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    地震がなければ救えたはずの命…「災害関連死」の申請結果を待つ遺族の思い

    2024年05月24日09:15

    避難生活などで体調が悪化し亡くなる「災害関連死」

    石川県内では地震の発生後に亡くなった人のうち、100人を超える人について遺族が災害関連死の申請を行っている。

    救えたはずの命。救助を待つ間に妻を亡くした男性の思いを取材した。

    地震さえなければ…間に合わなかった救助

    輪島市滝又町に住む、中竜夫さん71歳。能登半島地震の発生から9日後に妻・紀子さんを亡くした。紀子さんと2人、畑を耕しながらの穏やかな暮らしは地震で一変。自宅に大きな被害はなかったが、滝又町は道路が寸断され、孤立した。

    中さんと紀子さんは近所の人とともに、近くにある農業用の倉庫に身を寄せた。14、5人が薪ストーブ1台で暖をとりながら救助を待つ日々。春に備えて買っておいた肥料の袋の上に布団を敷いて、ベッドのかわりにした。中さんは昼夜を問わずストーブの薪を燃やし続けた。毎日の睡眠時間は1時間ほどだったという。

    最低気温が0度ほどの日が4日続いた1月10日。紀子さんは昼食を食べてトイレに行った後、突然体調が悪化。近くの避難所で救命措置を受けたが、およそ3時間後に帰らぬ人となった。

    中竜夫さん:
    「寒いところに寝泊まりして、炊事から洗濯から寒いところでやっていたから、体が冷えたんだろう。」

    死亡診断書には「心疾患の疑い」と記載されていた。自衛隊がヘリコプターで救助に来る前日のことだった。

    中竜夫さん:
    「地震さえなければ、救急車ですぐに病院に行けていれば恐らく助かったと思う。それだけや、俺が悔やむのは。」

    妻が遺した愛犬「クロ」と共に避難

    1月中旬。中さんの姿は小松市にあった。
    自衛隊のヘリで救助された後、紀子さんがかわいがっていた飼い犬のクロとともに、ペットが同伴できる旅館に二次避難していた。

    これまでクロの世話は紀子さんに任せっきりだったという中さん。1人と1匹の新たな生活が始まった。

    2月頃、中さんは紀子さんを災害関連死に認定するよう、輪島市に申請した。災害関連死と認定されれば、最大500万円の弔慰金が支給される。

    自宅での生活を再開

    3月。自宅がある滝又町への道路が開通したことから、中さんはクロと共に自宅に戻った。二次避難先とは違って、これからは食事作りや掃除も自分で行わなければならない。

    中竜夫さん:
    「全然やったことがないけれど仕方ない。徐々にやっていかないと。かか(紀子さん)のありがたみがわかる。感謝しないと。いつまでもくよくよしていてもどうにもならないから。」

    二次避難したばかりの頃はトイレに中々行かないなど、生活環境の変化に戸惑っていたクロ。今は生活にも慣れたという。

    石川県では4月14日から災害関連死を認定する審査会が始まった。地震さえなければ…そう悔やむ自分の気持ちに一区切りをつけるために、中さんは紀子さんがかわいがっていたクロとともに、審査の結果を待っている。

    地震がなければ救えたはずの命…「災害関連死」の申請結果を待つ遺族の思い
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