能登に根差す「能登人」を訪ね、復興にかける思いを伺う「能登人を訪ねて」今回は内浦に面した珠洲市の海沿いの町を訪ねた。
全国のキャンパー集う人気スポット
稲垣真一アナウンサー:
雲ひとつない青空。磯の香り。そして打ち寄せる穏やかな波。春の能登内浦、私の大好きな風景のひとつです。
今回は海岸のすぐそばにあるキャンプ場にお邪魔した。お会いしたのは、キャンピングスポット・ハマノの濱野達也さんだ。
稲垣アナ:
綺麗ですね。感動しました。海は綺麗なの知ってますけど、こんな綺麗な所があるなんて。
濱野さん:
元々はうちの庭。友だち呼んでバーベキューして遊んでいるうちにキャンプ場になりました。
こちらのキャンピングスポット・ハマノは2017年に開業。綺麗な海がすぐ近くにあることから全国のキャンパーが集う人気スポットになった。DIYが趣味という濱野さんが、コツコツ作り上げたと言う。
濱野さん:
お客さんにも少しずつ来ていただけるようになって軌道に乗ってきたかなというところで今回の地震。
稲垣アナ:
恐ろしかったでしょう。
濱野さん:
怖かったですね。長かったんでね時間がね。止まらない、止まらないって感じで。ずっと揺れが続いたので今までとは違う恐怖がありました。
自慢のキャンプ場はひび割れ…浜は津波被害に
キャンプ場は地割れ、隆起、陥没が至るところで起きた。津波で浜に降りる階段やベンチがさらわれ、残ったのは漂着ゴミの数々。建物の大半は基礎から崩れ大きく傾いてしまったと言う。
稲垣アナ:
海岸沿いにゴミが散乱してますけど。
濱野さん:
津波ですね。岸近くにあった船が流されて。
濱野さんは、2022年の震度6弱、2023年の震度6強そして2024年1月1日の大地震。3年続けて大きな地震が発生している珠洲にとどまるべきかどうか考えたという。
濱野さん:
その内、キャンプ場のお客さんが物資を持って頑張ってくださいって、どんどんおいでる。気付いたら(キャンプ場)やる方向に押されて。ここまで言ってもらえるなら、もう一回頑張ってやってみようかなという気持ちになりました。
常連さんの励ましに「もう一度頑張ろう…と」
取材中、キャンプ場の土をならしている人がいた。聞いてみると、キャンプ場の常連さんだという。
稲垣アナ:
どちらから。
永原大輔さん:
岐阜から来ました。
稲垣アナ:
ここのキャンプ場は何回も来ているんですか?
永原さん:
5回以上は。
岐阜県から来たと言う永原大輔さん。「私も家族もこのキャンプ場が大好きだ」と話す永原さんは、地震にショックを受け、現地で何かできないかとボランティアを申し出たという。
濱野さん:
たくさん支援してくださっているんですよ。物資も送っていただいたり。いろいろしていただいた上に来ていただいて。
永原さん:
このキャンプ場ロケーションもいいんですけど、濱野ご夫妻の人徳あってのキャンプ場なんで。
濱野さん:
言わせてないですよ(笑)
濱野さん、常連さんに「元に戻せないよ」って愚痴ったというその時、常連さんが言った言葉に気づかされたと言う
濱野さん:
常連さんが「元に戻らないですよ。もっと良くなるんですよ」って言ったんですよ。それがすごく嬉しかったというか、元に戻すことばかり考えてたから無理だと思ったけど、多少形変わってももっと良くすればいいと。その一言で自分の中でスッキリして。じゃあやれるんじゃないって気持ちも前向きに。「もっと良くしてやろう」って感じですかね。
本業は瓦店…妻と被災地の復旧にも汗
そんな濱野さんの本業は代々続く瓦店。奥能登で屋根工事などを行っている。元々、珠洲は瓦産業が盛ん。奥さんの葉子さんと共に毎日、汗を流している。
稲垣アナ:
作業するときはどんな思いで。
妻 葉子さん:
早く直してあげたい。一軒でも、一日でも早く。必要としてくれる所には行ってあげたいと思う。
元日の地震で牙をむいた海。しかし濱野さんはそれでも珠洲の海が好きだという。
濱野さん:
透明度が高いんですよね。お客さんが海が綺麗だと喜ばれるんで改めてキャンプ場してから再確認しました。たまたま(珠洲に)生まれただけなんですけど、この環境は欲しいと思ってもすぐ手に入るものではないので。
稲垣アナ:
この海を含めて今後は
濱野さん:
ぜひ足を運んでいただいて、できれば珠洲で買い物もして、珠洲市の能登の復興の助けになっていただければなと思っています。
全国の常連さんが「押しかけボランティア」に連日駆けつけている濱野さんのキャンプ場。1日も早く復興させ、濱野夫妻と再び楽しい時間を過ごしたいというキャンパー達の思いをひしひしと感じた。
(石川テレビ)