
2025年4月10日、奈良県奈良市の帝塚山(てづかやま)学園のグラウンドで落雷があり、サッカー部の中高生6人が病院に搬送されました。2014年には愛知県扶桑町の誠信高校で同様の事故があり、高校2年生だった男子生徒が亡くなりましたが、その後対策をどう進めてきたのか、高校を訪れました。
■奈良市の帝塚山学園で落雷 中高生6人が搬送
4月10日夕方、奈良市の帝塚山学園のグラウンドで起きた落雷事故、サッカー部の中高生6人が病院に搬送され、2人が意識不明の重体です。
近くの住民:
家にいたら「ドシャーン」ってびっくりした。ドアを開けてみたら3人倒れていて、3人が介護していた。
当時、奈良市には雷注意報が出されていました。レーダーでも午後6時ごろ、複数の落雷があったことが確認できます。
■2014年に同様の事故起きた愛知県の「誠信高校」はいま
グラウンドでの部活動中に起きた落雷事故は、過去に愛知県でもありました。2014年8月6日、扶桑町の誠信(せいしん)高校で、野球部の練習試合中に事故は起きました。
誠信高校の澤田英二教頭:
天候としては晴れていた。まさかこのタイミングで雷がと。
誠信高校では、マウンドが見える場所に慰霊碑が建てられています。
この日は雨が止み、試合を再開した時、突然雷が落ち、マウンドにいた当時高校2年の男子生徒が亡くなりました。
誠信高校の澤田英二教頭:
バッターに対して投げて、バッターが打たなかったのでキャッチャーからの返球が来る、そのタイミングで雷が直撃した。防球ネットができた時に避雷針をたくさん付けておりますので、対策は十分できていたという認識ではあったんですけど、実際にはそれがかなわなかった。
雷が落ちた時、グラウンドの上空は晴れていたといいます。
■2度と事故が起きないように…誠心高校の対策
2度と悲しい事故を繰り返さないために、学校では対策を強化しました。グラウンドの隅に「雷探知機」が設置され、気温や湿度などに反応し、雷の発生確率が高まると赤色灯が回転、体育の授業や屋外での部活動は中止となります。
誠信高校の澤田英二教頭:
(10日は)大雨と雷が非常にひどかったですので、すぐセンサーが反応しまして、一斉に校内放送で安全な所に避難させた。そして各所に教員を配置しまして、丈夫な建物の下に生徒を誘導し、待機させました。
また、落雷の発生を予測し、教員のスマホにメールで知らせるシステムも導入しました。
野球部の主将:
(雷探知機が)光ったら、自分たちは屋根のある所に、ベンチや部室から絶対に出てはいけないぞと先生から厳しく毎回言われていて、自分たちも気を付けるようにしています。
誠信高校の澤田英二教頭:
本校で行った事故の後も、何件か同じように事故に見舞われた方がみえます。非常に悲しい話ではあります。本校も二度とこういう悲惨な事故が起きないように、対策も練りながら状況を発信していく責任がある。
■気象予報士に聞いた落雷への注意点
再び繰り返されてしまった部活動中の落雷事故、全国で雷の観測などを行っているフランクリン・ジャパンの気象予報士に注意点を聞きました。
フランクリン・ジャパンの重田絵里奈気象予報士:
雷が落ちやすい場所は、まずは高い所に落ちやすいんですけれども。それから開けた土地といった所、グラウンドのような所ですね、そういった所は落ちやすくなっています。雷の音が聞こえてきたら、安全な場所が近くにあれば逃げ込むことが第一条件になります。
4月10日は、名古屋も雷雨となりました。雷は夏に多く発生するものの、春も油断は禁物です。
フランクリン・ジャパンの重田絵里奈気象予報士:
春先ですと、ゴールデンウィーク中とかは結構多いですね。ゴールデンウィーク中のどこかで鳴ることは見ていて多いので。こういった行楽シーズンは注意する日が出てくるのではないかと思います。
(東海テレビ)