「プレアデス」は、ギリシア神話に登場する7人姉妹の女神にちなんで名付けられました。彼女たちは、巨人アトラスと海神オケアノスの娘プレイオネの間に生まれた子どもたちです。同じくおうし座にあるヒアデス星団もアトラスを父とする7人姉妹で、プレアデス姉妹とは異母姉妹にあたります。
プレアデス姉妹は月の女神アルテミスに仕える侍女でした。ある時、森で遊んでいる姉妹を見かけた狩人のオリオンは、彼女たちを気に入り後を追いかけていきました。その様子を目にしたアルテミスは、彼女たちを鳩の姿に変えて守りました。「プレアデス」とは、鳩の群れを意味する古代ギリシア語に由来するという説があります。
それでもオリオンが執拗に姉妹を追いかけるため、見かねた大神ゼウスは彼女たちを天上に輝く星にしました。しかし、オリオンもプレアデス近くの空に上げられてしまったため、今も姉妹たちを追いかけているかのように見えるのです。
ところで、7人姉妹のプレアデスですが、現在肉眼で見ることができるのは6つの星。日本でも「六連星」という呼び名がありましたね。昔は7つの星だったのに1つだけ見えなくなったという伝説が、世界各地で伝わっているそうです。ギリシア神話でも次女にあたるエレクトラが姿を隠したという説、もうひとつは末の妹のメローぺが身を引いたという説が伝えられています。
宝石にも例えられ、昔から世界中で愛されてきたプレアデス星団、すばる。肉眼で見ても美しいのですが、双眼鏡を使うと60~70個もの星々を見ることができます。火星との接近というイベントに合わせて、ぜひ観察の機会にしてみてはいかがでしょうか。
参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2021』 アストロアーツ
『星空ウォッチング』 沼澤茂美・脇屋奈々代 新星出版社
参考サイト
アストロアーツ 冬の星空を楽しもう