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    【鳥の防災】半日の絶食で命を落とすことも…窓ガラスの飛散防止は脱走対策にも!震災の教訓から飼い主が備えておきたいこと

    2025年09月27日07:00

    日本に住んでいれば、地震や水害などの災害を避けて通れない。鳥の飼い主は災害に備えてどのような準備をしておくべきだろうか?多くの被災地で災害で被災ペットの支援活動を行ってきたNPO法人アナイス理事長の平井潤子さんのインタビューと、平井さんが監修した『決定版 鳥と一緒に生き残る防災BOOK』(日東書院本社)から紹介する。

    脱走防止になる家の安全対策

    平井さんは鳥の防災について「まずは人間の防災をしっかり行うことが鳥の命を守ることにつながります」と強調する。

    なかでも鳥を飼っている家庭の場合は、家の安全対策が、鳥の脱走対策にもつながる。鳥が逃げてしまうと、犬猫に比べて戻ってくる確率は低いと言われているため、脱走リスクが高まる災害時は特に注意したい。

    『決定版 鳥と一緒に生き残る防災BOOK』では、次の対策を紹介している。

    ■地震の揺れでケージが転倒しないように、ケージをチェーンで壁に繋いだり、ジェルマットを敷くなどして固定する。ケージを乗せている台の固定も忘れずに。

    ■窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る。たとえガラス面にひびが入っても、割れて落ちなければ、けが防止だけでなく脱走防止にもつながる。

    ■大きな揺れで窓が開いてしまうこともあるため、脱走対策として普段から窓に鍵をかけることを習慣にする。

    「マンションの上層階にお住まいだと、窓に鍵をかけないで外出される方がおられます。すると、地震の揺れで窓が開いてしまった時、ケージや鳥カゴが落下して壊れたり入口が開いたりすると、開いた窓から逃げてしまうこともあります」

    なお昼でもレースカーテンを1枚しておくだけで脱走のリスクは下げられるとのこと。

    鳥ために備えておくもの

    鳥の命にかかわるものも備えておこう。

    まずはフードの確保を。

    「鳥は食いだめができないため、半日ほどの絶食で命を落とすこともあります。非常時にフードが手に入らなくなることを想定して、ローリングストック方式で最低でも1カ月分は備蓄しておきましょう。持病の薬も忘れずに」

    ローリングストックとは、フードなどを少し多めに買っておき、賞味期限の近いものから普段のご飯として使い、新しく買い足して常に一定量を備蓄する方法。

    どうしても餌が手に入らない時は、一時的に人間の食料を非常食として与える方法もあるという。生米(炊いたものをそのまま与えるのはNG、乾燥させたものであればOK)、アワ・ヒエ・キビなどの雑穀は鳥用シードに入っているので安心。ドライフルーツや乾燥野菜もOK。乾パンを小さく砕いたものを与えてもいい。

    非常用持ち出し袋には、あらかじめ鳥の迷子チラシを作って入れておくと、いざというときに役に立つ。また、鳥を引き取る時には自分が鳥の飼い主であることを証明しなければならないため、自分と鳥が一緒に写っている写真も用意しておこう。

    動物病院やボランティアさんに預けることも考えて、鳥の健康状態や病歴、お世話の仕方などをまとめた健康手帳も準備しておくとよい。

    避難の場合に考えておきたいこと

    在宅避難が難しい場合は、鳥とともに避難所などに行くか、親戚など親しい人に預ける可能性も考えられる。そのような時、全長35cmくらいまでの鳥であれば、ケージごと運ぶことを『決定版 鳥と一緒に生き残る防災BOOK』では紹介している。

    複数羽飼っていてそれぞれのケージを運ぶのが難しければ、段ボールなどで鳥かごに仕切りを作るという方法もある。

    大型鳥でケージごと運ぶのが難しい場合は、犬猫用のキャリーバッグで運び出す。頑丈で、肩にかけられたり背負えるクレートタイプがお勧めだ。

    どうしてもケージごと持ち出せない場合は、小さいプラケースなどでもよい。安全が確認できてからケージに移すなど、臨機応変に考えよう。

    なお大型鳥やパニックになりやすい鳥は、運びやすさやケガのリスクを考えて、場合によってはクリッピングするという選択肢も考えられる。

    避難先は鳥の特性で見極めて

    鳥にかぎらず、ペットを飼っていると避難所に行くかどうするかの判断が難しい。そんな時、愛鳥に合わせた選択肢をいくつか準備しておくと心強い。

    親戚などが頼れるなら、避難所で一緒に過ごすよりも鳥のストレスは少なくて済むだろう。かかりつけの動物病院やペットホテル、バードショップが災害時の一時預かりをしてくれたりする場合もある。

    「オウムなどの大型の鳥は鳴き声が大きく、避難所でトラブルの一因になるリスクが高めです。その一方で、カナリアなどの小鳥は鳴かなくなったりしますので、人から苦情を言われることは少ないですが、神経質で環境の変化に敏感。周囲の騒音や気温の変化に弱いことがウィークポイントです。避難所生活で食欲が落ち、気づけば体調を崩してしまっていた、ということも多いです。

    愛鳥の性格は、飼い主さんが一番よくわかってらっしゃると思うので、性格や特性に合わせて、最適な選択肢を選んでほしいと思います」

    平井潤子(ひらい・じゅんこ)
    人と動物の防災を考える市民ネットワーク、NPO法人アナイス代表。緊急時に飼い主と動物が同行避難し、人と動物がともに調和して避難生活を送ることができるよう、知識と情報の提供を行っている。

    取材・文=青山 誠

    【鳥の防災】半日の絶食で命を落とすことも…窓ガラスの飛散防止は脱走対策にも!震災の教訓から飼い主が備えておきたいこと
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