監督:
    「もし自分たちがそうであったらどうなのかなと思い、何か手助けになるとか、そういうことをしてあげられることがわずかでもできたら、ちょっと支えになれたらいいと」


    石川県の知人から七尾高校野球部の現状を聞いた花岡淳一監督。かさむ移動や遠征の費用を支援したいと呼びかけると、班員や保護者会から約7万円が集まり七尾高校野球部に寄付しました。

    これに七尾の部員たちは感謝の手紙を送りました。

    七尾高校野球部 主将・渡邊晴仁さん:
    「地震があって、生まれてから経験したことのないことがあって、パニックになって、支援が本当に助かったので手紙を書こうと」

    手紙には感謝だけでなく「試合をしたい」という言葉もー。


    約1カ月後の5月4日と5日、上田側の提案により交流試合が実現しました。

    上田高校野球班 主将・依田大和さん:
    「精いっぱい、楽しく野球をしていただいて、食事なども一緒にする機会があると思うので、お互いのことを知るいい機会になればいいと思います。この度はよろしくお願いします」

    試合をするだけでなく親睦を深めようと一人一人、自己紹介。

    食堂に移動して持参した弁当を一緒に食べました。

    七尾高校の生徒:
    「(上田高校の生徒と何の話を?)(ゲームの)麻雀の話で盛り上がってました」

    上田高校のマネ―ジャー:
    「同じ趣味をもったり、同じスポーツでつながることができたので、新たな友達として仲良くなりたい」


    「始めます、礼!」

    両チーム:
    「お願いします」

    そして始まった初日の交流試合。

    1回表、七尾が先制します。

    一方、上田は3回裏に逆転します。


    4回表、七尾が同点に追いつきますが、その裏、上田が2点、勝ち越します。

    すると5回表、七尾が反撃します。

    この回、一気に3点を挙げ逆転に成功。

    七尾の保護者も応援に駆け付けました。

    しかし、その後は上田が得点を重ね、結局、試合は5対10で上田が勝ちました。

    「終わります。礼!」

    「ありがとうございました」

    七尾高校野球部 主将・渡邊晴仁さん:
    「序盤の入りは良かったが最後には一気に点を取られてしまって、そこが反省点かな」

    上田高校野球班 主将・依田大和さん:
    「お互いフェアプレーの精神があって、いい掛け声とかすごく飛んでいたので、そういう面がよかった」

    七尾高校野球部の保護者:
    「地震の時はみんな、気持ちもふさがって野球できるのかなという状態だったが、今、のびのびやっているのを見てすごく頼もしい。上田高校にも支援していただいて感謝している」


    試合の後は、お待ちかねの夕食。再び食堂に集まりました。

    メニューは上田高校野球班の保護者会が作ったカレー。

    「いただきます」

    七尾高校の部員:
    「めちゃくちゃおいしいですけど辛いです、中辛で」

    上田高校の班員:
    「めちゃくちゃおいしいです。何口目でもうまい」

    昼よりも会話の量が増えているようでした。

    七尾高校の部員:
    「ご飯がおいしいのもありますけど、みんな話が進んで、いい関係築けているかなと思う」

    記念撮影ー

    親睦を深めて初日を終えました。(七尾の部員は上田高校の合宿所に宿泊)

    2日目の交流試合は、七尾も健闘しましたが、こちらも上田が勝ちました。

    試合後ー。

    すっかり打ち解けた様子の部員たち

    上田高校の班員:
    「1回目もうテストで赤点とったから、あと2個しか(猶予)ない」

    七尾高校野球部 主将・渡邊晴仁さん:
    最初は空気が重くてお互い気まずかったが、だんだん気さくに話しかけてくれて、自分たちから話したりみたいなのも増えてきました」

    上田高校野球班 主将・依田大和さん:
    「みんなが明るいチームだったので、自分たちもそれにつられてすごく雰囲気の良い交流ができたと思っています」

    もうすぐ「球児たちの夏」。

    七尾高校野球部は引き続きグラウンドの使用が制限されますが、両校とも、「憧れの舞台」での再会を期して練習に励みます。

    七尾高校野球部 主将・渡邊晴仁さん:
    「お互いに勝ち進んで、できれば甲子園とかで再会できたらな」

    上田高校野球班 主将・依田大和さん:
    「自分たちも勝ち進んで、上の大会で会える機会があれば、もう最高かな」

    「甲子園で会いましょう!」

    「甲子園で再会を」支援きっかけに被災地の野球部と交流 いまもグラウンドは使用制限…石川・七尾高校と長野・上田高校が試合
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