2025年 春の花粉飛散予測(第1報)
~西日本は例年の2倍以上の所も 2024年春の飛散量と夏の猛暑が影響~
◆2025年 春の花粉飛散予測のポイント
・今年の夏の猛暑が影響し、2025年春の飛散量は広い範囲で例年より多い
・2024年春の飛散量が少なかったことも影響し、四国・中国・近畿は例年の2倍以上の所も
・2024年春に比べ、九州から近畿、東北南部などで2~8倍に
2025年春の花粉飛散傾向
花粉の飛散量は、前年春の飛散量・前年夏の気象条件の2つが大きく影響します。
気温が高く、日照時間の多い夏は、花芽が多く形成され、翌春の飛散量は多くなる傾向があります。今年の夏は猛暑だったことが影響し、2025年春の飛散量は広い範囲で例年より多くなるでしょう。
2025年春の花粉飛散量は、前シーズン(2024年)と比べると、九州から近畿と、東北南部は非常に多く、北陸と関東甲信も多い傾向です。東海も前シーズン並みか多くなりますが、東北北部と北海道は少ないでしょう。
2025年春の花粉飛散量は、例年(過去10年の平均)に比べて、九州から北海道にかけてのほとんどの地域で多く、四国・中国・近畿は非常に多い所もあるでしょう。東北北部は例年並みか少ない見込みです。
予測の根拠について
花粉の飛散量は、下記2つが大きく影響します。
①前年春の飛散量
②前年夏の気象条件
気温が高く、日照時間の多い夏は、花芽が多く形成され、翌春の飛散量は多くなる傾向にあり、飛散量が少なかった年は花芽が形成されやすく、同様に翌春の飛散量が増える傾向にあります。
日本気象協会が観測した大阪市と千代田区(東京)の過去10年の花粉飛散量の推移に、2025年の予測を加えたグラフを示します。大阪市は、花粉が多く飛散した翌年は減少し、飛散が少なかった翌年は増加する傾向が顕著なことがわかります。千代田区は飛散量の増減が大阪市ほど顕著ではありませんが、2024年春は、その前年(2023年)の夏が高温だったわりに飛散量は例年程度に留まりました。
2024年春の花粉飛散量は、九州から近畿と、北陸から東北南部はほぼ例年を下回り、例年比20~80%の所が多くなりましたが、これは2023年春の花粉飛散量が多かったことなどが影響したとみられます。関東甲信も例年並みか例年を下回った所が多くなりました。一方、東海と東北北部や北海道は例年を上回りました。
2024年春は花粉飛散量が抑えられた地域が多かったことから、2025年春は気象条件が揃えば2024年に比べ飛散量が増加する地域が多いと考えられます。
根拠②2024年夏の気象条件
花粉の飛散量は、前年夏の気象条件が大きく影響します。2024年の夏は暖かい空気に覆われやすく、全国的にかなり高温になり、日照時間は、高気圧に覆われやすかった九州から東海でかなり多くなりました。6月は、各地で梅雨入りが平年より1~2週間遅れたこともあり、九州から北海道にかけてほとんどの地域で高温・多照となりました。7月から8月にかけても暖かい空気の影響で、気温は全国的にかなり高く、とくに7月は日本の平均気温は統計開始以来1位の高温となりました。日照時間は、北陸や東北、北海道では少ない時期がありましたが、夏の期間を通してみると各地とも多くなりました。
今年の夏は花芽の形成に好条件な「高温・多照」という気象条件は、九州から北海道まで、ほぼ揃ったと考えられます。
スギ花粉のライフサイクル
スギは1年を通じて、新芽の生長・花芽の生長・花粉の形成・開花を経て花粉を飛散します。飛散した花粉によって種子が形成されます。
用語の説明
【花粉の種類について】
九州から東北はスギ・ヒノキ、北海道はシラカバ花粉の飛散量を表します。
【飛散量に関する言葉の説明】
非常に多い :例年 (前シーズン) の200%以上
多い :例年 (前シーズン) の150%以上200%未満
やや多い :例年 (前シーズン) の110%以上150%未満
例年(前シーズン)並 :例年 (前シーズン) の 90%以上 110%未満
やや少ない :例年 (前シーズン) の 70%以上 90%未満
少ない :例年 (前シーズン) の 50%以上 70%未満
非常に少ない :例年 (前シーズン) の 50%未満
-----------------------------------------------------------
例年 :過去10年(2015~2024年)の平均値
前シーズン :2024年シーズンの飛散量
【2024年夏の気象に関する言葉の説明】
平年 :1991~2020年の平均値