能登半島地震の発生から4カ月半。今被災地で必要とされている支援は何か。地震の発生当初から輪島市で活動を続ける民間ボランティア団体の代表、山本亮さんと考える。
ボランティアは”未来に向けて後押しをしてくれる仲間”
10年前に輪島市三井町に移住し、茅葺屋根の古民家を使った「里山まるごとホテル」を経営していた山本亮さん。2024年1月1日の能登半島地震で大きな被害を受けたが、民間ボランティアの拠点「のと復耕ラボ」を開設し、これまでに1000人以上のボランティアを受け入れてきた。
『ボランティア』というとガレキの撤去や災害ゴミの運搬など、体を動かす作業が思い浮かぶが、山本さんは『労働だけでないボランティア』の必要性を訴える。被災者でもある山本さん自身の経験からだ。山本さんは地震の発生当初、能登から離れることも考えたという。山本さんの気持ちに変化を生んだのは、市外から来たボランティアとの対話だった。能登の未来について語り合う中で、少しずつ前を向けるようになった。ボランティアは単なる労働力を補うものではなく、未来に向けて後押しをしてくれる仲間なのだと強く感じたという。
つながりから生まれた新たなプロジェクト
”物資の支援”や”二次避難先の支援”から始まったボランティア活動も、地震の発生から4カ月半が経ち変化してきた。これまでの活動の中から生まれた新たなプロジェクトもある。その1つが”古材レスキュー”だ。公費解体が本格的に始まる中、住宅から出てくる古材や古家具を処分するのではなく、救い出して未来へと繋げる活動だ。
「処分するのはもったいないけど、どうすればよいか分からない」ボランティアで片付けに入った家の住民からこうした声が聞かれたが、これまではどのようにレスキューを進めていけばよいか山本さんたちも分からなかった。こうした中、ボランティアに来た人からの紹介で長野県で古材レスキューをしているリビルディングセンタージャパンとつながり、6月からノウハウを教わりながら本格的に活動を始める予定だという。
山本さんは「能登は100年、200年のお家がたくさん残っていてその建物が作り出す風景が一つの大きな価値」だと言う。古材レスキューの取り組みを通して、能登の資産を少しでも救い出し、再建築する時に活用したり、古材を活かして新たな家具をつくったりすることは、能登の新しい風景や価値を生むことにつながると考えている。
今求められているボランティアとは
ボランティア同士のつながりから生まれた新たなアイデア。その背景には、滞在しながらボランティアができる拠点があることが大きいと山本さんは話す。”労働”だけではない”地元の人との交流”。ボランティア活動を通じて、地域の人との結びつきが強くなる。そうすることで地域のサポーターとして活動が継続され、最終的には能登のファンになってほしい。それが山本さんの願いだ。
山本さんたちは今、SNSなどで「#もう来てもいいよ能登」を前面に押し出している。 「子供の見守り」や「炊き出しの調理補助」「農業支援」など、特別なスキルを持たなくてもできることはたくさんある。 GW以降ボランティアの数も各地で減ってきている。各地の「助けて!」という声を拾い上げ、様々な支援へとつないでいくコーディネーターも足りていない。 「まずは一度、能登に訪れてもらい、一緒に活動をするところから能登の復旧・復興を助けてほしい」と山本さんは呼びかけている。