日本でスギ花粉症が最初に報告されたのは、およそ60年前だといわれています。スギ花粉を飛ばすのは、雄花です。11月ごろになると、雄花の中の花粉が成熟しますが、その後休眠状態に入ります。休眠中の雄花は、冬の寒さに一定の期間さらされることで覚醒し、花粉を飛ばす準備をします。スギの木を植えてから10数年経つと、雄花が作られます。その雄花から、本格的に花粉が作られるようになるまでは、30年前後かかるといわれています。近年スギ林の面積は増えていませんが、国産木材の利用低迷などで間伐が進まず、花粉を多くつける樹齢30年以上のスギが増加しているそうです。そのため、スギ花粉の飛散量は増加傾向にあるといわれています。東京都が平成28年度に行った花粉症の実態調査によると、都内のスギ花粉症推定有病率は48.8%で、調査を始めた昭和58年度から右肩上がりになっています。花粉症は、軽症の方も含めると、もはや国民病といっても過言ではないレベルに広まっています。
[注]東京都健康安全研究センター「花粉症一口メモ」令和3年版